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鬼隠し村のあやかしな人々〜花咲かす君をさがして〜  作者: ひいろ
四、八尾比丘尼の薬
22/67

一、

 碧斗はこれから約一か月間生活することになる部屋に案内された。深世が住む屋敷の離れに当たる場所だ。プレハブ小屋で、八畳の部屋に、トイレ、バス付だった。


(なんで面接通ったんだろ)


 よく分からない。


 そして翌日、さっそく不機嫌を顔にはりつけた禅がやってきた。


「しっかり働けよ。途中で音を上げて逃げ帰ってもいっこうに構わんが」

「……やるよ。この際仕方ない」

「……」


 禅は唇をかたく引き結んで押し黙る。

 もっとかみついてくるかと思ったが拍子抜けだ。


 採用が決まったからには責任を持って仕事はするつもりだ。一か月も村にいれば、東京に帰っても支障はないだろう。深世と直接かかわる仕事なんてしないだろうし、その間に、深世への未練を断ち切れれば一番いい。


(それでも死ぬと言われたらあきらめよう)


 碧斗は遠い目をしつつ思った。


「まず、お前には伊冴耶いざや様のところに行って、薬をもらってきてもらう」

「なんだよそれ、ただのお使いじゃん」

「……」


 禅はまた答えない。


(何なんだ一体)


 こちらはやる気になっているのに調子が狂ってしまう。憎まれ口を叩いてくれたほうがいいってものだ。


「しかし、伊冴耶様はとても気難しいお方。とある理由で、こちらからの注文を受け付けてくれぬ。彼女の調合する漢方は、とてもよく効くのだ」

「ああ、そういうことか。説得してこいということだな」

「了解を得るまでは帰ることはゆるさない。場所はこのメモに書いてある」

「いきなりパワハラかよ」


 禅は答えずに去ってしまった。

 しかし、とある理由とはなんだろうか。


(とりあえず行ってみるしかないか)


 碧斗はとりあえずプレハブ小屋を後にするのだった。

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