第九話 ギャップって有り過ぎても困るよね
テストが終わったのでこれからはなるべく早く更新していきたいと思います。
「ふざけんな! そんな金持ってねぇぞ!?」
「……なら体で」
「気色悪い事言うな!」
俺は店主をぶっ飛ばした。何故かって? キモいからさ。果てしなく。
「あ~大丈夫ですよ流月さん。さっき直也を撃退した時、300P手に入れましたから」
「単位変わってんじゃん! 何Pって」
「このゲームの通貨単位です。1億円は100Pですので、丁度足りますね」
つーか何でお前らが円の事知ってんだよ……と思ったが、ゲームなので言わなかった。
~アンベッグ・東口~
「さて、このゲートを通れば、魔物の住む谷に行けますけど、どうします?」
「どうしますって言われてもよー。ってか俺らはなんでこの町に来たんだ?」
そう言えばそうだ。海星の言うとおり、この町へ来た目的が分からない。
ゲームをクリアするため、っていえばそうなんだけど、マッシュがゲームクリアの事を知っている筈もない。ただのプログラムなんだし。
「ああ、この町に来たのはゲームクリアして貴方達を元の世界に帰す事ですよ」
「何でお前がその事知ってんの!?」
ここでまさかの発言! どうなってやがんだ?
「だって、貴方達は"田中賞"受賞者ですよ。田中賞を知っているボクがその事を知っているのは当然でしょう。解りましたか?(ったく少しは頭使えよ低脳クズ野郎)」
うん、なんだかものすごく罵られた気がするけど、気のせいって事にしておこう。
「じゃあ、その魔物が住んでるっつー谷に行けばゲームクリアになるんだな?」
「まぁ、そーゆー事っすね。頑張って下さい」
「何で他人事なんだてめー」
海星がマッシュの頭を鷲づかみにする。
「やだな~、冗談じゃないですか~(うわ、だりー。マジ最悪なんだけど)」
なんかマッシュのキャラが崩壊しているような気が。
ああ、こっちがベースか。
なんて思っていると、突然人が駆けつけてきた。黒い髪の毛はきれいに7:3だ。スーツを着て鞄を持っていることから見ると、どうやら極々普通のサラリーマンらしい。
「てめーらもとっととバックれた方がいいぜ! 今ヤベー連中が屯ってやがんだ」
言葉使い悪っ! 海星と競える程の毒舌家だこの人!
にしてもヤベー連中ってなんだ?
「なんかKILL YOUって書かれたバイクに乗ってるんだ! 後は……チワワいっぱい連れててモヒカンだったな」
何そいつぅぅぅぅ! チワワ連れのモヒカン!? ギャップ激しすぎだろーが!
……コイツもギャップ激しいけど。
「KILL YOUか……おいマッシュ」
「はい、まず間違いなくXの追っ手ですね」
「チッ、もうきやがったか。まあいい、地獄の槍を試すいい機会だ。行くぞ流月」
海星が頼もしく見える……! そう思った瞬間、海星は石に躓いてコケた。だせぇ!
~アンベッグ・中央広場~
俺たちが中央広場へ着くと、マシンガンを持った二足歩行のチワワが10匹くらいいて、銃を乱射していた。
何この絵! 想像出来ねーよ! チワワ恐すぎる!
そして、そのチワワに囲まれているのは、モヒカンの男。どうやらコイツがチワワを仕切るリーダーらしい。
それにしても、許せねぇ。罪の無い人々を殺してへらへら笑ってやがる。たとえゲームでも許せねぇ。
「うわーこりゃ酷ぇな」
海星もそう思ったらしく、顔を歪ませている。
「何あのモヒカン野郎。マジブサイクなんだけど」
「顔かァァァァァァァ!? 別にどうでもいいじゃん! 確かにブサイクだよ!? でもしょうがないじゃん! 生まれつきだから! ブサイクなのは多分生まれつきだからァァァァ!」
「うるせぇァァァァァァ!」
俺のツッコミが五月蝿かったらしく、モヒカンが怒鳴った。
「てめえ人の事をブサイクブサイク言いやがって。しょうがねぇだろ!? 整形してぇよ! 俺だって! ちなみに俺は盗賊団Xの幹部、モヒー。以後宜しく」
名前ストレートォォ! モヒーって。
モヒーは、金髪のモヒカンにグラサンを掛けている。服は黒い全身タイツ。はっきりいって、変体。
「フン、その五月蝿いツッコミ、どうやらてめぇらか。直也を倒した3人組ってのは」
「ツッコミが五月蝿い事で有名だったの!?」
「黙れ」
モヒーが(恐らく)鋭く睨んで言った。
中々の威圧感。マッシュはすげービビってる。海星は……うわ! ゴミを見る目つきだよ。
「ククク……どれほどの連中かと思えば、ただのガキじゃねーか。こんな糞共に直也はやられたってのか?」
「言ってくれるじゃねーか。糞かどうか思い知らせてやるよ。このキノコは糞だがな」
「酷くないですか!?」
黙れ、と海星が言った。そして、モヒーに向かって突進していった。地獄の槍を構えて。
しかし、チワワが2体立ち塞がり、マシンガンで攻撃する。此処が俺たちのコンビネーションの見せ所。海星が素早く銃弾をジャンプしてよけ、スキが出来たチワワを俺がラリアットで片付ける。
そして、海星が槍をモヒーの腹目掛けて出した――。
槍は、折れた。
「脆ォォォォォ!」