レギオンの開発計画
俺はオルベガから貰った鋳造する方法を試しオルベガと協力して器を作った
オルベガが俺の作った物がただの器だった事に驚いて「主の事だから剣を作るかと思ったが違うのか?」
俺はグラルフの外で炎属性の魔法を使い熱し続けながら器が超高温になった所で鉄を溶かして行く
「うん、これなら鋳造プレスもできそうだな」
オルベガは意味が分からず首をかしげ「ちゅ、鋳造プレスとはなんぞ?」
俺は解説する「鉄を金型に流し込んで、圧縮するんだ、それで形が出来上がるという従来の鋳造とは違う方法」
オルベガが関心して頷き「金型ならば、自由に形も変えられると・・・賢いの」
俺は頭を下げて「恐縮です」
オルベガは辺りを見回して心配そうに「でも金型が無いぞ?」
俺は冷や汗をかいて「それが問題なんです・・・流石の私でも金型を作る事は・・・」
オルベガが俺の心配する顔を見て笑い「いい奴を知っておる」
「ほ、本当ですか!?」
――――――
案内された場所は街の外れにある加工屋、ボロボロでとてもじゃないが入りたくない印象が強い加工屋
「おーい!ゲンジ!!ゲンジはおるか!!」
「うるせぇなロリババァ、なんの用だ?」
出てきたのは身長が小さい事が特徴のドワーフ族の爺さん、かなり高齢だが背中には自分の身長とほぼ同じぐらいでかいハンマーを背負っている
どこか頑固ジジイっぽい印象の顔だった
オルベガが腰に手を当てて、その可愛らしい顔で怒り「相変わらず貴様はその口だのぅ・・・童がその気だせばここを絶対零度にしてやると言うのに」
ゲンジは白髪をボリボリ書いて、オルベガを見て言う
「ったく武力で脅してそれか?“アイツ”が悲しむぞ」
オルベガが一瞬すごく悲しい目をした後に正常に戻り
「ぐっ・・・それよりもじゃ!用があるのは童じゃなくてこ奴!!」
俺に指を指してきて俺は頭を下げる
ゲンジはすぐに雰囲気を変え笑顔で俺に語り掛けてくる
「おう噂で聞く白髪の魔竜様か、どうしたんで?こんな客も少ない店に」
俺は少し心配だったが、手書きの設計図を渡す
「この設計図の金型を作れないかと」
ゲンジは受け取ると驚いて「これはっ!!・・・なるほど、このパーツがこうなってこうなる事で・・・グフ、グフフフフ、これは面白いオモチャだ」不気味な笑い声の後、やる気に満ちた目で
「いいじゃろう、やってやるわ、じゃが金型は相当な試行錯誤が必要になると思われるぞ、納期は1年それでどうじゃ?」
俺は納得のいく数字だった、この時代で金型を作る方法は難しい、ドワーフ族の力を借りなければできない仕事だし、初の試みでもある。
1年・・・この期間は長いが仕方あるまい
「よろしくお願いします」
ゲンジは新しいオモチャを手に入れた子供ようにワクワクした顔で店へと戻って行く
オルベガは一息つくと「あ奴も主と同じで職業病じゃ、難しくて新鮮味のある仕事が入るとすぐこう缶詰になるんじゃ、ゲンジは口が悪いが童の開発依頼した者は滞りなく仕事しおる、期待していいぞ」
俺はオルベガに笑顔で
「良い友をお持ちですね」
そう言うとオルベガはまだ見た事のない思いげのある顔で呟く「そうじゃな・・・」
俺は戸惑った、いつも元気なオルベガがこんな顔をする事なんて滅多にないから
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そして俺はグラルフへと戻ると銃器開発計画は保留にして次の依頼を見た
「なるほど・・・賠償で貰ったカタルシスの改修か・・・」
魔導兵器カタルシス、前世で言う戦車の役割を担う大型兵器。
確かにこいつは俺に任せるのは納得だ。
俺はカタルシスが保管されている街の倉庫へと浮遊術で向かうと、そこに包帯を巻いたジェラルトの姿があった
ジェラルトは俺に気が付いて
「レギオンか、何しに?」
俺はジェラルトの横に立ち、大きいカタルシスを見つめ「こいつの改修を頼まれた」
ジェラルトは頷いて「そうか、それじゃあ俺は邪魔になるな・・・」
そう言って去ろうとしたため俺が肩を掴み止めて
「ジェラルト、お前は負けたわけじゃない」
「いや・・・俺は負けたよ、あの時、もう少し体に力を入れ方がしっかりしていれば弾けた、完全に俺のミスさ」
俺はカタルシスの主砲を見て
「そうかな?普通こんな化け物の主砲なんかまともに喰らえば即死だ、だがお前は耐えた、これは誇りに思うべき事だぞ?お前は化け物の弾丸を受け止めた怪人ってな」
ジェラルトは大笑いして「怪人か!レギオンには敵わないな・・・それじゃ俺は病院に戻るよ」
俺が驚いて「抜け出してきたのか!?」
ジェラルトはウィンクして
「暇なんでな」
俺が苦笑いして
「駄目だろう・・・」
そうしてお互い笑い合うと俺はローブを脱いで腕を回して・・・さてとコイツをバラしてみますか
まず主砲と本体の分離から始め、魔法の力と人力を使い分離させると驚いた、回頭はほぼ人力で行う構造だ
「おいおい・・・これならキャタピラを動かして回頭させた方が良いレベルだぞ・・・」
しかし動力部を見ると納得だった
「なるほど・・・これはヒデェな・・・」
魔術師2人がここに入って魔力をデカイ鉄の筒に入れて爆発させる事で動かすエンジンだった、ギアも無いため運動エネルギー効率としては最悪
「こんなんで良く動いてたな・・・本当ただの動く鉄の塊だ。それに突貫作業だったんだろうな、所々手抜きが多い」
俺は頭を抱えて「こんなハリボテに俺はビビってたとはね・・・だがこの爆発させて動かす、さしずめ魔導エンジンと言った所か・・・こいつは面白い構造だ。魔水晶で魔力を爆発させ回転数を上げる技術、これならちゃんとシリンダーやシャフト、クランクを使ってギアも用意してやれば大きく向上させられる」
俺は街に買い物にでかけた
必要な物は鉄の上部に軸になるパーツとギア、シリンダーとクランクは自作になるだろうがギアなら程度の良い物買えるだろうな。
俺は街で買い物していると住民達が「白髪の魔竜様だ!!」「レギオン王子だ!!」とあちこちで住民達が俺の名を口にして頭を下げたり敬礼したりと
俺も随分と褒めたたえられる物だな・・・あんな結果になってしまったのに
俺は倉庫へと戻って早速組み上げていく、曲げたり叩いたりして、少しずつ理想の形を作り、シリンダーは鍛冶屋に依頼して、俺はギアを組み上げ車の駆動系を組み上げる
現在のカタルシスに必要なのはまさに、俺が居た前世の車の技術、しかも幸運な事に俺は前世では車を直す仕事をしていた家系の息子、ある程度ならば車の知識ももっている
俺はカタルシスの外部装甲を外して綺麗にすると基本フレームを魔法で溶断して縮小化する、今のカタルシスはとにかくデカイ、小型にしなければただの的だ、それにキャタピラも全然スパイクが無いから走破力が無いし駄目な所だらけ、カタルシスの鉄を使って新規でフレームを作り、必要なパーツや装甲部品なども取り出し、俺が組み上げた新しいフレームに溶接して行く
俺はある程度フレームが出来上がり休憩しているとオルベガがやってきて「いやぁ・・・儲けた儲けた、っておぉぉぉぉ!?」
俺が大規模な作業しているのに驚いて「レギオン何を作ってるんじゃ?」
「カタルシスの改修・・・のつもりだったけど新規で作ってる」
オルベガは俺の精密部品を作る時に使う作業机に乗っている設計図を見て「なるほど・・・これは面白い発想じゃな、魔水晶を制御して起爆させるエネルギーを動力として運動エネルギーに変換そしてそれをギアに伝えて走ると・・・これが普及すれば馬が必要無い時代が訪れるのぅ・・・」
オルベガは頭を抱えて悩む「しかしじゃ・・・完成され過ぎておる」
俺はビクッと動いて、流石にやり過ぎたか・・・?
「この効率の良い運動エネルギーの伝達方法といい、この爆発を制御する方法といい・・・基礎理論が熟成され過ぎておるのじゃ、まるで試行錯誤の過程をすっ飛ばして完成型を作るようにの・・・レギオン・・・もしやお前・・・これらを知っているな?」
俺は冷汗が出る、いずれオルベガにはバレると思っていたが・・・まだ俺が転生者である事はバレていない・・・どう言い訳する?
俺は無表情のまま硬直して考え続ける
オルベガは一息ついて「まぁ別にレギオンが何者でもいいわい、童はこうやってまだ見たことのない面白い物をこうやってレギオンは作ってくれる、しかもそれは童達に利益をもたらしてくれる・・・それならば文句はないわい」
俺は解放されてフゥ・・・と息をつくとオルベガが間合いを詰めてきて「っと言う事で童だけには何者なのか教えてくれぬかのぅ・・・?」
俺は首を振り「な、なんの事ですか・・・?」
オルベガは溜息を吐いて「まぁ、答えは言われてはつまらんからのぅ、色々探って答えを出してみるのじゃ」
俺はホッとしたが、俺は危惧する『こいつバリバリ俺の正体探る気満々じゃねぇか・・・』
だがよくよく考えてみれば不安要素は消えた
だって俺が得た信頼は正直オルベガがどうこう言ったとしても殺されるレベルでは無い、実際俺は裏切るつもりなんてないし、この力を魔族のために使いたいと思ってる
これさえ伝えれば俺が転生者だったとしても受け入れてくれるはずだ・・・俺が元人間だってバレなければ・・・




