第5話:永禄七年(1564年)、将軍からの「内定通知」
1. 美濃で足踏みする織田信長
永禄七年、尾張の織田信長は美濃(岐阜県)の斎藤龍興と泥沼の戦いを続けていた。 史実ならここで「足利義昭」を拾って一気にジャンプアップするのだが、現在の京都には、最強の神童・聡明に守られた足利義輝が君臨している。
「……猿よ。京の将軍家はどうなっている?」 「はっ。伝聞によれば、二条御所は石垣が白く輝き、大砲なる巨筒が並び、三好の軍勢が近づくことすらできぬとか。……というか、細川の聡明とかいうガキが、堺の商人を札束で殴って支配下に置いたそうです」 「ふん、面白そうな男だ。……美濃を獲ったら、俺も幕府に就職活動でもするか」
信長にとって、幕府は「倒すべき古い権威」ではなく、**「自分より先にDXを達成した超巨大企業」**に見えていた。
2. 聡明の「天下プロデュース」
二条御所では、十二歳になった聡明が、千代姫に肩を揉まれながら地図を広げていた。
「さとあきさま、信長さんっていう人が美濃で苦戦してるみたい。助けてあげなくていいの?」
「いいんだよ千代。信長には『苦労して自力で美濃を獲った』という実績が必要なんだ。その方が、後で幕府の**『東国平定担当・CEO』**として使いやすいからね」
聡明は、信長を「敵」としてではなく、「幕府の有能な執行役員」として育てるつもりだった。 朝倉も浅井も、幕府が「正義」として君臨し、圧倒的な武力(ガトリング砲)を見せつければ、戦う前に平伏する。戦う理由がないのだ。
3. 千代姫の「将軍家外交」
そこへ、秘書の結衣が慌てて駆け込んでくる。
「聡明様! 朝倉家から『千代姫様を当主・義景の正室に』という縁談が届きましたわ! すぐに追い返しましたけれど!」
「あ、ありがとう結衣。……でも勝手に断って良かったの?」
「当たり前じゃない!!」
千代姫が机をバン!と叩く。
「ちよは幕府の姫よ。朝倉なんて田舎の武士にお嫁に行くわけないでしょ? ちよが行くのは、さとあきさまのところだけなの。パパ(義輝)も『聡明が将軍になってもいいぞ』なんて冗談言ってるくらいなんだから!」
「……え、将軍? 俺、細川なんだけど……」
聡明は気づいていなかった。 自分が義輝を助け、幕府を強くしすぎた結果、**「次の将軍は血筋よりも、聡明の知能を継ぐ者(=聡明と千代の子)がいいんじゃないか?」**という空気が幕府内に醸成されていることに。
永禄八年(1565年):運命の五月。暗殺者は来たけれど……
そして、運命の「永禄の変」の日。 三好三人衆と松永久通の軍勢一万が、ついに二条御所を包囲した。 本来なら義輝が畳に刀を刺して戦い、果てる日だ。
「……聡明。奴ら、本当に来たな」 義輝は、聡明がプロデュースした「特製チタン合金製の日本刀」を抜き、不敵に笑う。
「予定通りです、上様。千代、結衣、スイッチをお願い」
「「はい、さとあきさま!」」
二人が御所のレバーを引いた瞬間。 御所の外壁に隠されていた「自動連射式バリスタ」と「蒸気式火炎放射器」が火を噴いた。 さらに、門の上からは塚原卜伝率いる「カシマ・レンジャー」がパラシュート(のようなマント)で降下していく。
「ぎ、義輝は剣豪のはずだろ!? なんだこの魔法みたいな武器はぁぁ!!」
三好軍の叫びが響く中、聡明は千代姫の作ったおにぎりを食べながら、悠々と戦況を眺めていた。
「さあ、これで三好は終わりだ。次は信長を呼び寄せて、戦国時代の『終戦記念日』の準備をしようか」




