表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きな旦那は幼馴染と不倫中  作者: hitorigasuki


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/9

第4話 電話

 しばらくすると、夫は短時間からバイトに復活するようになった。体力も少しずつ戻ってきているようだ。夜ではなく昼間に仕込みをするので、会えるのは開店準備の時間だけ。それでも隙あれば話をした。わたしから連絡先を聞くと、あっさりと教えてくれた。


 少しずつだけど、以前みたいな元気のよさが戻ってきているような気もする。だけど強がっているだけのような気もするし、そんな風にしないと精神が持たないだけなのかな? とも思ったりする。


 わたしは友達に教えてもらったネイルサロンで、マツエクをして爪もジェルネイルをしてもらった。ネットや雑誌で化粧の仕方とか、年下男子を落とし方を検索した。


 メールをわたしが送ったら返事は確かにくれる。だけど、すぐにではない。それに内容もあまりない。怪我の影響もあるのかもしれない、と思ってあまり考えないようにする。


《今からバイトーだるいよー。今日金曜やし怖い》


 返信は返ってこなかった。次の日も、その次の日も。しょうもない内容すぎたのかなって反省した。だけど数日ぶりに返事があった。


《ごめん、A市に戻って父さんと会ったりでバタバタやった。今からバイトがんばるわ》


 なるほど、だからか、わたしは安堵する。夫はたまにお父さんに会うために地元に戻っていることをこの間聞いた。帰って来て元気な様子の時が1度だけ会ったが、その次は声をかけられないぐらい元気がなくなっている時があった。


 何があったのか心配で、わたしはバイト先で直接聞けなかったことを電話で聞こうとして呼び出した。


「もしもし?」

「ごめん、少しだけ話していい?」

「うん」

「あのさ……今日元気なかったなーって思って。お父さんとなんかあったん?」

「そうかな? え、父さんといや特に。飯食っただけやし」

「そっか、よかった。心配やったから」

「あのさー今から会われへん?」

「え?」


 わたしは慌てて時計を見る。もう夜の十二時手前だった。


「遅いよな、ごめんごめん」

「いいよ」

「まじで?」

「居酒屋の前まで行くわ。忘れ物したからって親に言うから」


 わたしは徒歩すぐにある居酒屋に向かう。フード付きのパーカー姿の夫が現れる。


「どうしたん?」

「いや、会って話したくなって」


 どういうこと? わたしはそわそわする。


「嬉しい。びっくりしたわ。地元戻ってて疲れてるのに大丈夫?」

「大丈夫。咲良さん、俺と付き合ってくれませんか」


 わたしは驚きすぎて言葉が出てこない。


「すみません、いやっすよね。いや気持ち聞いてもらえてよかったす。またバイトでよろしくお願いします」


 大きな背中の夫が去って行こうとする。この時、本当にわたしは呼び止めてよかったのだろうか。


「類斗くん!」


 歩くのをやめたけど、夫は振り返らない。近所のコンビニから、ひとが出てくる。ふたりとも少しだけそのひとの動きを眺めた。


「わたしは会ったときから、類斗くんの彼女になりたいって思ってたよ!」


 そこで、ハッとして夫が振り返る。


「まじっすか」


 暗い夜なのに、ぱって花が咲いたみたいに夫の周りだけ明るくなった。ありえないのに、ありえる。


「俺、彼女とかできたことなくて。だから、色々迷惑かけると思いますけど、よろしくお願いします。あ、送って行きます」


 夫の手にわたしから手を重ねる。少しだけ閉じたけど、受け入れてくれたのか柔らかく開いて、わたしの手をぎゅっと握ってくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ