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2話

ーーー ねえ、ところで魔王あんたさ、あんな力があるなら、とっとと魔王軍復活させて

    出ていきなさいよ、


ーーー それがだな、ワシの肉体は滅ぼされてしまったからな、魂だけでは力が使えんのだ。


ーーー じゃあ私の中にいれば使えるってこと?


ーーー まあ、そうじゃ、正確にはワシの力をお前が使える、ということじゃな・・・・

    

ーーー ・・・ワシのかわりにお前が魔王軍を復活させてもよいぞ、

    そうすれば出ていってやってもかまわん!


ーーー ほんと?、それほんとね!?


ーーー ばらばらになった魔王軍を再びひとつにまとめ魔王軍幹部達を従わせることができれば

    そやつらの魔力でワシの肉体を復活させることもできよう。


ーーー そうすれば出ていくのね?


ーーー ああ、もちろんじゃ、そのかわりすべての魔王軍幹部をお前の配下とするのだぞ、よいな


ーーー わかったわ、私の青春のために、やってみせるわよ


こうして私は、のんびり一人暮らしの山をおりることにした。

自分の家を長く留守にすることを、私の家より少し下に住む羊飼いの少年に告げて

町へ行くことにしたのだ。


「ちょっとペーター、私出かけてくるから、ドロボーが入らないように、ときどき見といてよ」


「わかったよヒズキ、それとオレ、ペーターじゃないってば」


彼はイケメンじゃないから普通に話せる、町にいってもみんな彼のようなら楽なんだけど、

さて、とりあえず魔王軍幹部の居場所を探すとしましょう!



私はふもとの町まで来てみた。

そして冒険者ギルドなるものを探して歩いている、背中にしょった大鎌が重い。

ときどき子供が私を見て泣き出すが、意味が分からない。

ちなみにこの大鎌は草刈りのアルバイトをして生活費を稼ぐための大事な商売道具だ。


ーーー おい、あの建物がそうじゃないのか?


ーーー そのようね、行ってみましょ、


中世ヨーロッパのような街並みの中、ひときわ豪華に目をひく大きなその建物が

この町にある冒険者ギルドらしい、その入り口の扉をあけて中に入った。


中に入ると、奥が受付窓口、その手前が大きな待合場所、となりの部屋では軽い食事もとれるようだ


窓口の横にある掲示板を見る


ーーー なんだか、あっちこっちで魔王軍があばれてるみたいよ、討伐依頼ばっかりじゃないのよ


ーーー ふむ、配下の者ども、なかなかやりおるわい


ーーー やりおるわいじゃなくって、魔王軍は解散したんじゃないの?


ーーー もちろんそうじゃ、あやつらは勝手に暴れとるんじゃ


ーーー じゃあ、どれでも適当に会いにいけばいいのね?


よし、一番上に貼ってあるこの依頼書をはがして、えーと、窓口に持っていってと、


「あの、すみません、こ、この、依頼を・・・くわしく・・・」


「はい、あら初めての方ですね?冒険者登録はお済ですか?」


「登録?、いえ、まだです、」


「ではまず登録をしてください、それからその依頼は初級冒険者のソロでは受けられませんよ」


「えーと・・・どうすれば・・・」


「パーティを組んでください、メンバー募集の掲示板を見てください」


メンバー募集、これか、えーと・・・ヒーラーって何?、回復魔法?


ーーー ちょっと魔王、あんた回復魔法使えるわよね?


ーーー いや、まったく


ーーー な、なんで?、魔王でしょ?、私怪我したらどうすんのよ、


ーーー お前は不老不死だと言っただろう、そんなものはワシには不用なのだ。


ーーー ちっ、だから肉体滅ぼされて復活に時間かかってんのか、

    回復魔法くらいマスターしなさいよ、


それにしても予想外だわ、これじゃパーティに入れないじゃないの、窓口のお姉さんに

もう一度相談しよう。


「あのー、すみません、私回復魔法使えなくて、どうすればいいでしょうか・・・」


「どうすればって、私にいわれても・・・うーーん、」



窓口のお姉さんは、しばらく頭を抱えていたが、何か思いついたようで

ちょっと待っててと言って、席を外した。

そして何やら爽やかな感じのちょっとだけイケメンを連れて戻ってきた。


「えーと、ヒズキさん、でしたか?、こちらの方も初級冒険者の方なのですが

 魔法剣士のスキルをお持ちです・・・ただ・・・」


ん?、ただ、何?


「この方、メンバー募集じゃなく雇い主募集なんです」


初級のくせに?、金とるの?、なめてるわね、


「そ、それで、おいくらほど・・・ですか?」


「日当銀貨2枚で引き受けます」


銀貨2枚?、毎日?、たか!、私の草刈り日当が銀貨1枚なのよ、


「あの・・・銀貨2枚はちょっと・・・1枚なら、なんとか、」


「はい、それでいいです、よろしくお願いします!」


あれ?即決?、もしかしてまだ値切れた?


「はい、おめでとうございます、ではヒズキさんが雇い主ですからパーティリーダーということで

 登録させていただきます、がんばって下さい!」


「あ、私はヒズキです、よろしく・・・」


「よろしくお願いしますマスター、ボクはペーターです」


うっ、イケメンのペーターだ、、

でも、雇い主は私なわけだし、ってことは、私の方が偉いってことだよね、

だったら、っふっふっふ、


「ちょっとペーター、あなた何ができるの?、今までの実績は?」


ヒズキは急に偉そうな態度になった、このこじらせ女子の頭の中は

まさにブラック企業のそれと同じだ


「はい、ボクは剣で戦えます、同時に回復魔法ヒールが使えます、

 戦士レベルは1、魔法レベル1、実績はまだありません」


・・・レベル1で実績なし・・・もしかしてハズレなの?


「実績なしって、今まで何してたのよ」


「はい、雇い主が現れず、モンスター討伐のチャンスがありませんでした、

 今回はそのチャンスをいただき、ボクは燃えています」


あ、そう、


「まあいいわ、とにかく仕事しなくちゃね」


ーーー ねえ魔王、あんたの仲間・・・えーと、魔族っていうの?どうやってこっちの配下に

    すればいいの?、討伐依頼ばっかりだけど、討伐しちゃだめなんでしょ?


ーーー うむ、ザコどもは消し飛ばしても構わん、幹部の者だけは殺さずに・・・

    まあ、力ずくで従わせるのだから半殺しくらいで良いのではないか?


ーーー 仲間なんでしょ?ザコだからって冷たいわね


ーーー 殺した者どもは、魂のカケラを抜き取ったあとでも、アンデット化できる

    そのままお前の配下とすればよかろう。


ーーー うわ、ゾンビか、きしょくわる、


「さて、それじゃ正式に討伐依頼を受けるとしましょうか、ピーター行くわよ!」




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