1話
異世界に転生した私、ヒズキはのんびりダラダラ一人暮らしをしていたある日、
私を死神と間違った魔王にとりつかれレベル1のまま不老不死に、
そしてレベル1のちょっとイケメンを雇って冒険をすることとなった。
不老不死で成長が止まって、いい女にもなれず、レベルも上がらず、だけど雇ったちょいイケメンは
どんどん強くなる、
そんな私が魔王軍を従え、魔族の頂点へとのぼっていく物語
私の名前は ヒズキ ある日突然この世界に転生した。
どうしてそうなったのかは・・・覚えていない。
かすかに自分の名前だけは頭に残っていた。
そして、この世界で私は何を成すべきか、私にはどんな使命があるのか・・・
まったく興味がない。
ただダラダラと平和に暮らしたい、この山の上の一軒家で一人暮らしを楽しんでいたいのだ。
そして、あと5年くらいたつと、私はすげーいい女になる、そしたら町に行って、
イケメンから求婚されて、そして遊んで暮らすのだ、
きっとそうなるのだ。
そうなる・・・はず・・・だったのに・・・
5年前のある日突然、黒いモヤモヤした変なものが西の空から飛んできて私にぶつかった、
そして頭の中に入ってきて、言った。
ーーー あーー!、お前、死神と違うじゃねえか!、まちがえた! ーーー
突然私の頭の中に入ってきたそいつは、いきなり人違いだと言った。
死神と間違ったのなら人ではないので、人違いってわけでもないだろうに、
ーーー ちょっとあんた、いきなり何?死神とは失礼ね!
ーーー そんなボロい服着て、でかい鎌持って、ふらふらしてりゃ誰でもそう思うわ!
文句を言いたいのはこっちの方じゃ!
ーーー むっ、だいたい何で私の頭の中で声がしてるのよ
ーーー ワシはお前の魂と融合したのだ、だから意識がつながり、こうして直接話ができるのだ。
あ、ちなみにワシ、魔王だから
ーーー まっ、まっ、まおう?、なんで魔王がふらふら飛んできて私にぶつかって、
私の頭のなかにいるのよ
ーーー 実はな、太陽神の加護を受けた勇者に倒されてな、魂まで消されそうになってな、
逃げてきたのだ、そうしたらなんと目の前に死神がふらふらと無防備でいるではないか、
そこでワシは考えた、よし死神にとりつき、その力を我が物にしてくれよう、
そして魔王復活のための贄としてくれよう、とな、そしたら、ほれこのとおり、
ハズレじゃった
ーーー ハズレ、むかつく、 で、なんで私の力は我が物としないのよ
ーーー お前、まったく力がないのだ、意味がない、それよりもワシを追って勇者どもが
近くまで来ている。だからひとまずお前の中に魂を隠すことにしたのだ。
といういきさつで、その魔王はひとまず私の中に魂を隠した。 そして私は引き続き
幸せダラダラライフを送っていたのだ、が、しかし、
5年たった今、
おかしい、どうなってる?
5年後いい女になってるはずのこの私が、5年前となーんにも変わってないじゃんか、
1ミリも背が伸びてない、いやそれどころか、髪も伸びてない。
ーーー おーーい魔王、いるか? 久しぶりに出てこい、
ーーー なんじゃ、ワシに何か用か?
ーーー おかしいんだよ、私5年前から変わってない、魔王、何か知ってる?
ーーー ああ、知ってる
ーーー ああ、知ってる、じゃねえ!、言え!、ちゃんと教えろ!
ーーー ひとまずワシの魂とお前の魂を融合させたわけじゃが、その魂は異空間に
転移させてある。その間お前は不老不死なのじゃ、
ーーー あ、あら、そうなの?
ーーー そうじゃ、歳もとらん、今のままじゃ、
ーーー 今のまま?、ねえ、ひとまずってどのくらい?
ーーー 300年くらいじゃ
ーーー はあ?、それ困るんだけど!いい女になるの300年後なの?
今の私になるの300年後なの?
ーーー いや、ワシの魂が分離すれば、お前300年後には300歳だが、
ーーー ・・・どういうこと?
ーーー 300歳になって、たぶん死ぬな、
ーーー そんなのいやよーー!、すぐ出ていって!
ーーー むはははは!無駄じゃ、どんなに嘆こうがワシは出ていかん!力をたくわえ、
魔王軍を復活させるまではな!
ーーー そんなに待っていられないわよ、なんでそんなに時間がかかるのよ、
ーーー あ?、まあ、勇者どもにワシの肉体を滅ぼされてしまったからな、今は魂と魔力しか
残っておらん、肉体の復活には意外と時間がかかるのだ、なにしろ何の力もない
お前なんぞと魂を融合させてしまったからな。
ーーー ちょっとまって、じゃああんたのその、魔力っていうの?、その力はあるってこと?
ーーー ああ、あるぞ、なんならちょっと使ってみるか?、その鎌振ってみろ
私は日課の草刈りで使う大鎌を手に持ち、目の前の草に向かって振ってみた。
「ふん!」
パシュ! ぱら ぱら・・・・
そのひと振りで草は綺麗に刈り込まれた。
「おお!、こりゃ便利」
ーーー ちょっと、やるじゃない!、草がいっぺんに刈れたわよ。
ーーー どこ見とるんじゃ、もっと向こうじゃ、
ーーー ん?、向こう?、 ギャーーーーー!!
奥の山の木が、ごっそりなぎ倒されている・・・数百本、
ーーー どうじゃ、すごいじゃろ、わははは、、あ!まずい、勇者どもが今ので気付きおった、
すぐにここまでやって来るぞ、ワシは隠れる、あとはお前が適当にごまかせ、
魔王の言ったとおり、勇者達は空を飛んですぐにやってきた。
「おーーい、そこの・・・死神のようなお嬢さん」
こいつらも私のこと、死神とかいって、あとで私がいい女になっても口きいてやらない、
「ねえ、今すごい魔力を感じて来てみたんだけど、このあたりに魔王いなかった?」
なんだこの爽やかな感じの奴は、こいつが勇者?、それでこっちのエロい感じの女は魔法使いか?
で、こっちのチャラい男は、、よく分からん、、
この3人で魔王を倒したのか・・・
「ねえ勇者、このおちびちゃん、怯えてしゃべれないのよ、」
「そうだぜ、もっとやさしく聞かなくちゃ、オレが代わりに優しく聞いてあげようか?」
「はは、まあいいさ、もう魔王の気配もなくなった、このあたりはいないだろう、
おちびちゃんありがとう、またね」
「あ、あの、あぅぅ・・・いえ、どういたしまして・・・」
さあいくぞ!みんな!
そう言って勇者どもは去っていった、
なんか、むかついた、
あのオレ達が主役だ的な雰囲気・・・
むかーし、同じようなことが、あったようなー・・・
学校の文化祭でクラスの中の数人がすべてを決めて、あたかもみんなで協力して
やりましたみたいなこと言って・・・
あれ?文化祭?学校?、なんだっけそれ・・・
ーーー ふう、危なく魂まで消されるところだったわい、いや助かった、
うまくごまかせたな、よくやった!、しかしお前、こじらせとるな、
ーーー よけいなお世話よ!