第四話 仲間キャラはロクなのいない
……一体何なんだ? このキノコ頭の生物は。
頭はベースが白く、赤い斑点がある。どうやら気絶しているらしく、顔が青ざめている。眼は白く見開かれ、開きっぱなしの口からは赤い液体……。
白いパンツのようなツナギ。茶色い足。やっぱりこれはどっからどう見てもキノピ……ダメだ、やっぱり言えない!
俺が眼をつぶりながら頭を振って必死に何かと抵抗していると、何かもぞもぞと音がする。
嫌な予感が少し、いやかなりしたけど、現実から眼を背けちゃいけない! ……なんて訳の判らない事を考えていた俺だけど、がんばってキノコ頭の生物を見た。途端に、俺は失神しそうになった。
「お前何やってんのォォォォォ!」
「は?」
海星くーん! 君は何をキノコ頭の口に入れているのかな? 雑草? 雑草か? 雑草なのか!?
「いやコイツ気絶してるし薬草食わせてやろうと思って」
それが薬草だと言う証拠はあるのかい? もし毒薬だったらどうすんだよ! つーかそれ明らかに隣の茂みからとったよね。なんかむしられた跡があるし。
一方罪悪感まるで無しの海星は、ニコニコしながら薬草を口に入れている。そして、全部入れ終わった後、キノコ頭の頭を殴って口を閉じさせた。……いや普通に閉めてやれよ!
「よし、これでコイツが復活したらこの草は安全、変化無しだったらただの雑草、悪化したら毒薬だって事が判明するな」
って毒見かいィィィィィ!
なに「俺って頭良くね?」みたいな顔してんだよ! 良くねーよ! 良くねーどころか最悪だよコンチキショー!
今思い出したけど、そーいやコイツどこぞのゲーム紹介雑誌に載ってたなァ。なんか仲間になるとかそーいう系のキャラだった気がする。もしコイツがめちゃめちゃ強かったらどうすんだよ……。まあ今となっては後の祭りなんだけど。
俺はたまらず声を出した。
「海星……もういいじゃねぇか。殺人者になる前にとっとと逃げ……」
「治ったぁーッ!」
「!?」
……キノコ頭が復活してる!? マジかよ! お助けキャラ登場じゃん! キャッホォォォォゥ!
「君達は?」
キノコ頭が口を開く。俺は嬉しさのあまりめちゃめちゃハイテンションで「流月です!」と答えた。……答えてしまった。
で、コイツにとっての命の恩人、海星はというと……。
「……海星。ペッ」
ツバ吐くなァァァァ!
なんだその不機嫌そうな顔! お前もしかしたら死ぬの期待してたろ! とんでもねー野郎だなてめぇは。
「有難う御座います〜。さっき変なゴリラに頭殴られて気絶してたんですよ。あ、ボクこのゲームの仲間キャラ役の、なんかめちゃめちゃ可愛いって言われる事間違いなしのプリティーマン、マッシュです」
……激しく殴りたいんだけどこの子。
「コ」じゃなくて「子」ってとこがポイントね。いや、マイナスポイント。
しかも仲間キャラ役って……役とか言うなよ!
なんか放置しといた方が、ってか死んでた方が良かっただろ、って思うくらいウザいよコイツは。しかもあの某ヒゲオヤジのゲームに出てくるキャラそっくりだし。名前「マッシュ」より「腐れ頭」にした方がいいんじゃねぇの?
「……おいてめー仲間キャラか?」
初対面の人(?)にもの凄い喋り方だね海星。まあ分からんでもないけど。
「はいそうですよ。一応貴方達をサポートすることになってるんで。まあ、ついてきて下さい。ここ"始まりの森"を出て"始まりの草原"に行きますから」
一応ってなんだよ! しかもネーミングセンス無さすぎだろスタッ、フゥー!
ってかこんな仲間キャラいらねェ。うぜぇ。
「という訳でぼちぼちついてきて下さいね〜。ハァ……。…………ハァ」
何で二回溜め息ついた!? 俺らと行くのがそんなヤか! お前絶対ぇ喧嘩売ってるだろ!?