現状について
あの後、武尊も風呂に入りみんなでご飯を食べた後、エリスは愛奈の部屋で寝ることになった。
まあ、男女が同じ部屋に寝るのもどうなのかと言われれば頷くしかないが。
ーーー向こうでは結構一緒に寝てたんだよな………。
そう、よくエリスは武尊と一緒に寝たいと言い、何度かベッドを共にしたことがある。
そのたびに武尊が何度理性を振り絞ったか分からないが………。
ーーーそれよりもあの力………そういうことだったんだな。
武尊は一人で自室にいる為気兼ねなく今の状態を調べていた。
涼子が使ったあの力について………。
ーーーまさか世界中で使われているとは思わなかったけどな。
一部だけの何か特別な力か何かと思っていたが、世界中で一般的に使われているようだった。
力の名前はーーー幻想器---。
人類に宿る気、オーラと呼ばれるものを使用して自らの内に眠る能力を引き出すことを指すようだ。
能力とは言ってもそれを使用するためまずは涼子の大太刀のよう武器の形を取って現れる。
それぞれランクが付与されておりF~Sランクまでの階級があるようだ。
訓練次第ではFランクの能力でもCランクまで引き延ばせると記述されている。
一般的にはCランクともなれば国からある程度の待遇を受けられるらしい。
ーーーそしてこの世界のおれはFランク。高校二年生でか………。
武尊の手には学園の成績表。
書かれている内容は
剣聖学園
霧埼 武尊 二年生
筆記A
実技D
幻想器F
総合能力 E判定
剣聖学園ーーー名前の通り昔の剣聖と呼ばれる方が創設者であり、自らの後継者を育成するために設立したようだ。
世界中からこの学園へと入学しようという希望者も殺到するほどレベルの高い学園で、ほかにもある幻想器を授業に取り入れている学園の中でもトップ5に入る程だ。
現在は設立者の剣聖も13代目との事でなかなか長い歴史を歩んでいる学園のようだ。
ーーーそれにしてもこの成績は………。
平均的なランクなどもインターネットを使えば調べれるのだが、平均はD。
しかも、基本的には学力を抜きにしてのDランクのようだ。
「これはちょっと………めんどくさそうだな………。」
そして月日は流れること一週間。
「それじゃあ、行こうか。」
「はいタケルさん。」
エリスを伴い武尊がいる場所は剣聖学園。
今日はその始業式の日だ。
エリスは涼子がいつの間にか用意した戸籍を利用し、義理の娘として登録したようだ。
つまり今のエリスの名前は 霧埼エリス。
これを知らされたとき、いったい何者だよ………。と思ったことは記憶に新しい。
そして無事編入試験をクリアしたエリスと共に、武尊の学園生活が始まろうとしていた。