表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悲しい出会い

作者: まゆ推しアキラル

出会いは何時だったのだろうか。

気が付くと彼女は側にいた。


私には家族がいなかった。

ずっと一人でこれからもずっと一人なのだろうと思っていた。


そのように思っていたのに、何時の間にか当たり前のように彼女がいたんだ。


彼女の話によると危険な地域から逃げて来たらしい。帰りたいとは思うけど現状では帰るのが困難な様だ。


無関心だった私は断る理由も特になかったようで彼女を受け入れたのだった。


そのような出来事もあったが私は彼女が側にいる事以外は特に変わりはなく、前と同じ様に生活をした。


普段通りに起き仕事にむかい、帰って来たら食事をして寝る。休みの日には日課の散歩をして時間を潰し適当に過ごした。


普段通りに過ごしていた筈なのに、周りの事なんて気にもした事なかったのに、気が付くと彼女は私にとって必要な存在となっていた。


彼女といるだけで楽しく思い、笑顔を見ると癒され、ちょっとした会話でも嬉しいと感じた。


これからもずっと一緒にいたい思った。けれど彼女は何れ故郷に帰りたいと言っていた。


一緒にいたいけど私の我儘でこの場に留まらせるのは嫌だった。それでも一緒にいたいと思っていた私は気が付くと彼女の故郷にいたのだ。


何処かは分からなかったけれど、なんとなく此処が彼女の故郷なのだと感じていた。


彼女の故郷は荒れ果てていた。殆ど荒野で成り立っており、人も余り見かける事がなかった。


暫く歩くと町に着いていた。予想以上に活発な地域であった。危険だと聞いていたが、その様には一切感じる事はなかった。


此処なら私でも過ごせそうだ。彼女となら何処でだって暮らしていける。


そう思い私は決断した。


次に彼女と会った時に告白しようと。


こんな気持ちは初めてだ。ずっと一人だと思っていたのに、結婚なんか私には無縁の物だと決め込んでいたのに。


言葉にはしづらいけど、ワクワクとかドキドキとかソワソワとか全てが混ざりあったかの様に心が凄く盛り上がっている。


家に帰るまで彼女に何と告白しようかとずっと考えていた。


無難に「結婚を前提に付き合って下さい」が良いかな。「貴女の側にいさせて欲しい」というのも良さそうだし、「貴女は私にとって掛け替えのない存在なんだ」とかも良さそうだなとか。


告白なんて今までした事はない。小説やドラマで見た事はあったが、私には関係ないものだと完全にフィクションとして捉えていた。


過去の自分に会えるならもっと真面目に取り組んでおけと言いたいと思ったくらいだ。


何を犠牲にしてもいい。どうにかして彼女の側にいたい。


経験のない私でも今回の告白は失敗しないと思っていた。何となくだが彼女なら優しく受け入れてくれるだろうと感じていた。


一刻も早く彼女に会いたい、私の思いを伝えたいと自分を急かしながら一直線に家に帰ったんだ。


そして家に辿り着き彼女の元へと向かった。


彼女は笑顔で私を迎えてくれた。


自然に迎えてくれて、告白出来る環境が整い、普段通りの流れで一気に告白してしまおうと思い立った時に違和感を感じた。


自然な出来事だった。何もおかしい事はない。余りにも自然な出来事な筈なのに何処かおかしいと思った。


そして気付いた。気が付いてしまった。


一瞬の出来事だった。一つの違和感に気付いた事によって連鎖的に理解した。


それはとても悲しく辛い現実であった。


此処は私の家だ。しかし普段暮らしている家とは違う。


私には家族がいる筈だ。でも此処には私と彼女の二人きりだ。


此処は何処なんだ。周りを見渡しても見覚えのあるものが一つもない。


意識すればするほど目の前にいた彼女と共に景色が霞んでいった。


そして私は布団の中で目が覚めたのでした。

夢で悶えたのが久しぶりだったので忘れないうちに書きました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ