第6話:永禄九年(1566年)―― 織田信長、就職活動にくる
三好一族が「御所の謎兵器」によって壊滅したニュースは、瞬く間に日ノ本中に知れ渡った。 「足利義輝、ついに覚醒。背後には細川のバケモノ神童あり」 この噂を聞いて、美濃を攻略したばかりの織田信長は、軍勢を連れてくるのではなく、わずかな供回りだけを連れて京都へ「面接」にやってきた。
1. 「俺を働かせろ」
二条御所の応接間。そこには、十四歳になった聡明と、その隣で「正妻の余裕」を見せる千代姫が座っていた。
「……貴様が、三好をゴミのように掃討したという細川聡明か」
目の前に座る信長は、鋭い眼光を放っていた。だが、聡明は動じない。
「ええ。織田殿、美濃平定おめでとうございます。ちょうど良かった、幕府では今、『関東・北陸方面の治安維持担当・執行役員』を探していたところなんです」
「……執行役員? 幕府の臣下になれと言うのか」
「いえ、パートナーシップ契約です。織田殿には自由な軍事行動を認めます。ただし、収益の30%を幕府に納め、我々の開発した『最新OS(行政システム)』を導入していただく。それが条件です」
聡明が差し出した「契約書」を見た信長は、口角を上げた。 そこに書かれていたのは、信長が夢想していた「天下布武」を、さらに効率化・システム化した驚異のロードマップだったからだ。
「面白い……! この信長、今日から幕府の『矛』となってやろうではないか!」
こうして、本来なら幕府を滅ぼすはずの信長が、「幕府公認・最強の外部委託業者」として組み込まれた。
2. 千代姫の「お嫁さん宣言」
信長が去った後、千代姫が聡明の腕をギュッと抱きしめた。
「さとあきさま、今の信長って人、ちょっと怖かった……。ねえ、あんな怖い人とばっかりお仕事しないで、ちよとの『お約束』も忘れてないわよね?」
「お約束?」
「もう! パパ(義輝)が言ってたでしょ! 三好がいなくなって京が平和になったら、『聡明と千代の婚儀』を執り行うって!」
聡明は、横で控えていた結衣を見た。結衣は溜息をつきながら、算盤を弾く。
「……聡明様、諦めてください。すでに京都中の寺社に、来年の挙式の寄進(賄賂)を済ませてありますわ。予算は幕府の予備費から『国家安泰祈願費用』として捻出済みです」
「……仕事が早すぎるだろ、二人とも」
「当たり前よ! さとあきさまが他の女の人……たとえば信長の妹さんとかに目を向ける前に、形にしちゃわないと!」
千代姫の独占欲は、もはや天下人のそれだった。
3. 将軍・義輝の暇つぶし
その頃、本来の歴史では死んでいたはずの将軍・義輝は、卜伝と一緒に御所の庭で「ゴルフ(聡明が考案した新スポーツ)」に興じていた。
「卜伝殿、見ておれ! 余の新奥義『ホールインワン』だ!」
「おお、上様! なんという鋭いスイング。これぞ新当流の極意……!」
政治は聡明に丸投げ、軍事は信長に外注。 あまりにも平和で、あまりにも強すぎる室町幕府。聡明の「あっけない」歴史改変は、ここから世界へと目を向け始めることになる。
永禄十年(1567年)
幕府、公式に「天下静謐」を宣言。 聡明と千代姫の婚儀が行われ、日本中が祝杯に沸く。




