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五、

「怪異を、解決しに来てくれたんですよね。話は聞いています」

「ええ、まぁ」


 どう解決していいのかなんてさっぱりだけれど。


「助かりました。困っていたんですよ」


 青年はほんわかとした笑みを見せた。


「申し遅れました。僕、三栗谷(みくりや)悠陽(ゆうひ)といいます。この図書館の司書をやっています」

「どうも」


 碧斗も自己紹介をする。見た感じ普通の職員だ。でも油断はできない。彼もこの村の住民だからだ。


「あの。右京さん、怒ってましたか?」


 悠陽はおそるおそる、と言った感じで尋ねてくる。


「何か、言っていませんでした?」

「いえ、右京さんと話はしていないです。禅とかいうぽんこつ式神から言われてきました」

「禅くんのほうですか。よかった。僕、右京さん苦手で」


 心底ほっとしたように言うので、碧斗はここぞとばかりに同意する。


「ですよね! 俺もなんですよ~。面接で失礼なこと言いまくられて、本当に苦手です」

「そうだったんですね。穏やかに人を言葉で刺して来ますもんね、分かります。もしかしたら、初めてかもしれません。意見が合った人。この村の人たちって、あまり右京さんのことを悪く言わないし、言うどころかすっごいほめてるし、僕は違和感しかなくて」


「俺もうれしいです! この村に来てからというものろくなことがなくてですね。心も体もボロボロだったんですよ。よかった、話が分かりそうな人がいて」


「分かります分かります。皆さんすごい能力を持っていて怖いですよね。怒らせたら何をするか分からない!」


 碧斗はずっとだだ下がりだったメンタルが少しだけ上向いたのを感じた。これだ、共感できて、分かり合えて愚痴を言い合える人。このつながりが、ここでは皆無だったのだ。


「碧斗くん、よろしくね!」

「はい、悠陽さん!」


 二人はがっちりと固い握手を交わすのだった。




 碧斗は、役場のカフェテリアで悠陽から話をきくことになった。村民誰でも利用でき、それなりに賑わうそうだ。


「清瀬さんは商売敵だって、怒ってましたけどね」


 悠陽は人当たりよく笑う。今回は、伊冴耶のような癖の強い能力者でなくて本当によかったと、碧斗は平和を噛みしめる。


 役場も図書館も、去年改築されたばかりらしい。どこもかしこもきれいで明るいわけだ。


「今年、二年ぶりに花迎ノ儀が行われるので、古かった役場も一新したんですよ」

「そのために⁉」


 やはり、この村は常軌を逸している。深く考えるのはやめにしておいた。公共でも、何だかあらぬ力が働いていそうで恐ろしい。


「鬼隠しの巫女は村にとって、大切な存在です。巫女が不在の二年間で、だいぶ村の空気も変わってしまいました。冬狐たちの統制も取れていないようで、彼らに関係しているであろう遭難者は後をたちませんし、とうとう、ここでも怪異が起こってしまう始末です」


 悠陽は顔を曇らせた。

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