第5話 2回目のラブホ
夫は本当にありえないぐらい真っ直ぐで、真面目で笑っちゃうぐらいだった。告白してくれた日以外は、夜には会わないし、えっちも求めてこない。キスとハグも付き合ってしばらくしてから。硬派で良いけど、わたしには焦ったかった。もっと求めてくれたらいいのにって思いながら、わたしは夜を過ごす。
大きな体の、綺麗な顔の夫に求められたい。わたしたちは、ショッピングセンターのフードコートでだらだら過ごした。もし子供でもできたら……夫は一生わたしだけのものになるんじゃない? ここの街の閉塞的な雰囲気もそうさせているのかもしれない。周りの友達は高校卒業してすぐに子供を授かっているひとが多い。
初めてがわたしでしょ? こんな硬派な夫が浮気なんてするわけないし、安心できる。結婚しようって言ってくれたらいいのに。だけど、夫のことだからまだまだ先だろう。はあ、嬉しいような嬉しくないような。
今日は水族館デートに行くことになってる。水族館なんか行かずに、えっちしたいな。わたしはそんなこと考えながら、車を運転して夫の家の近くに向かう。
夫が助手席に乗り込んでくる。わたしから抱きしめにいく。そして、耳元でつぶやく。
「ラブホ行かへん?」
目を大きく見開く夫。
「えっちしたくって」
「本気?」
「うん、いいやろ?」
「水族館は?」
「えっちのあと行こう」
わたしはハンドルを握る。そして、自宅から30分ほどドライブしててきとうなラブホののれんをくぐる。わー来ちゃったって思いながら。
夫は緊張しているのか無言だ。だけど、わたしは夫の手を握り、ホテルに入る。入ると部屋の様子がわかる画面が明るくなっていた。わたしは目の前にあった部屋のボタンを押す。エレベーターが自然ときたので乗り込む。たばこのにおいがした。
チカチカと点灯する灯りを目印にして、わたしは進む。静かな廊下だった。ラブホに来るのは2回目だ。高校生の頃、好きでもない20代のひととえっちの経験したいがためにホテルにきた。たぶん相手も。案の定、やってから連絡が途絶えた。
でも、と思う。夫は絶対そんなことない。わたしを裏切ることなんて。ふと見せる幼い表情にわたしは見惚れる。だって夫はなんにも知らないんだもん、ずっとサッカーしかしてこなかったんだから。この街で、ふたりで幸せになればいい。子供ができたらその子も一緒に。
サッカー教室で、子供相手にはしゃぐ夫を見てきた。お兄さんの子供の世話も任されて、公園で遊んでいる姿もよくみた。こんな好条件ない。




