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閑話:箱入り娘と世界の話

閑話となります。

この世界の歴史です。かなり短めです。

( *4/22 後半を一部変更しています )

 

 どうしたんだいミラ、眠れないのかい?

 それじゃあ眠れるまで一つお話しをしてあげようか。

 

 遥か昔この世界がまだ一つの生命も無く砂に覆われた場所だった頃に、一人の神様と一匹の龍がやって来た。ミラと同じ龍だね。


 神様はこの乾いた世界を寂しく思って、世界を魔力で満たし精霊たちを生み出した。生まれた精霊たちは乾いた世界に水を生み出し、その水は大地に染み込み溢れて川を造り海を造った。


 やがて雲が湧き風か吹き雨が降りだして、神様と龍はずぶ濡れになってしまった。そこで神様は大地に種を植えて木を生やし雨よけにすることにした。神様の植えた木はどんどんと大きくなって、やがて花を咲かせ実を付けて種を落とし、その種が育って世界中に木が増えていった。

 だけど木があまりにも増え過ぎてしまったので、龍は木の実を食べる鳥や獣を生み出してこれ以上木が増えないようにした。すると今度は木の実を食べた鳥や獣が子供を生んで増えてしまい、木の実が食べ尽くされてしまいそうだったので、神様は鳥や獣を狩って食べる人間を生み出したんだ。


 世界が賑やかになったことに満足した神様は、雨も止んだので龍を連れて帰ることにした。そう、龍も一緒に帰ったんだよ。だって一緒に来たのに、神様も一人で帰るんじゃ寂しいだろう?

 だけど龍は帰る前に、神様の生み出した人間を心配して、いくつかの獣たちに龍の鱗で核を造り力を与えた。獣を狩る人間をその力で助けてあげるように言ってね。そうして魔獣が生まれた。


 そして時が流れて、人間も魔獣も順調に増えていき、狩り以外のこともできるようになったりして、次第に生活が豊かになっていった。世界中に散らばって暮らしていた人間たちは、それぞれのリーダーを中心にして国を造ることにした。


 しかし国が栄えるに連れて人間たちは傲慢になり、神様の言葉も忘れて狩りをしなくなってしまった。苦労して狩りをしなくても、食べるものが他にもたくさん育つようになっていたんだ。傲慢になった人間は魔獣を下僕の様に扱うようになり、怒った魔獣たちは人間を助けるのを止めて離れて暮らすことにした。


 人間が狩りをしなくなると世界には獣が増えていき、人間たちの食べ物まで荒らされるようになってしまった。その頃の人間にはもう獣を狩るような力は無くなって、自分たちの食べ物を守ることができなかったんだ。

 食べ物が減って栄えていた国が貧しくなると、人間たちはは他の国から食べ物を奪おうと戦争を始めた。

 そしてある時、一つの国が魔獣たちの住む場所へ戦争を仕掛けてきた。魔獣の鋭い牙や頑丈な皮を、戦争で使う武器にするためにね。

 もちろん獣を狩ることもできない人間に負けるような魔獣じゃない。魔獣は龍にもらった力を見せつけて人間たちを追い払った。それでも人間たちはずる賢い罠を仕掛けたりして攻め込んでくる。

 とうとう魔獣は人間の住む世界で一緒に暮らすのが嫌になってしまった。そこで魔獣の中でも力のあるものが集まってこの世界を二つに分けて、人間界と魔獣界に別れて暮らす事にしたんだ。

 

 二つの世界に別れた後も人間たちは戦争を続けた。

 増えた獣は世界中の木の実を食べつくし、とうとう神様の植えた木を食べはじめたけれど、戦争に夢中の人間たちは気付かなかった。たくさんの人間が死んで、残った人間も獣に襲われるようになって、そこでようやく人間たちは戦争を止めた。

 だけどその時はもう神様の植えた木は枯れだして、残った人間では飢えた沢山の獣から身を守ることもできなくなっていた。このままだと人間界は滅びてしまう。困った人間たちは力を合わせて魔獣界に助けを求めることにした。


 呼び出された魔獣は龍との約束のこともあって、人間が獣を狩るのを助けてあげることにした。その代わりにいくつかの事を約束させてね。

 だけど人間が増えた後にまた同じ事がおこるのが嫌だったので世界は二つに分けたままにした。魔獣の助けが欲しい時には召喚魔法を使って呼び出すように言ってね。そうして呼び出されて人間を助ける魔獣を契約魔獣と呼ぶようになったんだ。


 お話はこれでおしまい。どうだい、そろそろ眠くなってきたかな?……あれ、もう寝ちゃってたか。



 おやすみ、私の可愛いミラ。

 いつか外に出たときに、君はこの世界で何を見るのかな。

 神様は君の目を通して見た世界をどう思うのかな。

 君が全てを知ったとき、傷つき泣くことがありませんように。

 その重みに潰れてしまうことがありませんように。

 たとえこの世界が無くなったとしても、私たちは君のことをずっとずっと愛しているよ。

 

 

 

 

 

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