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『乙女モード』全開☆のオレと、踊るプリンシパル  作者: 千園参
第1話 You can't remember 《  》 -あなたは『  』を記憶できない-
6/30

Part 6

とにかくキャラクターの動きをわかりやすく伝えるのが、難しいですね。ここから上手くなるよう頑張りたいと思います!!

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

「んじゃ、せっかくだし、オレもちょっとゆっくりしていくか」

 カーテンを開き、空いているベッドに腰掛ける。

 だがしかし、保健室に留まったのはいいが、絵凪に一体どのような話題を提供すればいいのだろうか?

 最近の売れている芸人?可愛い女優?イケメン俳優?今話題のドラマ?映画?動物の動画?

 このような可愛い女の子の生態について、何も知らない。アイドルはトイレをしないという、身も蓋もない話、それでも謎に包まれている美少女の生態を考えれば、おかしな妄想でもないのかもしれない。

 現に今、目の前にいる絵凪が、何をしているのかなんて、想像もつかない。となれば、やはり彼女のことをある程度、妄想して何が好きそうなどを考えるしかないのだが、そんな妄想を膨らませていくと、どんどんバカになっていく自分が目に見えたので、思考を停止させた。

 無言の時間を垂れ流していると、保健室の外、廊下からドタバタと廊下を走ってくる、何かの音が聞こえてくる。そしてその後は、保健室のドアの前でピタッと、止まり、ドアを全力で開けて、入室してきたのは、神月先生であった。先生は息を切らしながら、

「美崎!お前ぇ、大丈夫なのか!?」

「はい、大丈夫です」

「まぁお前のことだから、心配はしてないが、ったく、気をつけろよ……」

 先生が、今サラッと酷いことを言ったような気もしたが、気のせいということにしておこう。

「隣にいる奴は……絵凪か……。あんまりサボってると、優等生のお前でも、目を瞑れなくなるからな」

 と、神月先生は小言を吐きつつ、保健室を出ていった。

「さて、そろそろオレも戻るよ」

 絵凪に一言、声をかけて、保健室を立ち去ろうとした時、今度は保健室の美人なお姉さんの佐和田里実先生が、帰ってくるタイミングに鉢合わせることになった。そして行く道を塞がれてしまう。

「あら、坊や〜。どうしたの〜?」

 とても色っぽく、ねっとりとした声で、近づいてくるや否や、身体を太ももから胸にかけて、なぞるように手を滑らせてきた。いやらしい手つきで、触られるため、身体がゾクリゾワリ、ムズムズという反応を見せる。

 身体の反応を確認すると、

「あらあら〜?初々しい反応をするのね〜。こういうの初めて?」

 耳元を刺激し、追い討ちをかけてくる。この状態は、まるで蛇に巻き付かれたハムスターのようだ。逃げたくとも、身体が思うように動いてくれない。

「身体は正直なのね〜」

 尚も、身体を触り続けられているうちに、額や脇から、冷たい汗が流れ出ているのを感じるようになった。

 極め付けは、網タイツに包まれた脚を絡め、オレの胸を人差し指でこねくり回し始めた。

「うっ!」

 これには思わず声が漏れ出てしまう。

 すると、それを横のベッドで見ていた、絵凪は不機嫌そうな面持ちで、佐和田先生に聞こえるように、咳払いをした。

「あら、他にも誰かいたのね。しかも女」

 佐和田先生が絵凪の存在に気付くと、あからさまに態度を急変させ、冷めたような口調を使った。

 どうやら、男は大が付くほど好きなようだが、女は大が付くほど、嫌いらしい。だが、今が絶好のチャンス!

「それじゃあ、オレはこれで失礼します!」

 こうして、なんとか脱出することができた。絵凪のおかげで助かったので、彼女に感謝しなくては………。


 その後、体育に戻ろうとも考えたが、もうすぐ終わる頃合いであったため、更衣室で大人しく、クラスメイトたちを待つことにした。

 そこから幾時間も待たずに、クラスメイトたちが入ってきた。オレが戻ってきていることに気がついた黄滝が、心配そうにやってきた。

「大丈夫だったのか!?」

「この通り平気だ」

 鼻に張り付けたガーゼと、詰め物を、指を指して見せつける。

「そうか、大丈夫ではなさそうだが、お前がそういうなら、そういうことにしておくよ…」

 この男の素晴らしいポイントの1つで、上っ面の心配ではなく、本当に心配してくれているあたりも、とても好感が持てる。お前は一体どこまでイケメンになれば気が済むのやら……。

 ここまで色々あったが、これはまだ1限目の出来事であり、ここから昼休みまでには、まだ3時間分の授業が残っていた。そんなことを考えると、気持ちがドンドン落ち込んでくる。

 ここは鼻のダメージを盾に、授業は適当に受けることにしよう。授業を適当に受けるで思い出したが、絵凪は今、どうしているのだろうか。この時間も保健室でサボっているのか、それともまた別の場所で暇を持て余しているのか。後で彼女を探し出して、さっきのお礼を言いたい。

 それから授業中は、無意識のうちに絵凪のことを考えていることが多くなっていた。あんな可愛い子にも、友達がいないなんてことがあるものなんだなと、少し親近感を感じたりもした。絵凪のような可愛い女の子と友達になることができれば、オレの幸の薄い人生も、いくらか、マシになるかもしれない。


 昼休み---

 彼女の姿を探してみるが、どこにもいない。

「どこにいるんだ?」

 しかし、このまま探していては、瀛の弁当を食べ損なってしまうので、捜索を一旦切り上げて、屋上でご飯を食べることにした。

 階段を上がり、扉を開けると、そこには鉄格子の段差に腰掛けて、間違いなく、お手製だと思われる弁当を食べる、絵凪の姿があった。

 その姿はなんと言い表すべきか、綺麗であった。青空の下で見る、どこか儚さを秘めたような姿は、どんな芸術よりも美しく感じられた。

 恐る恐る、彼女の元へ歩みを進める。動かす足が重く感じられるのは、緊張からだろう。美しく映える彼女に緊張しているのだ。

「何か用かしら?」

 重い足取りの最中、食事の箸を止め、絵凪の方から声をかけてくれた。

「あー、さっきのお礼、まだ言ってなかったから!ありがとな!」

「それだけ?」

「それだけ」

「あっそ……」

 絵凪が残念そうな素振りを見せたようにも、見えたのだが、それはきっと気のせいだ。こんな可愛らしい子がオレに対して何か期待しているなんてことは、絶対的に、槍が降ってこようとも、隕石が降ってこようとも、地球が滅びようとも、ありはしないだろう。

 それから彼女は再び、卵焼きを食べ始めた。

 話がぶつ切りになったことで、どことなく気まずい空気が屋上を支配している。そんな中で広げて食べる昼食は、心なしか、喉を通りづらい。

 この空気を変えるべく、今度はこちらから絵凪に話題を投げかけてみる。

「その弁当……手作りだよな?君が作ってるの?」

「そうよ。悪い?」

「いや、悪くないっす。むしろ良い感じっす」

「何その喋り方」

 少し笑ったように見えたが、まだまだ彼女の笑顔を拝むには、笑いの力量が不足しているようだ。

「そういう貴方は?彼女の手作りかしら?」

 絵凪は瀛の弁当を直視して言う。目が怖い。

「オレに彼女はいないぞ。これは妹の手作りだ」

「へぇー、仲が良いのね」

「まぁそれなりにはな」

 こうして話をしているうちに、最初は冷酷で冷徹な女王様といった顔をしていた彼女も、穏やかな顔を見せてくれるようになっていた。これも気のせい?いや、これはきっと気のせいじゃないはずだ。そうだと思いたい。

 そして時間は、あっという間に過ぎ去り、昼休みの終わりを告げる鐘が鳴った。

 教室に戻ろうと、立ち上がる。扉に向かって歩き出そうとするが、後ろに力が加わった。

「ん?」と、後ろを振り返ると、絵凪が俯きながら、裾を掴んでいた。

「どうかしたのか?」

「え!?あっ!?な、なんでもない!!」

 彼女は慌てて、裾を掴んでいた手を、パッと離した。

「本当に?」

「なんでもないって言ってるでしょ!!」

 なんでもないようには、思えないのだが、これ以上、食らい付いても、かえって逆効果になりかねないので、深く追及せず、その場を去ることにした。


 昼休みの出来事は、授業中にも絵凪のことを強く意識させることとなった。

 なぜ彼女は、裾を引っ張ったのだろうか。何か言いたいことでもあったのか、将又、何か別の用事でもあったのか。しかし、聞き返しても、強く否定するだけで、何も答えてはくれなかったが、何かを思うことがあったのだろう。でなければ、人の裾をわざわざ掴んだりはしないはずだ。

 それは置いておいて、俯いていて、ちゃんとは見えなかったが、裾を掴む彼女の顔は、とてつもなく可愛かった。あまりの不意打ちで、心臓がバックンバックンと、時間が経った今でも、高鳴っているのがわかる。高鳴りすぎて、胸が痛い。そのせいか、うまく息ができない。

 もしや、これは恋!?絵凪に恋をしてしまったのか?

 だが、あんな可愛い子を好きになる男は、それこそ山のようにいるのだろう。そんな男たちを押し退け、彼女を射止められるほどの魅力など、オレにはない。

 諦めよう……。今日のことは、綺麗さっぱり忘れて、新しい恋を探した方が、身の丈に合っているに違いない。


 絵凪のことをキッパリと諦めてからというもの、とても充実した授業を受けることができた。これで優等生の道まっしぐらである。

 6限目の授業を終えると、特に用事もないので、華村と共に帰宅する。

「そうそう!聞いたよー。鼻、大丈夫なの?」

 彼女もまた、本気で心配してくれる、数少ない友達の1人だ。

「まぁこの通り、大丈夫だからよ」

 鼻に貼ってあるガーゼを、ペリッと剥がし、鼻の詰め物を、フンッと鼻息で、吹き飛ばして、元通り治っているところを見せる。

「美崎くんの再生能力って、いつ見ても、ホント凄いよね。痕も残らずに治っちゃうんだから」

 華村真琴はオレが異変に巻き込まれたことを知っている、珍しい友人だ。当然、黄滝はこのことを知らない。学校や交友関係の中で、異変のことを知っているのは、華村、神月先生くらいなものである。

 この2人には、異変の際に助けてもらった経緯があり、そこで既にバレているのだった。

 バレて大丈夫なのかという点に関しては、この2人を信用しているので、大丈夫だと思っているし、現にこの事が誰にもバレていないということから、2人が誰にも離していないことが証明できているので、なんの問題もない。

 何故なら、華村もまた異変に巻き込まれた過去があるからに、他ならないからであった。

ここから少しずつ明かされていく、少年少女の秘密。乞うご期待です。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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