異世界の人との協力を取り付ける?
“異界の門”はどうにかした私。
下の階に降りて行く途中も、幾らかっものと遭遇したので、それらは大して危険ではなかったので適当に倒す。
そこでしおれかけた花の明かりを持ったミルが、
「うう、これから私はどんな立ち位置になるんだろう」
「普通に回収されて元の世界に戻ったら」
その方が、カイの負担が少ないだろうというか、こんな強力な件でしかも、カイに使わせようとそそのかしたりするのも危険としか思えなかったので私が言うも、
「そんな! せ、せめて一発くらいちょっと過激な感じて使いましょう!」
「……嫌だ」
「ご主人様の本気が見てみたいです! 一発くらい派手なのをバーンと」
「……シャレにならないことになるから嫌だ」
「うみゅ、ではもう少しこう魔力を注いでいただければですね、素敵なことになると思うんですよ」
「……この剣自体が壊れたら、ミルはどうなるんだ?」
そこでカイがため息をつくようにそういう。
それにミルは目を瞬かせて、次に笑い出して、
「この剣が壊せるわけないじゃないですか」
「つまり自身の力を過信していると」
「……どういう意味ですか? こう見えて、この剣はそれでも強力で高度な技術がこの世界から見れば使われているんですよ?」
「そうか。だが俺がその気になれば、この剣を壊すことが出来る」
「へ~、面白いですね。ぜひそれを証明していただけると面白いですね」
ミルが不穏なことを言い出した。
カイも少し苛立っているようだった。
カイにしてはちょっと珍しいというか、でもこの剣を使えと誘うミルもちょっとお仕置きが必要かなと思う。
確かに異界の力は素晴らしいかもしれない。
技術的な面で優れているかもしれない。
それでも、だからといって“弱い”とどうして決めつけられるのか。
う~んと私は考えてそこで試しに聞いてみる。
「それで、ミドルという人がいたら、もしこの剣が真っ二つにされても直されたりする?」
「それはそういった専門の方であれば直せると思いますが。でもミドルというのは役職名でして、剣が直せるかどうか……」
「そうなんだ。ふーん」
「でもちょっとくらい壊れてもこの剣自身にも自動修復機能がありますから、そこまでは必要ないと思いますね。まあ、そもそもこの剣が壊れるとは思えませんが」
といった話を私は聞いた。
なのでちょっとくらいなら大丈夫そうねと思って、
「隙あり!」
「!」
私はカイに襲いかかった。
壁に押し倒すように抱きついて、カイが顔を赤くして硬直している隙にミルの県を手に入れる。
こうやって間近に見ると、綺麗な剣だと思う。
魔力の動きなど、この剣の構造はその内解析しようと決めつつ私は、この剣の先端部分にそっと触れて、
「えいや~」
ちょっと力と魔力を込めた。
カキーンと甲高い音がしててんたん部分が折れる。
ふむふむ、なかなか根性がある剣ね、この程度しか欠けないなんてと私が思っているとそこでミルが、
「いやぁあああああ、壊される、らめぇええええ」
慌てたように私に飛んできて涙目で頭をぽかぽかと叩き始めた。
それを見ながら私は、
「こういう目に会いたくなければ、おとなしくしていることね。というかリドルって人に持ち帰ってもらう?」
「やだぁああ、折角お外に出てこれたんだから遊びたいいいい」
「だったらおとなしくしていることね」
「でもこう、剣としての性でもっとこう扱って欲しいといいますか」
「実力を試したいと?」
「はい」
「……」
そこで私はう~むと考えて、そういえば以前潜った迷宮で、
「ひたすら魔力を吸い続ける謎の宝石があったわね。迷宮で手に入れた物だから、原産は異界よね。だったらそこに攻撃してみる?」
「うう……あまり爽快感はなさそうですが、もうそれで我慢します。なので私の本体を苛めないでください」
「これくらい自動回復するんでしょう?」
「気持ちの問題なんですぅ」
といった話をしていると、やがて見知った人物たちの影が見えたのだった。
下の階に降りて行くと、先ほどのリドルとミト達が話し込んでいた。
「という訳で我々は、別の方法をとっていたわけですが……おや?」
「二人共来たんだ、“異界の門”は破壊できたのか?」
ミトのその言葉に私は少し考えてから、
「一つは破壊したけれど、もうひとつは開いてしまったみたい。一応雪崩こんだ魔物は全部倒しておいたけれど」
「そうか。うん、やっぱり君たちにお任せしてよかったみたいだね」
「ミト、ここの入場料分……」
「シオリを守っていたし、そこのミドルという人との交渉も兼ねたお話をしないといけなかったから」
「そうなんだ。それでそのお話について私も聞かせてもらえるのかな? これからも、カイの件で巻き込まれそうだし」
あの剣が異界の門を開くなら関係しそうと私は思ったのだけれど、そこでミトが頷いて次にリドルに、
「話しても構いませんか?」
「……そうですね。この剣の持ち主がいるのならば仕方がないでしょう」
リドルがため息を付いてから私に告げる。
そしてミトが、
「まずはこの人、リドルという、その(仮)古代文明“蛇の都市”と呼ばれていたものがあった世界から来た人で、優秀な人……正確には優秀だからミドルとなったらしい」
「役職名だって、ミルから聞いたわ」
「そうなのか。それで、このリドルさんがこの世界に来たのは……危機的な状況に対処するためなのだそうだ」
「危機的な状況?」
不穏な言葉を聞いて私が顔をしかめると、ミトは楽しそうに笑い、
「うん、今あちらの世界に異界との接点が増えて、魔物が増えすぎてこちらに送り込んでいるらしい。ただ、それをするとさらにそちらに魔物が増えてしまうことが分かって今対処をしているそうだ」
「……この世界に結果として魔物を送り込んでいる張本人てことよね。だったら、敵?」
その問いかけにリドルが警戒したようではあったが、それにミトが笑って、
「いやこういった遺跡自体が追い出せない隔離施設のようなものだから、あとで纏めて退治する予定だったのだったらしいよ」
「……こういう迷宮って隔離施設だったの? 外から私たちはは入れたりするけれど」
「魔物が番犬代わりだけれど、一応はこういった迷宮から出ないようにされていたのも、隔離施設だったかららしいよ?」
「新たな事実判明。この情報売れるかしら」
「それは機密事項で。それで話は戻るけれど、今度は状況が変わってあの世界内部で魔物を処理することになったらしい」
「? そうなの? それと“異界の門”を閉じに来たのは……ああ……」
「そう、こちら側に流れていってしまわないように、閉じる処置をしているらしい。それでこちらも色々と協力できる範囲で出来ればという話を先ほどからしているね」
これから上との調整だそうだ。
とは言うもののこういうのはミトは得意なのでそこはお任せしてしまってもいいだろうと私が思っていると、さらにミトが、
「そういえば上手く使えばカイの剣も、“異界の門”を開いたり閉じたりできないように出来るらしいよ?」
そう付け加えて、そこで剣の妖精のミルが嫌そうな顔をして、
「でもそれってすごく大変だし」
「でも粗悪品の“異界の門”なら使い方を変えれば、抑えられるはずだ。今は人手が足りないから君もそうするように」
「うう……そういうの苦手なのに」
などとミルが言っていたので私は、
「あの“異界の門”の閉じ方を教えてもらえませんか? 私達でも出来るのならお手伝いしますけれど」
けれどその私の申し出に、リドルは沈黙してしまったのだった。




