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Dクラス

二年生。


それはすでにある程度の友人関係が出来上がった年代だ。

仲の良い友人と固まって談笑をするクラスメイト達。

そして、武尊と同じように一人読書に励むもの、机に突っ伏しているものと別れている。


この学校はD,C,B,A,Sと5クラスに分かれている。

武尊のいるこのクラスはDクラス。

学園でも成績の低いものが集まっているクラスだ。


突然の高校二年生という事もあってか、謎の緊張感に包まれていたが特に親しい友人もいないのか、誰からも話しかけられるという事もなかった武尊。

謎の安心感と、少し寂しい気持ちになりながらも、下手に話しかけられると返答に困るという事で、好都合だと思う事にしていた。


「おーい、お前らそろそろ席付けよ。HR始めるぞー。」


けだるそうにしながら教室に入ってきた男。

タバコのように棒のついた雨を舐めながら入ってくる無精ひげの目立つ男だ。


先ほどまで楽しそうに談笑していた生徒たちは先生が入ってきたという事もあってか、ぞろぞろと席についていく。


「それじゃあ、簡単に自己紹介な。去年もDクラスだったものは知っていると思うが、俺の名前は佐竹さたけ つとむ。おっと、名前と恰好が一致しないとか言うなよ?これから一年間お前らの担任をめんどくさそうだが担当することになった。とりあえず、何か問題を起こさん限りは不干渉で行くからそのつもりで。んじゃ、あとは勝手に自己紹介するなり頼んだわ。」


唖然。


クラスメイト達の表情を見る限り、驚いているものが半分、慣れているのか特に気にしていないものが半分と、クラス内で分かれている。

どうやら学年が上がったことで、軽いクラス替えがあったのだろう。


どうするか………。とクラス内で視線を交わしていると………。


「それじゃあ、私から自己紹介するねー。私の名前は龍堂りゅうどう 明日香あすか。好きなものは甘いもの全般で、嫌いなものは苦いもの!去年まではCクラスだったけど、期末試験でミスしたみたいで、このクラスに来ました!これから一年間よろしく!」


クラスの中央。比較的目立つ場所から一人の少女が立ち上がり、率先して自己紹介を行った。

クラスメイト達はそれにつられてか、一人一人と自己紹介を行う。


「霧埼 武尊。去年もDクラスだった。以上。」


武尊は当たり障りのない事だけ言って、席に着く。

武尊は特に気にしていないが、クラスメイトの大半から来る視線はーーー嘲りの視線だった。










「タケルさんっ!すみません、待たせてしまって………。」

「いや、俺も今来たとこ。まあ、愛奈も来てないしのんびりしようぜ。」


綺麗な長い銀色の髪を振りながら走ってくる目を引く美少女ーーーエリス。

普段はストレートで腰まで流している長い髪を今はポニーテールにまとめている。


「エリスは確かSクラスだったか………?」

「はいっ!できればタケルさんと同じクラスが良かったのですが……。でも、もう友達もできたんですよ!みんなよくしてくれて………。」


笑顔でクラスメイトのことについて話すエリス。

タケルはそれに苦笑しながら相槌を打つ。


ーーーよかったな………エリス。


向こうの世界では聖女と呼ばれ低調に扱われていたエリスだが、親しい友人と呼べるものはほとんどいなかった。

基本的には王族とのつながりを持とうと近づく貴族や、その目麗しい容姿に惹かれ近づいてくるものばかり。

同性の友達も一人しかいないと聞いたことがある。


「おにいっ!お待たせっ!」


どんっ!と後ろからぶつかってくる少女ーーー愛奈。

発育のいい少女から後ろから抱き着かれた武尊だが………


「危ないだろ?」

「えへへっ、おにい達と一緒に帰るの頼みにしてたから。」


笑顔で言う愛奈に武尊もエリスも苦笑いだ。


そんな三人組を遠くの方から見る視線があることに一人を除いて気づかないのだった。

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