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花を枯らす

作者: あめ。
掲載日:2026/11/03

この作品は、オリジナル楽曲「あめ。 - 花を枯らす」をもとに書いた短編小説です。


歌詞に込めた感情や、その裏側にある物語を少しでも感じてもらえたら嬉しいです。

花には花言葉というものがある。


希望。幸福。永遠の愛。祝福。


誰かが勝手に意味を与え、誰かがそれを信じている。


花が何を思って咲いているのかなんて、誰にも分からない。


そもそも、花に意味など必要なのだろうか。


それでも人は花を贈る。


大切な人の幸せや、明るい未来、いつか報われる日を願って。


そうやって、救われた気になっている。


馬鹿らしいよな。


 


僕は昔、希望を信じていた。


何かを頑張れば報われる。苦しいことにも意味がある。いつか笑える日が来る。


そう信じていた。


誰かの言葉も、自分の可能性も信じようとした。


けれど、何も変わらなかった。


頑張っても報われるとは限らない。正しく生きても幸せになれるわけじゃない。


そんな当たり前のことを知るまでに、随分と時間がかかった。


 


残ったのは、煩わしい涙だけだった。


何度も泣いて、考えて、自分を責めた。


どうして自分だけ。何がいけなかった。何を間違えた。


考えれば考えるほど、涙さえ出なくなった。


 


いつからだろう。


誰かの幸せを素直に喜べなくなったのは。


誰かが夢を語るたび、心のどこかが冷たくなるようになったのは。


「きっと大丈夫」


そんな言葉を聞くたびに、吐き気がした。


何を根拠に大丈夫だと言えるのだろう。


その言葉で救われなかった人間がいることを、どうして考えないのだろう。


 


それでも世界は、今日も希望を語っている。


綺麗な言葉を並べて、誰かの明日を祝福している。


僕には、それがひどく残酷に見えた。


だから、誰かがその花を咲かし続けるのなら、僕はその花を枯らし続けてやる。


世界が君を肯定しても、僕が君を否定する。


花言葉なんて忘れてしまえ。


希望なんて捨ててしまえ。


誰かが決めた幸福を、自分の人生の答えにするな。


そんなものに縋らず、自分で考えろ。


自分で選べ。


自分の足で立て。


 


僕には、それができなかった。


だからせめて、誰かには同じ道を歩んでほしくない。


そんなことを考える自分が、また嫌いになった。


 


窓辺に置かれた花は、いつの間にか枯れていた。


水を与えなかったからだろう。


花びらは落ち、茎は細く折れ曲がり、かつての色はもう残っていない。


僕はそれを眺めていた。


枯れてしまえば、もう希望など必要ない。


そう思った。


けれど、花瓶を片付けることはできなかった。


枯れた花を見つめながら、僕は何度も同じことを考える。


こんなことを願ってしまう自分を、僕は最後まで認められなかった。


「もし、もう一度だけ咲くことができたなら。」

さいごまで読んでいただき、ありがとうございます。


この物語の元になった楽曲「花を枯らす」は、YouTubeにて公開しています。


文章とはまた違った形で、この物語の感情を感じてもらえたら嬉しいです。


▼YouTube

(楽曲URL)

https://youtu.be/c2MYzpeeFoQ?si=DqP39v5jAYbJi0MU

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