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0話 最速の証明

 デレレレレーーン


 おめでとうございます!

 あなたは世界で最初のレベルカンスト達成者です!


「……やっっと終わった」


 派手なファンファーレを聞きながら、

 俺はミスティア・オンライン最初のレベルカンスト者としての達成感に浸り、椅子にもたれかかった。


「ここまで長かったな……」


 ミスティア・オンラインは総プレイヤー数十万人を超える人気MMORPGだ。

 “全9種の種族を統一した者が世界の王になる”――説明はシンプル。なのだが “シンプル” が一番難しい。


 サービス開始から一年が経つが,まだ三種族の統一すら誰もできていない。

 だから俺は、最初から統一なんて諦めた。

 ひたすらレベル上げに全振りして、最速でカンストだけを狙った。


「さてさて、報酬はっと」


 腰を浮かせながらアイテムウィンドウを開く。


「……ん?何も、ない?」


 スクロールしても、目を凝らしても、新しく増えたアイテムは一つもない。

 まさか報酬なし?


「マジかよ……やり込み損?」


 疲労と喪失感が一気に押し寄せる。

 三日間ほぼ寝ずにレベル上げしてた俺の電池も、ここで切れた。


「明日もう一回確認するか」


 ベッドに倒れ込み、目を閉じた。


 ―――――――――――――


 翌朝。ミスティア・オンラインを開いた瞬間、異変に気づく。


「……なんだこれ?」


 ステータス欄に“種族変更”の項目が増えていた。


 アップデート?

 いや昨日そんな情報はなかったし、俺が見落とすはずがない。


 不思議に思いながら“種族変更”を選択する。


「……ユニーク種族!?」


 俺が元々使っている種族 “ヒューマン” の下に “ユニーク種族:ユニコーン” が表示されている。


 説明欄を開く。


 ユニーク種族・ユニコーン

(全プレイヤーの中で最も早くレベルをカンストした者に与えられる種族。高い回復能力と高い敏捷性を有する)


「は、はは……マジかよ」


 引きつった笑いが漏れた。

 誰も持っていないユニーク種族。

 ゲーマーとして、これ以上の喜びはない。


 フレンドにでも自慢してやろうかな――と思ったが、すぐに苦笑い。

 俺には自慢できる相手なんていない。


 レベル上げは圧倒的にソロのほうが効率が良い。

 情報共有もほとんど必要としなかったこともあり、フレンド0。

 チャットで自己肯定感上げるとか、性に合わない。


「……早速使ってみるか」


 生唾を飲み込み、ユニコーンに種族変更を行った。


 短いロードの後、“種族変更完了しました”の文字。

 画面が一瞬暗転する。


「これが……!」


 プレイヤー名:イヴ・リメン

 種族:ユニコーン


 そう表示されているのに、見た目は全く変わらない。


「ユニコーンって名前なんだから、角ぐらいは生えるかと思ったんだけど」


 拍子抜けしつつも、性能を試すためにフィールドへ行こうとした、その時――


「ちょっとー!いつまで寝てるの!?もう学校の時間よ!」


 母親の怒鳴り声で現実に引き戻された。


 三連休をレベル上げに費やしたせいで、曜日感覚が完全にバグってる。


「はぁ……続きは帰ってからだな」


 急いで支度をして、リュックを背負う。


 ジジ……


「ん?」


 パソコンから妙な音がした気がする。

 振り返るが、画面は変わらない。


「やべ、ゲーム開きっぱなしだ」


 フレンドのいない俺にとって、オンライン表示なんて問題じゃない。

 もう一度ドアに向き直ろうとすると――


 ロード中


 見覚えのない画面が表示された。


「……ユニークの代償ってやつか?」


 おそらく俺が初めてのユニーク種族取得者だから、バグったんだろう。


 階段を降りながら母親に「行ってきます」と声をかけ、家を出た。

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