開戦の卒業式
あれからまた数か月が経過して、俺達初段組だけ異例の早期卒業となっていた
何故なら人間との戦争が始まるからだ
卒業式は本来賑やかなはずなのに、皆自粛ムードで、静かだ
メロルが華やかなドレスを着て歩いてきて「レギオン君・・・その・・・卒業おめでとうね!」
メロル・・・顔が引きつってるぞ・・・
「メロル・・・無理せず笑わないでいいよ、俺だって笑うような気分じゃないし」
メロルが俯いて「うん・・・戦争になったら私のお父さんの魔法砲撃隊として出撃するって言ってたから・・・」
俺は現在の魔王軍の戦い方はよく把握している、魔法砲撃による大規模砲撃の後に、騎士や剣士などの歩兵を前衛に、そして後衛に弓やボウガンなどの射手隊、その陣形で突撃する
ゴーレムの防御力を生かし、敵の弓攻撃を全て受け流し、竜人族や狼族の圧倒的攻撃力・・・人間は恐らく俺が知る限り、銃を持つか、エルフ族並の魔法技術が無い限りこの時代に置いて人間が勝利の旗を掲げる事は絶対にありえない
だとしたら・・・やはり魔法技術が上がってきているのか?
ともかく俺が戦場に出られる訳がない・・・現場で役立てることは多いだろうが・・・親父は絶対に許してくれない
俺は深く考えているとギゲルが「おい!レギオン!!話聞いてるのか?」
俺はハッとして「ど、どうしたギゲル?」
ギゲルが呆れて「全く・・・最後のお別れの挨拶だってのに、何1人で考えてるんだ?まぁ・・・戦争の事だって俺でも分かるけどよ」
「悪いな・・・どうしても俺は悪い事が起きると考えてしまうタイプで・・・」
ギゲルが仕方なさそうに笑い、俺の肩に軽く手を当てて「まぁ、俺にとっちゃ王子様と6年間も一緒に過ごしたなんて良い経験だったぜ、楽しかったしな」
「ありがとうギゲル」
ギゲルが笑って「礼を言うのはこっちだぜ!っと、そろそろ順番だなっ!」
デジガが歩いてきて「ようレギオン!お前も高段目指すんだろ?だったら俺は人間をぶっ殺す為に戦士になる!お前も前線来ない代わり、すげぇ武器作ってくれよ」
武器か・・・銃作りたいな・・・
「あぁデジガ、またな、もし俺が作った武器が手元に届いたら・・・思い出してくれ」
そして次はロウが歩いてきてモジモジしていて「あ、あの・・・レギオン王子・・・僕・・・戦争はしないけど・・・僕、お店を継ぐと思うからさ・・・良かったら・・・来てね!」
「ああ、お前も元気でやれよ、ロウ」
そしてセミルが歩いてきて「あ、あの!レギオン王子!!わ、私・・・そ、その・・・もしよかったらなんですけど・・・高段に入ってもお手紙とかでやり取りしてもいいですか・・・?」
セミルは話だと遠くのサキュバス族の村へと帰ってしまうらしく、もう合う事は無い程に遠くへ行ってしまう為セミルの気持ちに答えた
俺は周囲の光りを屈折させて幻を作る魔法で、俺達の姿を隠し
「セミル・・・確か君は遠くに行ってもう会えないかもしれないから・・・俺から最後プレゼントだ・・・」
セミルの手の甲にキスを騎士が姫に誓う時にとるあのポーズだ
セミルは嬉しさのあまり絶句して思考がフリーズする
――――――
こうして卒業式は静かに行われ、俺の初段の学生生活はこれで膜を閉じた・・・
俺は最後にメルシア先生の所へと走り「メルシア先生」
メルシア先生は驚いて「レギオン王子!?どうして?確かもう中段の手続きに・・・」
俺は首を振り「貴方が最後までちゃんとやり通した事を祝いたくてね」
メルシア先生は笑って「祝ってもらうのは・・・私が初段の校長になってからですっ!」
俺は笑って「ハハッ!それじゃ、またいずれ!」
メルシア先生は笑って「それじゃあ!レギオン王子!」
――――――
俺は中段の手続きへと向かうとペドラ母さんがジェラルト達と待っていて
「お待たせ!」
ジェラルトが腕組みして笑って「レギオン、恋人との最後の別れの挨拶はいいのか?」
俺は首をかしげて「恋人?」
ガルキオがニシシと笑い「メロルちゃんだよっ!いいのかい?」
俺はメロルに彼氏が居る事を思い出して「アイツは・・・もう彼氏が居るから俺は不要さ、そ・れ・に!!俺はメロルと付き合ってないって前にも言っただろうがっ!」
ペドラが資料を俺に渡してきて「はいこれ、中段の場所や授業の詳細資料よ」
分厚い本のような資料を渡されて「ありがとう母さん」
ジェラルトが頭の後ろで腕組みして「あぁ~あ・・・レギオンは即行で高段行っちゃうんだろうなぁ」
ガルキオもションボリして「レギオン兄ちゃん絶対、中段に居る時間僕達より短いよね・・・だって初段入って2年くらいしたらもう中段勉強してたし・・・」
こいつら俺の事良く見てるなぁ・・・
そんな事を思いながら自宅へと戻った・・・
―――――――
資料を閲覧すると、予想していた通り、それぞれ習いたい事に向かって進むスタイルの学習方法だが・・・・・・高段テストの試験条件の中に17歳以上と記載されている為・・・後7年の月日がある
7年も待たなければならないのか・・・
俺はジェラルト達が後ろで勉強する中、椅子に座ったまま背伸びして「マジどうすっかな・・・」
シェラルトが振り向いて「どうした?」
「いや・・・高段のテストの勉強・・・もう済んでいるだけど・・・7年経って17歳にならないと受講できないんだ」
ジェラルトがしばらく考えて「それじゃ、俺の専属教師になってくれよ」
ガルキオが反応して手をあげて「あっ!!僕も!!」
た、確かに・・・良い暇つぶしにはなるが・・・仕方ない・・・俺も付き合ってやるか・・・
――――――
翌日
ペドラが昨日、借りてきてくれた高段の模擬試験の結果を見て頭を抱えて「レギオン・・・高段の試験の模擬試験・・・100点満点中・・・99点だったわ・・・」
まぁそんな所だろうな、簡単過ぎて100狙ってた所だったんだが・・・どこ間違えたんだ・・・?
開いて確認してみると、魔法使いの在り方についての作文でどうやら、減点されている
なんでだろう?魔法使いは戦闘や文学、社会において重要に立ち位置であることをレポートした内容だったんだが・・・駄目だったのかな?
ペドラが呆れて「間違えた所気にするより問題よ、だって既に初段の6年間で高段試験をパスしてしまっているんだから・・・ジェリクが聞いたら・・・『すぐにでも入れよう!』なんて言うに違いないわ・・・」
俺は昨日のジェラルトの意見を提案した「昨日ジェラルトが17歳にならないとテストが受けられない事からジェラルトとガルキオの先生やろうかなって思ってて」
ペドラが驚いて「ジェラルトとガルキオの?・・・なるほど・・・良い案ね、私もその意見には賛成だわ」
――――――
って事で俺はジェラルトとガルキオの専属教師として教える事になった
中段の数学の受講中にジェラルトとガルキオの教師として、中段生徒達の中で俺が兄弟に教える
「ジェラルト、ここの問題の解き方はこうだ」
「ガルキオ、そこはそうやって解くよりもこうした方がいい」
ジェラルトが受講が終わり背伸びして「やっぱりレギオンから教わると頭に入る容量が多いなぁ~覚え易い」
ガルキオがウンウン頷いて「僕なんか基礎の部分が欠落している所があるから、これを機に克服できそうで良かったよ~・・・って言うかレギオン兄ちゃんなんでそんな頭がいいの?」
それは転生者だからです・・・
―――――――
中段は学校とうよりも、教習所に近いような場所で、やる気のない奴はどこも就職できず、何年も留年している奴も居れば、俺のようにすぐに目的の場所に就職したい!と駆け出してって15歳ぐらいで就職しちゃう子も居る
今日もジェラルトとガルキオを教える日々、教師として過ごすのも悪くないと感じる日々だ
ある日の放課後の帰りの廊下での出来事
俺は分厚い魔法の基礎訓練の本を持ち歩いている
ジェラルトが同じ本を持って歩いて、疲れたような顔をして「ったく・・・魔法ってのはつくづく面倒だぜ、俺の武術みたいに素早く展開できないし、その割にあんだけ時間を割いてタクトとか使わないといけないんだし・・・」
俺も苦笑いしてジェラルトに返事する「魔法は体質的な事でも左右されるからな・・・俺は魔力を保有する鱗の量がお前たちに比べて多いからな、フリーハンズマジックがこんなにできるのもそのおかげだろう」
ガルキオが天井みて歩いて「ねぇレギオン、僕は魔法に不向きって言ってたけどなんで分かるの?」
ガルキオの体はドラゴンで言うアルビノ種的な位置づけで本来母親と父親の鱗の色のどちらかが遺伝するはずなのだが稀に鱗の色が違う形で生まれてくる事があり、そのアルビノは特化してできる事がある代わりに極端に駄目になってしまうう事もある、ガルキオの場合は極端に駄目なのが魔法に関する事だ
ジェラルトの10分の1程度しか魔力が無く、魔力保有量としては一般人とほぼ変わらない、そのため魔法の学習は難しい、だがガルキオの特化してできる事があるはずなのだが、それもまだ分からない
「ガルキオ・・・前にも話した通り、お前の魔力は極端に少ない、だから特化した事を探した方が良いと思うんだ」
ガルキオが天井に手を広げ、自分の手を見つめて「僕の得意な事ってなんだろうね・・・」




