三、
「僕も、この結婚には反対です。オーラの色を見れば一目瞭然、二人は愛し合ってはいないからです!」
スーツ姿の悠陽も、毅然として言い放つ。
「あの……。僕も、歌世お姉ちゃんが亡くなったのは、深世さんのせいじゃないと思います。歌世さんの死期はずっと前から決まっていたみたいです。僕には見えていましたから。ごめんなさい、深世さんが悩んでいるとは知らずに、ずっと黙っていました。人の死には、変えられないものと変えられるものがあります。歌世さんは、変えられないほうでした」
一つ一つ、懸命に佑は言葉紡ぎきった。
「将来が楽しみな子ね。お姉さんがご褒美に、好きなものを買ってあげるわ」
「本当! やったー!」
「ちょっとそこ、静かにしてもらえます⁉」
碧斗がしっと唇に人差し指を当てると、伊冴耶はすました顔をして悪びれた様子もなく、素直な佑は自分の口を両手で押さえた。
庭園がまたどよめいた。どういうことだ、二人は愛し合って結婚するのではないのか、深世と歌世の間に何があったのか、など話し合う声が聞こえる。碧斗は深世を見つめ口を開く。
「深世。君のせいじゃない。もう誰にも、君のせいだなんて言わせない」
深世がはじかれたように顔を上げた。大きな双眸がやがて潤みだす。ぽろりと落ちる涙を、深世は慌てて拭う。
「私……本当はお姉ちゃんのことが大好きだったの。優しくて自慢のお姉ちゃんだった。でも、最後に私は。お姉ちゃんに大嫌いって言ってしまった。それが、話をした最後だった。ずっとずっと、後悔していた」
ぽろぽろと深世の目から涙がこぼれ落ちる。
「嫉妬して、死んじゃえばいいとも言ってしまった。私は、本当は鬼隠しの巫女になんてなれない。なる資格なんてなかったの! だから、御神木の桜が咲かないの。本当に、ごめんなさい」
今まで押し込めてきた気持ちなのだろう、深世は涙を流しながら、まるで村の人たちに伝えるように言った。




