クロノ学生になる
第1章 最終話です。
メンバーが5人になり、数カ月の月日が流れた。
季節は春となり、暖かい日が続く。
「クロ君おきなさい。レイアちゃんも起きて。ごはんが覚めちゃうわよ。」
眠い目を必死に開けるとそこにはメイド姿のマリアが立っていた。
奴隷として一緒にいるのは俺にとって違和感があったので、ソフィーみたいに仲間として一緒にいてもらうことにしたのだ。
慣れるまでに時間がかかったが今はご覧のとおり、こんな調子である。
「クロノにレイア、ホントにおきなさい。お姉ちゃんの雷が落ちないうちにね。」
と、俺とレイアが布団という聖地に籠っていると今度はエリーの声がする。
こちらもメイド服である。二人ともかわいいね、などと思いもう一度夢の中に戻ろうとしたところ、ついに布団をはがされてしまった。
泣く泣く、リビングに降りてごはんを頂くことに。
すでにソフィーは準備が終わっており、いつでも出発できる状態だ。
俺とレイアはというと、まだパジャマである。
あきれたように見られるが、ソフィーも俺たちの寝起きの悪さにはあきらめたらしい。
今はもう何も言ってこない。
5人でテーブルに着くと、二人が作ってくれた、コーンスープにサンドイッチ、オムレツにソーセジ、といった洋食の朝ご飯をみんなでいただく。
3人では考えられなかった生活だ。
二人がいてくれてよかった、と心の底から思う俺。
きっとレイアもソフィーも同じように思ってるはずだ。
朝ご飯の後は狩りに出かけて、夕方には帰って、またみんなそろって夜ご飯を食べる。
それが今の俺たちの日課である。安定して高ランクの魔物を狩っているので資金繰りも申し分ない。そうそう、俺たちの冒険者ランクは3人ともCランクになった。
パーティーとしては登録していない、いまのところする必要がないのである。
そんなこんなで日々生活をしていた。
そういえば、ある時ソフィーと2人になる機会がありマリアとエリーを買ったときの話になった。
ソフィーから聞いた話ではアリアが相場より高かったのは、性奴隷として売られていた、というのが理由らしい。そして、ソフィーはマリアにいつその役割をすればいいのか相談されたみたい。
ソフィーは俺の意図を汲んで無理にそんなことしないでいいと言ったが、マリアはクロノスが相手ならよろこんでと笑って言い返したらしい。
そんなんだから、どこかのタイミングで、それとなくマリアと話して欲しいと頼まれた。
あぁ、時よりレイアがいない時、マリアが色っぽい姿で俺の部屋に来たのはそういうことかと納得し、近いうちにマリアと話すと心にとめる。間違いが起きる前に説明しないと、俺はレイア一筋だ。
明日は学校の入学式だ。
当初は俺とレイアだけで行く予定だったが、マリアとエリーが家事だけでなく、錬金術士として、俺を助けていきたいと言ってきたので4人で通うことになった。
ソフィーは熟練の魔術師であるから、学校に行く必要はなく、俺が狩りに行くときに手伝ってもらうことになるはずだ。
今日はみんなで明日の準備、イベントの前はわくわくするね。
現在のLV
クロノ LV25 レイア LV22 ソフィア LV60 マリア LV3 エリー LV3
となっている。
次の日
ソフィー以外の4人で、学園へ向かう。
桜の様な花が舞う中、俺たちは4人で話ながら、式典の行われる開館へ向かう。
「レイア、すっごい楽しみ。それで、早く魔術覚えて、クロノを助ける。」
「私もはやく錬金術を覚えてクロ君の役にたちたいわ。」
「私もだよ、お姉ちゃん。」
「みんな、頑張ってね。もちろん、無理はしなくていいからね。できることを、やればいいんだよ。」
「ぜったいに、早く魔術覚えるの!!」
「レイアが一番になるようにがんばらないとね、でも僕も負けないよ。」
レイアはまったく引かない、みんなやる気があるようでいいことだ。
俺も早くいろいろなものが作れるようになりたいと、師匠からもらった錬金術の書にあるいくつかのアイテムを思い描く。
入学式はそつなく終わり、まぁ学校長の話が長くてレイアだけでなく俺まで意識が飛んでいたのは置いといてほしい。必要な教材の購入や年間のスケジュールを把握した後はそれぞれ解散となり、みながこれからの楽しい学校生活を想像して家路についた。
第一章 完
やっと第1章が終わりました。
次回は明日17:00 更新予定です。