プロローグ Один
「……ろ……き……きろ………起きろ……起きろ!同志アリエフ!」
その後、私は仮面を付けた何者かに叩き起こされた。
「お前は死んだのだよ、同志アリエフ。そして今いるのは死後の世界だ。」
「……そうか。私は死んだのか……。」
「驚かないのか?」
「自分が死ぬという大体の想定はついた。だがいざ死んで見ると清々しいな……。」
「そうか。そして今はお前の審査をしているところだ。」
「そうか…………やはり地獄か?」自嘲気味に呟く。
「いや、そうでも無いぞ。お前のした戦時中の人道的な決断の数々を俺は見ていたぞ。よってお前は希望の条件で異界への転生を許可する。因みに魔法があるぞ。
「そうか。所で貴方は?」
「私はウラジミール・レーニンだ、同志アリエフ。」
「これはこれは、同志レーニン閣下でしたか。」
「如何にも。そして希望の転生先は?」
「……その前に一つ聞いても?」
「よかろう。続けたまえ。」
「…貴方は何故ここに?」
「俺が死んだ後番人を名乗る者に社会主義・共産主義者の管理を任されて此処にいる。その時点で奇妙な仮面を付けられた。曰く死因や経歴が見えるらしい。」
そう言って仮面を取ってみせる。私は思わず敬礼をした。其処には革命以前からの盟友である同志レーニンがいたのである。
「私の希望は兵器や人員を召喚出来る能力を手に入れる事。地位は冒険者。だが、世界中で有名な冒険者で一声で賛同者が集まるような冒険者だ。自分の能力を維持する。爵位は無し。場所は母なるソビエトのような大地で。」
「ほう、社会主義の革命を起こす気だな?」同志レーニンが訊く。ただし目が笑っている。
「はい。ブルジョワをこの手で打倒するべく奮闘する所存です。」
「言ったな?では行ってまいれ!世界中でコミンテルンを立ち上げるのだ!」
紅い光にに包まれる。其処で私の意識は絶えた。
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