VSオーク
ソフィーを見送り俺たちも行動を決めた。マリアとエリーは宿で待機。俺とレイアはギルドの隊には入らず隠れて遊撃していくことにする。ソフィーもいるし、万が一もないようにするためだ。そしてすぐに行動に移す。
冒険者達が西の門を抜けるとそのまま真っすぐと平野を駆けていく。俺はその進行の右奥から、レイアは左奥からサイドバックのように進撃する。冒険者達が討ち漏らした魔物を追撃するためだ。
冒険者の隊が平野を正面から進んでいる間に俺たちはそれぞれ何組かを殲滅しつつ移動していく。そして、驚くことにいうか、ある種予想通りに小隊はオークジェネラルが指揮をしていた。ということはやはり敵本体にはキングがいるというのは確定だろう。これで実はオークキングはいないという期待はできなくなったな。ジェネラルが小隊を指揮するなら本体はキング、すなわち王だ。
ジェネラルが指揮する隊は数十ありそれぞれ50近いオークを従えている。ジェネラルとオークレベルの隊であれば苦戦はしても冒険者たちはなんとか倒していけるようだ。前衛が攻撃し、反撃があると盾役が前へ出る、後方からは魔術や弓と遠距離攻撃を仕掛け状況が悪くなれば回復・支援魔法でしっかりとサポートする、と連携がきっちりとれている。そこはやはり、熟練の冒険者達だ、連携という点では俺たちよりもうまいかもしれない。俺はそこにはいり上手くやる自信はない。
構成を見るとAランクの冒険者が小隊の長となり、指揮をとる。そして大局的にはギルドマスターが総指揮をとっている。隊と隊を馬が駆けていくのが見えるからしっかりと情報もやり取りできているみたいだ。携帯みたいなものがあると便利なんだろうな。
冒険者達は少なくはない犠牲を出しつつも常に優勢に戦を進めている。もちろん、俺とレイアが尻拭いをしているとはいえだ。しかし、今の状況を見るとキングが率いる隊は厳しいかもしれない。キングの隊を構成する50を超える魔物はすべてジェネラルである。都市を軽く蹂躙できるレベルだ。
戦況は刻々と動いているが今のところ常にこちらが優勢だ。未だに王都への被害はない。
と、軽く自分たちの自慢もわすれない。
もちろんこれは冒険者達が思いのほか連携をしっかりとり善戦していることが考えられるが、敵本体が後方から動かないことが一番の原因だと思う。そして1000を超えると思われた敵部隊も今はその数も10分の1ほどとなり本体と残党を残すだけとなった。
だが、ここにきて冒険者たちは攻めきれないでいる、それはキングの存在だ。周りは幾匹のジェネラルに守られているため下手に接近できない。一流の冒険者でもジェネラルに囲まれてしまったら一気に危機的状況になる。そこで、魔術や弓による遠距離に攻撃方法を変えるが足を止めるので精一杯だ。いつか、魔術師の魔力が切れたらこの足止めも無理になり、冒険者たちは蹂躙されてしまう。そしてその後は王都へその矛先向けられるだろう。
ここにきて、俺は最悪遠方から魔法を放ちオークたちを殲滅すること決めた。目立つのは嫌だが、見殺しにするのはもっと嫌だから。
周辺の冒険者が敵本体を足止めしている間、俺とレイアは残党をすべて処理し終わった。そして合流し冒険者達を見渡せる物陰に隠れてことの推移を見守ることにした。そして俺の計画も伝えておく。
「レイア、もし冒険者が押される事態になったら俺はここからオークを殲滅するよ。最初のプラントは変わってしまうが仕方がない。」
「いいんじゃない?クロノが有名になるの私は反対しないし。なんかかっこいいじゃん」
レイアはあまり深く考えていないのか、そんな風に返す。まぁ、有名になって困ることもあるけど得することもあるってのはわかってるんだ。でも絶対碌な目に合わない、それは今までに読んだラノベがそう言っている。でも、現状冒険者たちはじり貧なわけで、いつかは俺が出ないといけないのかな・・・・。
「「盟約の元わが手に集え炎の精霊よ、猛よ焔、業火よ敵を焼き尽くせ エクスプロージョン」」
「「炎帝よ、我らが契約の元、御身のその力、我が敵を討つために具現させ賜へ 終炎」」
俺がいろいろ考えいる間に後方から応援が駆けつけてきたらしく、気づいたらそのなかの4人が同時に魔術を放っていた。4人で2つの魔術を二人づつ詠唱し、合わせて放ったのだ。
その威力はすさまじく、ジェネラル達は殆どがひん死、キングも致命傷を負った。そして、そこをチャンスとみた高ランクの冒険者達が一気に攻め込む。そうなってしまった後はワンサイドゲームであった。俺の決意を返してほしい、まったく。それにしてもさっきの4人はすごいな。意図してどうなのかは知らないが、同系統の魔術を似た魔力質で重ね掛けすることで威力を倍加させていた。そういう発想はいままで思いつかなったので、正直思わぬところで勉強になった。
「冒険者の諸君無事か? 遅れてすまない。私は宮廷魔術師長で他の4人は部下だ。」
攻撃を放った4人以外に1人が冒険者達へ防護魔術をかけていたのだ。もしそれがなければ冒険者は半分以上が炭となっていたかもしれない。
「まっさきに王都を救うために盾となってくれたこと本当に感謝する。もちろん気持ちだけではなく、しっかりと報酬を用意してあるので、それぞれギルドにもどったらうけとってくれ。この度は本当に助かった。」
宮廷魔術師の人がそういうと冒険者たちはそれぞれ行動を開始する。そう、素材の剥ぎ取りだ。さすがにあの乱戦では倒すこと優先でそんな暇はなかった、だから今なのだ。まぁ、俺はしっかりと収納してあるか問題ない。
宿に帰るか。
こうして今回、王都から魔物の脅威が取り除かられのであった。
あれ、俺なんもしてない???
次回11/9 18:00 頃更新予定です。
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