試練の塔⑥ 明かされた真実
日が変わり、全員がそろい俺たちはいよいよ最上階へと続く階段を行く。
フロアに上がるとそこは大きな広間に出た。6階で見たような、大理石で覆われたどこか威厳のあるような部屋。そして中央には大きな椅子がある。椅子はきらびやかな装飾がされており、この国を治める王の物と言われても不思議ではない。
あたりを見渡し、気配を探るもそこにあるのはその椅子だけであり、他には何も存在しない。
手がかりが椅子しかないのでそれを調べようと歩みを始めると、いきなり椅子に男が現れた。
「おめでとうございます、みなさま。これで試練の塔はある意味クリアですよ。ご自分たちではわからないかもしれませんが、ここにたどり着いたときよりもかなり成長していらっしゃいます。」
いきなり現れ、いきなりクリアという男。
俺にはこいつに見覚えはない。
「お前はだれなんだ?」
「私はとあるお方の部下、とある方というのはだれかわかりますよね。私には恐れ多く口にはできませんが。」
「あぁ、理解している。」
4人が不思議な顔をしている、師匠の異常性、俺の前世のことは3人には伝えてないから、いまいち理解してないんだろう。まぁまだ、このことを明かすつもりはない。
「それならば、祖のお方からの伝言がありますが、お聞きになられますか?」
「あぁ、頼む。」
男から青い結晶を受け取る、そしてそれに魔力を込めるようにと促されたので魔力を込める。
『クロノ、とうとう試練の塔をクリアしたんだね。でも、本当の試練塔はここからだよ。ある意味って言われたよね?どういうことか知りたいかな、知りたいよね?ただ、ここから先の話を聞くと後に戻れなくなる、だからもし君が今のまま平穏な暮らしを望むならこのままこの結晶を破壊してくれ。考える時間を上げよう。』
無言の時が過ぎる。
『どうやら、決心はできたみたいだね。よし、それじゃまずこの試練の塔、何のためにあるかわかるかい?主に魔力の質を変えて制御ばかり訓練してきたけど、不思議に思わなかったかい?』
確かに、人や魔物を相手するのにそもそも性質なんて気にしなくていい。てっきり魔力制御のためと思っていたけど、まさかそれ自体が目的とでもいうのか?
『結論から言うと、この先出会う敵は、敵ではないが私もだが、普通の魔法や攻撃は意味をなさない。この塔の魔物同様にそれぞれ魔力の性質があり対応したものでないとダメージを与えられないんだ。相対するのに最低限性質を制御できないといけない、そのための修行だったんだ。』
なるほど、これは次のステージに行くための登竜門といったところか。
『そして、相対するのは、邪神族、と言われる者たちだ。これらの種族はもともとは他の世界からの侵入者でありこの世界を支配・破壊しようと画策している。今までは動きが穏やかで世界に対する影響も少なったがここにきて状況は刻々と変化している。そこで、クロノスにはその邪神族の親玉を倒して欲しいのさ。』
話のスケールが一気に広がったな・・・。
まぁ、師匠の頼みら頑張るか、いざとなった辞めればまた普通の生活に戻れるわけだし。
きっと他の誰かが頑張ってくれるさ。
『あぁ、言い忘れそうになった。試練の塔の本当のクリアは私に勝つことだよ。ただ、邪神のせいでこの世界の神である私はその世界に具現化できない。なので、20階を真の意味でクリアするには邪神族を倒した後またここに戻り、私を倒すこととなるね。ちょっと大変だけど頑張ってね。それじゃぁ。』
本当にちょっとなのか?つっこんでもいい?
でも師匠と戦うチャンスはあるんだな、よし!!!
『あぁ、またまた言い忘れそうになった。この邪神族の特殊能力があって、邪神族を認識したものを感知できるというふざけた能力があるんだ。だから、途中退場は基本できないから。やるかやられるかだよ。感知と言っても精度は低いみたいだから、ピンポイントで狙われることはないから安心してね。今度こそ、それじゃ、会えるのを楽しみにしてるよ。 ウラヌスより』
むちゃくちゃな話だな、俺でもなんだそれなのに、他の4人なんてぶつぶつ言ってるやつと、感がえることを放棄したように笑ってるやつがいる。まぁ、そうなるわな。
それにして、ホントに神様みたいな人だったんだな、すごい人、神様か、とは思っていたけど。
考えをまとめようと声をかけようとする、と
「みなさま、わたくしが皆さまが泊まっていた宿までお送りしたしましょう。」
男が言う。ふいをつかれたのついつい声が出てしまった。
「あぁ、頼む。」
そして、俺たちは宿に転移させられた・・・。
聞きたかったことあったのに・・・。
師匠へ まさか神様だとは、さすがは俺の師匠!!
次で第2章完結となります。
次回は30日 18:00更新予定です。
第3章、シリアスでいくかギャグ要素強め出いくか悩んでます。
3章とりあえず簡単なプロットは2パターン作ってあるんですが・・・。悩む。




