第三話 溺愛は続くよ、どこまでも
本当は副反応などすっかり良くなっていたが、今日は有給を使う事にした。なんせワク様が今日は二人で一緒にいたいと言うんだもの。そんな甘いセリフに逆らえない。
なぜか全く分からないが、ワクチンの副反応が酷いので有給使いたいと言うとすぐに休めた。
こんな事は珍しい。兄が頂き女子に騙され、実家が大変だった時も有給など取れなかったのに。そういえばうちの家系は父、叔父、従兄弟も結婚詐欺にあっていた。うちの家系の遺伝だろうか。
「おい、歩美。これからデートに行くぞ。何ボケっと考え込んでるんだよ」
「いえ」
「でも、そんなお前も可愛いんだよ」
ドン!
ワク様に壁の方まで連れて行かれ、壁ドンされた。
トクゥン!
私の心臓は波うち、もうすぐ目の前にいるワク様を直視できないぐらい。
「ワ、ワク様。刺激が強すぎます……!」
「初心だな! でもそんなお前が可愛いんだよ」
さらにワク様に距離を詰められ、私の頭は壊れそう。心臓はトクゥン、トクゥンしすぎて治りそうにない。
「ああ、ワク様……。あなたは何てイケメンなの……」
もうそんな事ぐらいしか言えなくなっていた。
その後、ワク様とデートをした。なぜか格安で温泉施設や飲食店を利用でき、ワク様と一緒に歩いているとクーポンを山ほど貰った。外れてしまったが、車や家が当たるクジにも参加できた。
「ワク様、なんでこんなにいっぱいクーポン券が貰えるの?」
「お前が思いやりがあって可愛いからに決まってるだろ?」
人前だが、ワク様に強く抱きしめられ、私の思考回路は完全にショートした。
「ワク様と一緒に歩いているなんて、なんて思いやりがある女性なんでしょうか!」
カフェに入ると、店員にそう言われ、またクーポン券を貰った。