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プラトニックとはガチホモである

 諸君、久しいな。今日も元気に『ガチガチホモホモ』しているか?

 ああ、すまん。女性読者に配慮が足りなかったな。挨拶をやり直させてもらう。

 諸君、久しいな。今日も元気に『ガチガチ(ビッチビッチ)ホモホモ(ファックファック)ランランラン(あんあんあん)』と過ごしているか?

 よろしい。それでこそガチホモと腐女子である。

 ところで、『完結済』の作品にあえて番外編を記載したのは、とある『読者』からの相談メールを皆に紹介したかったからなのである。まずは朗読しよう。

 

◇ 


拝啓、ガチホモ様。

 桜春の候、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、この度失礼を承知した上で筆を執らさせていただきましたのは、手前の性癖が、果たして『ホモ』であるかどうかとのご判断をガチホモ様に頂きたいという所存からでございます。


 実は手前、恋をしております。

 相手は幼馴染。

 物心ついた頃から、隣同士ということもあり、家族と同じくらいの時間を共に過ごしてまいりました。

 幼稚園、小学校、中学校。高校は成績優秀な彼と同じ学校に入学するため、死に物狂いで受験勉強に励み、無事彼と同じ高校に入学することができました。


 部活動もずっと同じです。

 手前は彼の豪速球を、小学校低学年の頃から受け続けてきました。

 彼は小学校の頃から手前に、それはそれは明るい笑顔で言ってくれました。

「一緒に甲子園に行こうな」

「俺がお前を甲子園に連れて行ってやる」

「俺の球を受け止められるのはお前だけだ」

 手前の視界には、彼しかおりませんでした。

 彼と向かい合い、彼の球を受け止め、彼の背を追いかける。それが手前の人生です。

 高校でも彼は皆に手前をこう紹介してくれました。

「こいつは最高の女房役だぜ!」

 この時が手前の幸せが絶頂だったのだと思います。

 

 が、地獄が訪れたのです。

 ある時、チームメイトの一人がミーティングの席で彼と手前にからかうように言い放ちました。

「お前ら、『ホモ』だろ」

 彼は即座に笑い飛ばしました。が、手前は否定するのに躊躇しました。

 それは『ホモ』が何を意味するのかわからなかったから。

 手前は彼しか見えません。彼が男だろうが女だろうが、そんなことは手前には関係ありません。

 手前には『彼』が至高なのです。

 返事に躊躇ちゅうちょする手前をチームメイト達ははやし立てました。

「おい、こいつ『ホモ』だぜ!」と。

 そして彼も露骨に顔をしかめました。そして止めの言葉。

「何お前、オレのことそんな『ホモホモ』な目線で見てたの?」

 手前は頬が紅潮するのがわかりました。涙が浮かぶのもわかりました。それが彼を更に引かせてしまったのもわかりました。

 

 翌日から、手前はキャッチャーから外されました。十年来の手前よりも、周りからの嘲笑の方が彼には問題だったようです。

 

 手前はあの時、どうすればよかったのでしょうか?

 手前は嘘でも彼を卑下するような言葉を吐くことはできません。

 手前は『ホモ』なのでしょうか?

 手前は、どうすればいいのでしょうか?

 

 お教え下さいませ。

 

 敬 具

 

 ◇

 

 諸君、この読者の絶望がわかるか?

 読者の彼に対する思いを、単純な言葉で定義付け、囃し立てるチームメイトの愚かさがわかるか?

 それがわかれば一人前である。

 

 この読者は、『男』に恋をしたのでもない。『女』に恋をしたわけでもない。『彼』に心を捕らわれているだけなのだ。

 この純粋さを『ホモ』という言葉で否定するのなら、我はあえて声を大にして言おう。

「『ちんこ』と『まんこ』が織りなす性的な不浄。『経済』という『打算』が織りなす社会的な不浄。それらに汚されないプラトニックな想い。それが『ガチホモ』である」と。


 また会おう。

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