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魔王(竜人)の息子に転生してしまった!  作者: グランディア
第1章 この世界に降り立った転生者
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良き父

今日はいつもよりペドラ母さんが上機嫌だ・・・


何か特別な事でもあったのだろうか?鼻歌を歌い、メイド達が片づけ易くする為に、衣類を畳みながら嬉しそうに鼻歌を歌い続けている


少し気になって俺は歴史勉強の為に読んでいる本を置き

「何かあったの?」


ペドラ母さんは嬉しそうに返答する「別に何もないわよ!」


絶対何かあったな・・・



嬉しそうにしている理由は分からないが、母親が元気で居てくれる姿は俺としても嬉しい。


母親の事を思うと空を窓を見上げて思う『俺の前世で死んだ後に母親は悲しんだだろうか?父親は、俺の事本当はどう思っているのだろうか・・・』


俺は母親からも父親からも望まれていない子だった。

兄が完璧すぎる人で、起業して成功する実績もあった、だからそれを俺にも求めたが・・・俺はできなかった・・・その為、親達は俺を見捨てていた。


だからむしろ死んでくれて清々したかもしれない


そう考えると、ペドラ母さんのように心から愛してくれた事など一度もなかった


そう考えたら・・・今の俺は幸せなのかもしれない



そう考えた時のタイミングがジェリクが帰ってきた

「ペドラただいま」


ペドラが嬉しそうに振り向いて駆けつけて行き「今日は予定通りね、今日はゆっくりしましょう」


ジェリクも頷いて「あぁ、せっかくの休暇だからな」


俺はジェリクの足元に駆け寄り、大きい親父を見上げ

「おかえりなさい!」そう呟くしジェリクが俺を抱っこして


「レギオン!今日はなんの日だか分かるか?」


なんだ?祭日みたいな日なのか?


ジェリクが笑って答える「兵隊を皆休める為にある特別な日なんだ」


なるほど、やはり祭日か、しかし大丈夫なのだろうか、人間はいつ襲ってくるか分からない状況なのに休暇なんて・・・


「人間達、大丈夫なの?」


ジェリクが大笑いして「ガハハハ!ちゃんと監視所には前もって休暇させた部隊がちゃんと居る、全員しっかり休んだから気力も気合いも十分だろう!」


なるほどな、確かに休みは大事だ、ぶっ続けで働くブラック社会の日本育ちだからこそ分かるが、休まない事で働くと、会社の経営は一時的に飛躍的に伸びるが長期的な進歩で換算するとダダ下がりも良い所なのだ


適度に長期休みを入れる事で働く効率が上がる事はアメリカが証明していた


流石親父、ちゃんと兵士にも休みを与えているんだな



俺は親父を感心した顔で親父を見上げているとジェリクが笑い

「なんだレギオン?私が何か偉い事でも言ったか?」


ブラック育ちの私にとってその体制自体が嬉しくてね・・・



そうするとガルキオとジェラルトもジェリクの帰りに気が付き駆けつけてきた


ジェリクは俺を下してジェラルトとガルキオを同時に抱っこする


「ほらほら!よいしょ~!!二人とも私がプレゼントした剣で遊んでるな?」


満足そうに頷くジェラルト「うん!」それにガルキオがムスッとして「ジェラルト強い~!」


ジェリクが大笑いして「ガハハ!!そうかそうか!それじゃ、パパがガルキオを特訓してジェラルトを勝てるようにしてやろう!!」



俺は苦笑いして様子を見守る



------


久しぶりの休暇で、こうして親父が子供部屋に居る事が珍しい


俺は絵本を読みながら、二人の様子を見ていた


ジェリクがガルキオに剣の握り方や、ステップの仕方など、本格的な兵士としてのアドバイスをガルキオを行っていた


ガルキオの動きが俊敏になり、隙が無くなった


ガルキオがその時の変わりぶりに感心して「ありがとうパパ!!」


ジェリクがガルキオの背中を押して「戦って来い!」


ジェラルトとガルキオの木剣同士の戦いが始まるが、ジェラルトは適格に攻撃を加えるのが得意で、無駄のない動きを心がけようとする


ガルキオが成長した事で今までとにかく突撃していたが無くなり相手の様子をうかがっている


ジェラルトも嬉しそうにウンウン頷いていて


剣を構えてガルキオに切りかかる「うりゃぁぁ!」


だがガルキオはジェラルトの剣を素早くローリングして回避して腹部に剣を突きつける


ジェリクが拍手して「流石は私の息子!やればできる子だ!!」


ジェラルトの顔がムスッとしていて「ガルキオばっかり!パパ!!僕も!!」


ジェリクが頷いて「おう!!剣の事なら俺に任せておけ!」



そうしてジェリクがジェラルトに解説しようとすると俺をチラリとみてくる


「レギオン!お前も本ばかり読んでないで運動しよう!」


そう言われたら行くしかないよなぁ・・・


俺は毎回この剣の摸擬戦あんまり好きじゃない


俺はそもそも近接戦闘能力はあまり高くない、どちらかと言うと空間認識能力が優れていると思う、射撃武器であればな・・・


剣を強く握り、相手はガルキオだ



ジェリクがニヤニヤ笑い、俺がどんな動きするのか気になっている


それにガルキオは度重なるジェラルトの摸擬戦でちょっとそこらの子供より確実に強いはず・・・ちょっと知略使ってもいいよな?



ガルキオと睨み合いが続いて、俺は何もせず構えもせず、ただ棒立ちする


ガルキオが驚いてジリジリと間合いを詰めてくる


ガルキオが切りかかった瞬間


俺は剣を落とした


ガルキオが同様して「えっ!?」


その瞬間、俺はガルキオの勢いがついた腕を引っ張ってコケさせガルキオの剣を奪って喉元に突きつける


ガルキオは唖然としていている


やっぱり大人げない事してしまった


これは心理戦を用いた近接戦闘術だ、俺なんか反応速度で勝てるわけ無いから、こう言ったズルい戦法を使うしか他無い


俺はジェリクを見るとジェリクが驚愕している


やばい、前世知識に頼り過ぎたか?


ジェリクが凄い勢いで迫ってきて「レ、レギオン!!今の技・・・自分で思いついたのか!?誰かから教わったとかではないな!?」


恐らく伝授された物ではないのかと心配しているようだ、ここの部屋のセキュリティは最高クラスらしいし、心配するのも無理ないな


俺はとりあえず苦笑いして「本を見て・・・騙し打ちを見たから自分なりにしただけだよ・・・」


ジェリクが深呼吸して、俺の顔を見て、ボソッと耳で俺に呟く「レギオン・・・明日、大事な話がしたい」


やばい、やり過ぎたか?



-------



食事の時間にジェリクが真剣な顔でテーブルに座りもくもくと食べているが、考え事しているのが見てわかる


きっと今日の昼の事だ・・・


ペドラがジェリクを見て「どうしたの?」


ジェリクが焦って「な、なんでもない!!」


どうやらペドラ母さんにも内密に話したい事のようだ


ペドラが怪しそうに「ジェリク?また私に何か隠そうとしてないでしょうね?」


「な、な、何も!!」

どうやら親父は隠し事が苦手なようだ


ペドラが笑顔で「後でたっぷりお話ししましょうね!」


あぁ~あ、俺はそういう顔でジェリクを見るとジェリクが苦笑いして返してくる



------


俺は小さい体を活かして隠れて二人の会話を盗み聞きした


ジェリクがペドラに言う「ペドラ・・・やはりレギオンは早急に勉強させるべきだ・・・今日の行動で私は確信した」


ペドラがため息を吐いて「ジェリク・・・貴方ね・・・レギオンはまだ3歳なのよ?そういうのは初段に入学してから行うって・・・」


初段?小学校みたいな物か?


ジェリクが必死に説得する「ペドラ・・・今日のレギオンが見せたフェイントの剣攻撃・・・あれは一対一の戦いにおいて戦術的理論から見てもかなり優れた武術だ、そんな方法を一人で編み出してしまうセンス・・・私は魔族達の未来においてレギオンは次期魔王にふさわしいと私は思--」


ペドラがジェリクの話をせき止めて「その話はまだよ・・・約束したじゃない・・・レギオンには普通の子として・・・しかるべきが来たら・・・その事を話せばいいって・・・」


ジェリクはうつむいて「それはそうだが・・・私は才能を持ってるレギオンの力を最大限引き出してやりたい・・・ペドラ君が子供達と幸せな家庭を夢見ている事は私も知っている・・・だけど私達は王でありペドラ・・・君は王妃だ、だとしたら・・・レギオンは王子となる・・・そうなれば国に貢献する為の行動は必要のはずだが?」


ペドラは深くため息を吐いて「それは・・・いずれ覚悟している事だけど・・・今のレギオンには早すぎるわ・・・それに・・・一歩そっちへ踏み出してしまえば・・・もうレギオンは帰ってこれない気がして・・・」


ジェリクが頭をかしげて「それはどうゆう?」


「普通の家庭によ・・・貪欲に知識を求める事は破滅をもたらす・・・正しき秩序、正しきルール、正しい規範・・・それらを守って知識を得てこそ・・・そうだとは思わないジェリク?」


ジェリクも頷いて「探求する事は正しい規範から・・・か・・・分かった、ただし、例の魔法の教本・・・あれだけはレギオに渡させてもらうぞ」


ペドラが驚愕して「どうして!?」


「レギオンの最近の行動よく見たか?」


ペドラが頭をかしげて「普通にしているけど・・・」


ジェリクがため息を吐いて「ペドラ・・・レギオンが退屈そうにしている目が分からないか?」


ペドラがウッと引き気味になり「それは・・・」


ジェリクが説教する「ペドラ・・・ジェラルトやガルキオは剣で遊ぶ事で楽しんでいるが・・・レギオンは暇を持て余し過ぎ、この家庭に飽きている、君の理想をレギオンに押し付けているのは認めてくれるね?」


ペドラが頷いて「ごめんなさい・・・レギオンも絵本は飽きている事は実感していたわ・・・買ってもすぐ読み終えてしまうし・・・レベルの高い本が必要よね・・・分かったわ・・・」



俺の事でそんなに二人とも考えてくれていて・・・


俺はその時、胸が痛んだ、こんな気持ち初めてだ


親からは何も期待されず、家庭から切り離されたような感覚だったのに・・・こうして・・・


俺は無意識に胸に手を当てて、頬から涙を流していた

これは・・・涙?悲しくないのに・・・なぜだろう・・・




-------


翌日、ジェリクが俺を呼び出してペドラが取り上げた魔法教材本を手渡してきた


「レギオン・・・ペドラから許しを得てこれをお前に渡す・・・魔道の道は私も詳しくはない・・・だがレギオン・・・これはお前にふさわしいと俺が思った事だ、だから・・・欲しい物があれば何でも言ってくれ、俺はお前の将来が必ず、魔族達に栄光の光をもたらす希望レギオンとなってくれる事を信じているんだ」


俺はその言葉は理解していたが、理解した様子を見せずあえて「父さん、ちょっと分からなかった!」


ジェリクは頷いて「頼むぞレギオン」



任された、俺はこの家庭・・・いや魔族達の為に頑張るぞ

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