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目覚め


・・・・・


「君はこの世界の勇者に選ばれた!」


・・・・・は?


「この超大陸アガサスに現れた魔王を討伐するのが君の役目だ!」


・・・え・・


「そこで君に能力を授ける!」


・・・・・なにこれ


「この中から選ぶがよい」


・・・わけがわからん・・


「 本当にそれで良いのだな?」


・・・まだ選んでない・・


「それでは旅立つのだ勇者よ!」

「そしてこの世界の強い希望の光となるのだ!」






「はっ⁉︎」


目が覚めると俺はいつも通り自分の家にいた。


「…夢か」


なんであんな夢を見たんだろう。

ゲームのやり過ぎか?


「さて…準備しなくちゃ」


時計を見ると朝の7時半。

ヤバい!遅刻寸前だ!


「ゆっくりしてる場合じゃない!」


俺は焦って寝室のドアを開けた。


「…あれ」


目の前にあるはずの部屋がない。

なんでだ?


「……」


こんな時間なのにまだ寝ぼけてるのか。

自分自身に呆れながら目をこする。


「…!」


部屋がない。

まだダメか。

今度は自分をビンタする。

それでも部屋は依然としてないままだ。


「なんだこれ」


不思議に思い部屋を出た。

左右を見回す。


視界には見た事もない豪華な廊下があった。

レッドカーペット、シャンデリア、何かの絵画に綺麗な花まで。

完全に俺の家じゃない…


「な、なんなんだ…」


途端に昨日の事を思い返す。

仕事を終えて…飯買って…家に帰って…飯食って…風呂入って…寝て…

こうだったはず。

いやいやだったらここはなんだ?

まさかこれも夢なのか…?


『お目覚めになりましたか』


「っっ!!」


背後から知らない声が聞こえた。

ばっと振り向くとそこには穏やかそうな若い女性が立っていた。


「だ、誰だ…あんた…」


「お忘れですか?昨日お教え致しましたのに…」


「いや!あんたなんて知らないぞ!」


大きな声で言った。

怖くて仕方がない。


「私はリーネでございます」

「以後お見知り置きください」


リーネ…?

聞いた事もない名前だ。


「なんなんだあんたは…」

「一体俺に何の用だ!」


「私はこの城の使用人でございます」

「国王陛下より勇者様の様子を見てくるようにとの命を受けましたのでここに参ったのです」


国王陛下…?勇者様…?一体なんのことだ…?


「しかしお元気なようで何よりでございます」


そして俺に向かってにこやかに笑った。

かわいらしい笑顔だった。


しかし今の俺にそんな事を気にする余裕はない。


「…ちょっと待ってくれ」


勇者様ってなんなんだ?

こいつの言い方だと俺が勇者のようだけど…

俺は昨日は普通に家で過ごしてたし…


「昨日俺はどうしたんだ」

「どうしてここにいる?」


「勇者様は昨日、国王陛下のお話を聞いた後突然お倒れになったのです」


倒れた?俺が?


「国王陛下が勇者様に能力を授けられ、旅立つようにとおっしゃった直後のことでした」


「そんな事が…あったのか?」


「はい」


「…これは現実か?」


「もちろんです」


やっぱりわからない…なんなんだ。

でも今言ってた事、何か記憶がある気がする。


……なんだ…?


……?


……!


思い出した!今朝見た夢だ!

色々衝撃的すぎてすっかり忘れてた。


でも夢で見た事が現実?

そんな事あるわけない。

普通の神経してたらいきなり勇者と言われても信じられないはずだ。


「勇者様、体調の方が良好でしたら国王陛下が来るようにと申しておりました」

「衣服は既に用意しておりますので、お着替えになって国王陛下の御前に参上なさってください」


「着替え?そんな物なかったぞ」


「昨日の内にお部屋に届けさせていただいたはずなんですが…」

「後ほど確認いたします」


部屋に!?なかったぞ!

確認のため部屋を見てみるか。


「…え?」


ドアを開けるとそこに俺の部屋はなかった。

全く違う豪華な部屋に変わっていた。

キングサイズのベッドの横の物置の上にに着替えと思われる服が綺麗に畳まれていた。


なんで…さっきまで確かにいつもの部屋だったのに…。

一体どういう事なんだ…?


「勇者様?いかがされました?」


「お、俺の部屋…が…」


「はい、確かにここは勇者様のお部屋でございますが…」


「いや違うんだ!もっとこじんまりとした…小さなベッドと鏡と時計しかないのが俺の部屋だったのに…」

「お前が部屋に入った時に何かしたのか!?」


「いえ…私が入った時には既にこのお部屋でした」

「そもそもそのようなお部屋はこの城にはございません」


「そんな…」


「とにかく、準備が済みましたら参上してください」

「それでは私は失礼いたします」


「ちょっと待ってくれ!俺の部屋…俺の家は?」

「これは一体どういう事だ!」


振り向いてもそこには誰もいなかった。

もうどこかへ行ってしまったのか。


「くそ…どういう事なのかさっぱりだ」

「全く説明すらなしだ」

「とりあえず王のところに行ってみよう。そこで聞けばいい」


そして俺は身なりを整え王の待つ部屋へ向かった。


【つづく?】

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