表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら将軍の愛弟子だった件 〜細川家の神童、義輝暗殺を回避して戦国を無双する〜  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/9

第一話:産声の代わりに「詰んだわ」と天才的な出会い

視界がぼやける。なんだ、この重力は。 かろうじて開いた目で天井を見ると、そこは茅葺き屋根だった。 「……あうー(マジか、転生したのか俺)」


俺、前世はしがない歴史オタクのサラリーマン。ある日、戦国時代の資料に夢中になっていたらいつの間にか意識を失い、気がつけばこのザマだ。 腕はもみじ饅頭みたいに小さく、声は「あうー」としか出ない。だが、脳みそは前世の俺そのまま。


状況を整理すると、どうやら俺は細川聡明さとあきとして爆誕したらしい。 細川家といえば、代々足利将軍家に仕える名門。藤孝(幽斎)の弟という設定だが、それより何より、この時代がヤバい。 時は永禄年間。室町幕府は風前の灯。将軍はあの「剣豪将軍」足利義輝。


「……あう、あうー!(義輝様、あと数年で暗殺されちゃうじゃん! ヤバい、マジで詰んだわこれ!)」


俺の産声(?)は、未来の知識を持つがゆえの絶望と、小さな体から溢れ出す焦燥で満ちていた。 だが、嘆いている暇はない。義輝様を救い、この時代の悲劇を回避する。それが、この俺、細川聡明の使命だ!


神童の誕生と、将軍家の姫

細川家に生まれた聡明は、その成長速度から「神童」と呼ばれた。 生後三ヶ月で首が座り、六ヶ月でハイハイする。しかし、聡明のハイハイは常人のそれとは違った。床に置かれた書物を目にも留まらぬ速さで読み漁り、一歳になる頃にはもうペラペラと喋り始めていた。


「父上、この『応仁記』、記述が甘い。もっと客観的な視点から、当時の経済状況と武家の動向を分析すべきかと」 「な、なにを……聡明、お前はまだ一歳だろう!?」


父は毎回卒倒しかけていたが、聡明は止まらない。 前世の歴史知識と、転生で手に入れた謎の「超絶記憶力」「超絶演算能力」をフル活用し、細川家の蔵書を片っ端から読み漁った。古文書から最新の軍学書まで、全てを吸収するスポンジのような脳みそ。


そして、運命の出会いは、聡明が三歳の時に訪れた。 足利将軍家から、生まれたばかりの姫君が細川家に預けられたのだ。


「あらあら、聡明坊や。ご挨拶なさい。こちら、足利家のお姫様よ」


乳母に抱かれたその子は、きゅるんとした大きな瞳で聡明を見つめていた。 名前は千代ちよ。聡明と同い年で、未来の悲劇の将軍、足利義輝の愛娘だ。


(え、義輝様に娘がいたっけ?歴史書にそんな記述は……)


転生特典か、はたまたこの世界線オリジナルの設定か。 いずれにせよ、この可愛らしい姫君が、未来の義輝暗殺の際に巻き込まれる可能性を考えると、聡明の「絶対に義輝様を救う!」という決意はさらに強固なものとなった。


千代姫は、聡明の顔を見て、にこっと笑った。 「あうー!」 (可愛い! これは守り抜かねばならない!)


これが、後に戦国の世を騒がせる「細川の麒麟」と、幕府再興の象徴となる「将軍家の姫」の、奇妙な出会いだった。


神童、将軍に直談判す

聡明が五歳になった頃。 彼はついに、将軍・足利義輝に謁見する機会を得た。 二条御所の広間。まだ若く、しかし剣の才に溢れた義輝は、聡明の噂を聞きつけ、興味津々といった様子で座っていた。


「ほう、そなたが細川の聡明か。父より、そなたが日ノ本一の賢者であると聞いているぞ」 「上様、恐れながら申し上げます」


聡明は、あどけない顔つきのまま、しかしその瞳には未来を見据える強い光を宿して言った。


「上様の剣の腕は天下無双。しかし、それだけではこの乱世は治まりません。このままでは、上様は永禄八年五月十九日、京都にて家臣の裏切りにあい、非業の死を遂げられます」


義輝の顔から笑みが消えた。周囲の近臣たちも息を呑む。 五歳児の口から語られる、あまりにも具体的で不吉な予言。


「……何を言うか。証拠でもあるのか?」 「証拠はありません。しかし、私は未来を見ることができます。上様がこのままでは死ぬ未来を。ですが、私がいれば、その未来を変えることができます!」


聡明は、きっぱりと言い放った。 その言葉に、義輝の瞳に好奇心と、かすかな希望の光が宿る。


「では、どうすれば良いというのだ? 神童よ」 「まず、御所の防衛を近代化します。そして、上様の身体能力を極限まで引き出し、さらに家臣を精鋭部隊に鍛え上げます。 さらに、全国の大名を出し抜き、幕府の財力を爆発的に増やし、諸国の武士たちを金と最新兵器で買収します!」


聡明が語る内容は、この時代の常識を遥かに超えていた。 だが、その言葉には妙な説得力があった。 「……面白い。よかろう、聡明。余はお主の言葉を信じよう。さあ、存分に力を振るうが良い! この義輝、お主の采配に全てを任せる!」


こうして、五歳の神童と、未来を知らぬ剣豪将軍の、規格外なコンビが誕生した。 そして、御所の片隅で、聡明の言葉をこっそり聞いていた千代姫は、目をキラキラさせていた。 「……さとあきさま、すごい!」 (私も、さとあきさまと一緒に、パパを守る!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ