#2 学園の闇
今日、突然生物の授業終わりにアポロン先生に『話があるから今日中に職員室に来て欲しい、絶対な』と言われた。アポロン先生の話なんてろくな話じゃないと思うけど、行かないと肉の塊になりそうだったから行くことにした。それで今職員室に向かって廊下を歩いている。
アポロン先生は僕の先生でありながらも、僕の信仰対象?でもある。信仰する気なんて全くないし、パワーハラスメントしてくるし、顔はいいけど……才能に溢れてるけど…僕の方がしっかりしてて親みたいなもんだし…なのに偉そうにしてくるのだ。
元々僕はアポロン先生の伝令者的な立ち位置だった。そんな中、僕はあるミスを犯して色々あって、罰を受けて…。故に綺麗な白色の地毛が、汚い黒になったり、性格も前とは変わってしまった気がする。まぁ詳しくは、また今度。
ちなみに前言うのを忘れてたから今更言うけど、僕は『からす』と呼ばれている。名前はないし、あだ名みたいなもの。
どうせ遅くなったら怒られたり、罰を受けたり、肉の塊になるだろうから、急いで行きたいし、最短ルートの廊下を通ろうと思う。
…でも、その廊下の方からやばそうな声が聞こえてきた。僕は弱いし、変なのにぶつかりたくない。
でも他を通っていたらきっと遅れて、アポロン先生に肉の塊にされると思ったら行くしかなかった。学校があほみたいに大きいんだもんな。しかも僕前科があるんだもんな。
でも少し怖いからこっそりその声達の様子を確認しに行った。
そしたら、風紀委員長が必死に暴走するポセイドン先生を抑えていた。委員長に抑えられてるポセイドン先生はめちゃくちゃ顔を怖くして無言で動こうと必死に悶えてる。何があったんだよ…!?
(ここに出てくる風紀委員長とポセイドン先生は後でちゃんと詳細が分かりますので、風紀委員長と先生なんだなって思っといてください。)
委員長「…関係ない人は巻き込むのは……」
委員長は大声で何かを言いかけたけど殴られて後ろに吹っ飛んだ。
…ポセイドン先生に殴られて吹っ飛んだ……
絶対に巻き込まれたくないのに、ここを通らないといけないと思うと冷たい汗が垂れてくる。吹っ飛ばされて下を向いた委員長の顔から血が垂れてるし…委員長の後ろの壁が半壊してる…。今この人達の揉め合いに巻き込まれれば肉の塊に…でも行かなくても肉の塊に…。…もう学校辞めようかな……。
どうしようもない状況に疲れてきた。だが行かないと確実に肉の塊になる。だったらここを通るしかない!
僕はクラウチングスタートの体勢になり、意を決して廊下を全力疾走した。後ろが見えないし、追いかけてきたらどうしようと思って、もっと加速する。でも僕はあのギリシャ神話の伝令からすなんだぞ!?走って走って、人間と神の下を行き来してたんだぞ!?ちなみに、足は速くない。持久力があるだけだ。
で、怖くて廊下を過ぎても余分に全力疾走してたら職員室に着いた。立ち止まるのが怖かったけどこれ以上先のところに用はない。
不安を感じながらも満を持して立ち止まってみたが、何も起きない。恐る恐る後ろを確認した。
…何もいない。
勝った…!と、謎の優位に立った気持ちを感じた。安心しすぎた故に力が抜けて今にも倒れそうになる。だけどまだ用はある。むしろここからが本番なのだ。意識を取り戻して職員室の扉をノックしようとした。
「あ」
声がしたので後ろを見たらアポロン先生がいる。
『話があるって言われたから来たんですけど…』
「そう、そこ。座って」
職員室前の机と一緒に並んだ椅子に座らされた。
『あの…ポセイドン先生何かあったんですか……?』
「何?」
話をする前に、さっき見た光景について聞いてみる。
『さっき廊下通ってきて、風紀委員長が思いっきりポセイドン先生に殴られてたんですけど大丈夫なんですかね…?』
「死んでなかったらセーフだろ?大丈夫じゃないの」
『いや…死んでたかもしれない…』
今思えば僕は死人を放ってここまで来たかもしれないのか…心が痛む…。でもでも、この世界ってそんなもんだしっ…!
「多分死んでないぞ、毎日のようにそんなのあるけどわりと生きてるみたいだから」
『いや…そんなわけ……』
「あんなでかい怪物が1発殴られたぐらいで死ぬわけないだろ」
いや死ぬだろ。いくらなんでも死ぬだろ。だってめちゃくちゃ血みどろだったし、建物がぶっ壊れてたんだぞ!?
「ポセイドン先生、すんごい短気だから何かあっても巻き込まれないようにな」
『はぁ……』
そもそも僕は学校に通ってるだけなはずなのになんでいつも肉の塊になるリスクと一緒なんだ。どういうことなんだよ。
学校ってこんなもんなの?
「ほんと教師ってろくな奴いねーよな」
『……』
問題教師三銃士の一人のくせして、何言ってるんだよ。ストーカーして、浮気して、回りくどい予言でみんなを不幸に追い詰めて……ほんと最低だなこの人。
やっぱり神様ってろくなもんじゃない。
「じゃあ本題話していい?」
『あ、はい』
そのあとアポロン先生からはめちゃくちゃ下らない話を聞いた。そんなことを聞くためだけに肉の塊になる覚悟をしてここに来た自分がいると思うと本当に悲しくて泣けてくる。そんぐらい変な話。もう学校辞めようかな…