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魔王(竜人)の息子に転生してしまった!  作者: グランディア
第1章 この世界に降り立った転生者
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王子様としての自覚

ジェラルトやガルキオがトテトテ歩いてお互いを追いかけ回している中、俺は様子を見ていて思う


王子たる者、勉学は必須・・・


学ぶとしたら・・・?


そう、本だ!!



って事で早速ペドラ母さんにお願いしてみる事にした


いきなり『本が欲しい!』なんていえば1歳でそれはそれこそ怪しまれるだろう


だから興味を示すような仕草をすれば・・・



そんな事でペドラ母さんを見ると丁度良く、椅子に座ってハンドサイズの本を読んでいる


そこに歩いて指を指して「本!」と呟くとペドラは驚いて

「まぁ!本が欲しいのね!」


うしっ!好感触!


------


こうして本を俺は手に入れる事ができた、俺達の子供部屋に本棚が置かれるようになった


項目は全て絵本だ


色々なお話が書かれている本だ


よしよし・・・いろいろ読んでみよう・・・



早速手に取って読んでみたが・・・頭の中で『読めん・・・』


絵柄で状況とか物語は把握できるのだが・・・まったく読めん


古代ギリシャ語に近しい文字の形だ


俺が茫然としているとペドラが横に座って「私が読んであげる・・・」


っお、ありがたい


するとペドラは「ジェラルトもガルキオもおいで!」と誘い、三人兄弟揃って話を聞く


ペドラが淡々としゃべり始めた


『昔、昔あるところに様々な魔族達が大陸と海に住んでいました・・・』

陸と海にさっき窓で見た様々な魔族達が絵に載っている


『魔族達の仲は悪く、お互いの姿の違いや生き方を否定し合いました・・・』

魔族達同士でいがみ合う絵が記されている


『そして魔族同士は争い、お互いを憎み合いました・・・』

魔族同士が殺し合う絵だ


『そして神様は争いを好むかのようにさらにそこに人間を解き放ちました・・・』

俺はショッキングな絵でゲフッ!と息を乱す

何せ人間の顔がどの魔族よりも超絶怖い描写になっているからだ


兄弟達も顔色青くして泣いてるぞ・・・


しかしペドラは続けて話した

『人間達は魔族全てが許せず魔族を根絶やしにしようと強力な武器で魔族達をどんどん殺めていきました・・・このままでは魔族達は滅んでします・・・』


人間が剣や弓を持ち魔族達を追い詰めている


おいおいちょっとした恐怖映像になってるぞ


『そこでとある魔族の強い人が叫びました・・・『このままでは駄目だ・・・皆死んでしまう!』と・・・』

兄弟たちの顔が代わり「パパだ!」「パパ!」

と二人は手を伸ばす


絵にはジェリクに似た姿が書かれていた


ペドラは嬉しそうに呟いた『魔族達は団結し、人間よりも強力な武器を作り・・・そして魔法を編み出し・・・それらを用いて人間を追い払いました・・・』


ジェリクが槍を一振りして人間達を焼き払っている絵だ


元人間の為俺の心境は複雑だ


兄弟たちは目を輝かせてみている


『こうして強い魔族は魔王と名乗り、魔族達の大都市を作り上げいつまでも人間達からその場所を守り魔族達を平和にしましたとさ・・・』


絵本の最後には親父ジェリクがビールのようなお酒を掲げて様々な魔族達と宴する絵で締めくくられている


ペドラが一息ついて「お終い・・・パパしすっごい人なんだよ」


兄弟たちが言う「パパカッコイイ!」「パパ凄い!」


何かコメントしたいが・・・心境は複雑だ・・・


でもこれは歴史の一部だ・・・きっとかなり子ど向けに作られているがここの街の成り立ちを教えている物なのだろう


それともう一つ分かった・・・この世界に人間は居る、敵としてだが・・・


そして俺はその栄えある魔王の息子って事か・・・これはすごい立ち位置だぞ・・・


俺は初めてその場に居る意味の重さを理解した



-------


それから本棚には色々、言語勉強もできる絵本などもある為、俺はそれを手に取り熱心に読む


分からない単語や文字はペドラ母さんに教えてもらいつつ言語を少しずつ覚えていく・・・


だが楽ではない、言語として発する事はなんとなく理解してきたが、文字が全く入ってこない


何せ俺の母国語は日本語・・・その日本語の言語アルゴニズムが邪魔となって妙な所で疑問を抱いてしまう事が多いからだ


ペドラからも言われてしまった


驚いた顔で「レギオンは妙な所で引っ掛かるのね・・・これはこうして・・・」


すいません、生まれが違うので


心の中でそう呟いて猛勉強した


その一方兄弟は・・・言語の勉強どころかオモチャや走り回ったり遊んだりするのに夢中だ


たまにオモチャの奪い合いで喧嘩している事もしょっちゅう見る


俺もその弊害を受けており、本を真剣に読んでいると興味を持ったのか読んでいる最中に奪ってくる


まぁ読めないから30秒も待てば返してくれるんだが・・・


そんなごく普通な生活が続いた・・・


--------


それから数か月・・・


言語が習得できて、難しい文字はまだ読めないが絵本で出てくる簡易的な言葉はほとんど覚えられた


こうなったら楽しくて仕方ない、絵本は空想物がほとんどだが、邪竜伝説や裏切りのオークなんかは実話らしい


この事を前世の言葉で言うなら邪竜戦争の事を第一魔獣大戦と呼び、

裏切りオークの話なんかは第二次魔獣大戦と呼ばれている


邪竜伝説では賢者と言われる伝説のエルフの魔法使いがドラゴンと退治し、親父と強力して倒す物語が書かれている


裏切りのオークでは魔族の主権をめぐる争いなのか、魔獣という知性のない獣を従えて、ジェリクに反旗を翻そうとする物語が書かれている


ジェリクがオークをぶった切って勝利して終わりを迎えているが・・・調べたらどんな歴史が出てくるやら・・・


って言っても歴史の登場人物が横に居るから後々聞いて行けばいいか・・・


俺がちらりとジェリクを見ていると、槍の手入れをしているジェリクがこちらに気づいて作り笑顔で頑張っている


引きつっていて逆に怖いぞ・・・父よ・・・



-------


それらの絵本から大体の勢力的な物が見えてきた


まず魔族の敵は人間・・・人間同士で争っている事もあり、現在はローリンスと言われる帝国が主権を握り支配しているらしい、これはつい最近らしく新聞からの情報で拾った物だ


つまり主権を握り人間が支配したという事は次の標的はこちらになる


親父も訓練に出かける頻度も多いし、城の広場で行っている訓練もより本格化している



つまり近い内に戦争が起きるかもって事だ


だが不安になって俺が親父に聞いた事があった


「父さん・・・人間達って強い?」


ジェリクは笑って答えてくれた「ガハハ!そんな訳なかろう!技術も知恵も絆も魔法もどれを置いても我ら魔王軍に勝る物無しだ!」


嘘で言ってるかどうか分からないが、実際新聞でも見ると魔法に関しては魔族の方が上らしい


何せエルフが化け物級に魔法の探求が進んでいるからな・・・


魔族の統合・・・これによって各文化の良い所が融合・・・爆発的に経済発展もした様子だし、戦争で疲弊した人間なんか相手になるような物ではないか・・・


考えてみれば大丈夫なのかもしれない


今は・・・

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