第7話:永禄十一年(1568年)―― 龍と虎、神童の前に現る
1. 武田信玄、動く
「幕府、何するものぞ。足利義輝は細川の小倅に操られる操り人形に過ぎぬ」
甲斐の虎・武田信玄は激怒していた。信長が幕府に下り、今川が滅び、天下のパワーバランスが「室町幕府一強」になりつつある現状が許せなかったのだ。 信玄は、北条・斎藤(残党)らと密かに結び、二万の騎馬軍団を率いて上洛を開始する。
「聡明とやら。貴様の『からくり兵器』とやらが、我が風林火山の蹄に耐えられるか試してくれよう」
2. 「軍神」は白銀の美女
一方、幕府側。聡明は二条御所の司令部で、モニター(前世の知識で作った、鏡とレンズによる遠距離監視システム)を眺めていた。
「さとあきさま、信玄が攻めてくるって! ちよも戦う、鉄砲隊の準備させる!」 「千代、落ち着いて。今回は強力な『助っ人』を呼んであるから」
そこへ、一人の騎士(?)が、白銀の甲冑に身を包んで現れた。 兜を脱ぐと、そこから溢れ出したのは、月光のような美しい銀髪。 凛とした顔立ち、吸い込まれそうな瞳。そして、妙齢の女性ならではの、成熟した色香を漂わせる美女――越後の龍、上杉謙信(長尾景虎)である。
「義に背く虎を討つ。……それが、毘沙門天の意志。そして、私の……いいえ、わたくしの望み」
謙信は、聡明の手をとり、その甲冑越しに彼の顔を覗き込んだ。
「聡明殿。あなたが手紙に書いた『義に基づいた新しい世界』……わたくし、一目で気に入りました。この命、あなたに捧げましょう」
「……えっ、あ、はい。よろしくお願いします(美人すぎて直視できない……!)」
「ちょっとおおぉぉ!! 謙信さん! さとあきさまの手を離して!!」
千代姫が速攻で割って入るが、謙信は余裕の笑みで受け流す。 「千代姫様、わたくしは『義』の話をしているのです。愛だの恋だのという次元ではございません(※嘘です。一目惚れです)。」
3. 三方ヶ原ならぬ「京の都・防衛戦」
永禄十一年、十月。 武田軍は京の近郊、瀬田の唐橋付近で幕府軍と対峙する。 信玄は自信満々に「魚鱗の陣」を敷き、最強の騎馬隊を突撃させた。
「蹴散らせ! 幕府の軟弱な兵など、馬の蹄で粉砕せよ!」
だが、聡明は冷静に指揮を執る。
「第一段階、発動。……『テスラ・コイル(もどき)』、放電開始!」
聡明が開発した大型の静電気発生装置が、雨上がりの戦場にパチパチと青白い火花を散らす。雷に驚いた馬たちがパニックに陥り、次々と落馬する武田兵。
そこへ、謙信率いる「越後騎馬・アンド・モーターライズ(快速馬)」が横から突っ込む。
「義を忘れた虎よ。わたくしの愛……もとい、義の刃を受けるがいいわ!」
謙信の振るう名刀は、聡明が鍛えた「超振動モーター(もどき)」を内蔵しており、武田の堅牢な鎧をバターのように切り裂いていく。
4. 決着、そして……
信玄は、自分の知らない「科学」という暴力の前に、完膚なきまでに敗北した。 馬から転げ落ち、聡明の前に引きずり出された信玄は、目の前の十四歳の少年に問いかけた。
「……貴様、何者だ。これは軍略ではない。魔術だ」
「いえ、ただの物理です。信玄公、あなたの力は認めます。これからは幕府の『山梨県・観光資源開発部長』として、美味しい梨とブドウを作ってくれませんか?」
「……なし? ぶどう? わけが分からんが、お主に勝てる気がせぬ。……降参だ」
こうして、戦国最強の虎も、聡明の軍門に降った。
戦いが終わり、夕焼けの中で謙信が聡明に寄り添う。 「聡明殿。わたくし、戦国を終わらせる決心がつきました。……今夜、二人でゆっくりと『義』について語り合いませんか?」
「ダメに決まってるでしょーーー!! 謙信さん、あなたは越後に帰りなさい!!」
千代姫の怒号が、勝利の歓喜に沸く京の空に響き渡った。




