閑話 試練の塔 そのころ一方
今回は視点を変えてお話を書いてみました。
この作品でいろいろ試していきたいなと思っています。
と、今回は主人公とは別のグループのお話です。
時を少しさかのぼり、クロノとレイアが上階を攻略している間、遅れてソフィー、マリア、エリーの3人も無事5階へとたどり着いた。
3人はあたりを警戒するが、目にできるのは大理石の壁とフロア、そして差し込む光だけであった。
どこか荘厳な雰囲気のあるフロアをソフィーを先頭に歩く。
しばらく歩くと、床からオークジェネラルが現れた。
3人は一瞬にして戦闘態勢に、ソフィーを先頭にマリアとエリーがサポートである。
「マリア、いつも通り援護を、エリーは警戒と回復をお願いしますわ。」
「「わかりました!」」
普段の狩りで3人で行動することもあったからか連携は上手くとれているようである。
マリアとエリーはアイテムでの戦闘がメインになるため積極的に行動できない、先の長い塔を攻略するためには節約が必要だからだ。
ソフィーが炎系魔術を放ち、それを追うように攻撃を仕掛ける。
爆炎で視界が塞がれるがそこはAランク並の冒険者、気配をつかむことで難なく接近戦を繰り広げる。風を切り裂くような太刀が上下左右からオークジェネラルを幾度が切りつける。しかし、オークジェネラルの動揺は少ない。対して、時折オークジェネラルから受けるダメージは大きく、動きを止めてしまうこともあった。素早さではソフィーのが上、威力・耐久ではオークジェネラルが上といったところだろう。そしてソフィーの攻撃のが多く命中しているがトータルでのダメージとなると、ソフィーのが分が悪い。同様な方法でも1~4階はどうにかなったが、さすがはBOSSである。
不利な状況を察したか、
「ソフィーさん、離れて。」
マリアは指示をだすと同時に、爆薬系アイテムであるフレアボムを投げつける。
マリと同タイミングでエリーもポーションをソフィーに投げ渡す。
2度目の爆発がさく裂し、視野がはれるとそこには戦闘開始前と変わらない姿が並んでいる。
敵味方ともに、決定打を与えられていないのである。
この段階でソフィーは確信した。今まで同様の戦い方をしたら、次第に集中力が鈍り被弾率が多くなる。すると必然的に不利になる一方であると。この状況を打開する方法は幾つかある、がしかしそれを実行するにはためらってしまう。
「ソフィーさん、やりましょう。」
「やるしかないですよ、私とお姉ちゃんがこの後も頑張って作っちゃいますから。」
隣からソフィーを促すように二人が声にする。
「わかりました、しかしやるからには徹底的にですわ。もし、想定外のことが起きても、全力で対処していきます。幸いここでは死ぬことはないようですし、全力で行きましょう。」
語気を強め、決心をして行動に移す。
「合わせますわよ。」
ソフィーの言葉から少し遅れ、いくつかのフレアボム改がオークジェネラルに向かう。オークジェネラルは回避行動をとるも、炎の壁に遮られて動くことができない。見るとオークジェネラルはソフィーの作りだした炎の壁によって囲まれている。ただ一つ上空を除いて。
爆発の連鎖が起きる、あたりの温度が一気に上昇したようだがソフィーは敵の気配を捉えている。
二人は追加で無数のフレアボム改を上空に投げ捨て、追撃をする。
ひたすら鳴り響く爆発音、揺れるフロア、立ち込める煙。あたりはどこの戦場だと言いたいぐらいに混沌としている。そしてしばらくするとストックが切れたのか二人の手が止まる。
しかし、あまりに混沌としていてソフィーも気配が読めないので3人は視界が晴れるまで警戒を辞めることはない。
室温が少し下がり始めると、煙もなくなりそこに存在するのは炎の壁だけであった。
そして、3人はその中には丸焦げのオークジェネラルを見つめる。
「「「やったー、倒したよ(わ)」」」
3人は興奮した様子のまま新たに現れた階段を上っていく。
余談だが、二人のフレアボムは試練の塔内で魔力性質をこの塔に合わせて作ったものであった。
それにより、他の3人の攻撃よりも効率よくダメージを与えることがでるのである。
そしてこれ以降6階以降はソフィーの冒険者の経験でトラップをあっさり見破り、11階以降の大量発生モンスターはマリアとエリーの魔道具が火を噴いて楽勝ムードであった。もちろん、魔力性質調整のためノンストップとはいかなったが。
そして、18階にたどり着いたとき、上階からなにやら激しい音がするのに気づいた3人は笑みを見せるのであった。
どうでしたしょうか、ご意見・アドヴァイスありましたらよろしくお願いします。
次回は26日 18:00 更新予定です。




