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55 エピローグ:新しい未来へ

フリーデリケの新たな役割


 ノルデン王国の宮廷、大理石の床に敷かれた青い絨毯の上で、フリーデリケは青いドレスを身に纏い、アルバナ王国からの使節団を迎えていた。数日前から続く歓迎行事の締めくくりとなる晩餐会で、彼女は両国の文化交流について熱心に議論を交わしていた。


「アルバナの織物技術は、ノルデンの職人たちにとっても大きな刺激となるでしょう。互いの技術を共有することで、新たな芸術が生まれると信じています。」


 その言葉に、ノルデン王もアルバナからの使節も深く頷いた。かつて戦場で剣を振るっていた少女は、今や両国を結ぶ重要な架け橋となっていた。


 自室に戻ったフリーデリケは、机に飾られたアルバナ産の白い花を見つめた。その繊細な花弁を見つめていると、戦場で共に過ごした日々が鮮明に蘇る。特に、夜の静寂の中、翔が焚き火を囲んで歌ってくれたアルバナの歌は、不安で押しつぶされそうだった彼女の心を優しく包み込んでくれた。今でもその歌を聴くと、勇気が湧いてくる。フリーデリケはペンを取り、便箋に向かった。


「翔へ


ノルデンでの生活は落ち着き、私はアルバナとの文化交流という重要な役割を担っています。先日、アルバナから使節団が訪れ、歓迎の晩餐会が開かれたのですが、その時、あなたが戦場で教えてくれたアルバナの歌を演奏したのです。皆、その美しい旋律に心を打たれていました。あの時、戦場で不安だった私たちを励ましてくれたあなたの歌声は、今も私の心に深く残っています。新しい生活が始まりましたが、あなたと過ごした戦場の日々が、私の中で大きな支えとなっています。こちらは平和な日々が続いていますが、あなたも元気でいることを願っています。いつかまた、このノルデンで、あるいはアルバナで、再会できる日を心待ちにしています。」


 封蝋を押し、手紙を送り出した後、フリーデリケは窓の外を見上げた。夜空には満月が輝き、遠いアルバナの空の下で、翔も同じ月を見上げているのだろうかと思いを馳せた。


翔の新しい挑戦


 戦後五年、アルバナの小さな港町の一角に、「アルバナ商業相談所」という看板が掲げられた事務所があった。夕暮れ時、事務所の扉を閉めようとしていた翔の前に、一人の若い商人が駆け込んできた。


「翔さん、助けてください!税金の仕組みが複雑で、帳簿のつけ方も分からなくて…」


 不安そうな青年の顔を見て、翔は優しく微笑んだ。


「大丈夫、心配しないで。まずは帳簿を見せてくれる?一緒に整理して、税務署への申告がもっと簡単になる方法を考えよう。」


 翔は、かつて自分が戦場で得た知識と経験を活かし、困っている人々を助けていた。有償での相談だけでなく、生活に困窮している人々には無償で支援を行っていたため、その評判は瞬く間に広まり、遠くの町からも相談者が訪れるようになっていた。


 その日の夕食時、エリスが温かいシチューとパンを持って事務所に現れた。


「翔さん、また食事を忘れて仕事に没頭してるんですね。ほら、温かいうちに食べて。」


 エリスの優しい言葉に、翔は照れくさそうに笑った。


「だって、困っている人を放っておけないんだ。それに、こうして君がいてくれるから、安心して仕事に打ち込めるんだ。」


 エリスは少し頬を赤らめながら、「私がいるのは当たり前でしょう?」と微笑んだ。二人の間には、穏やかで温かい空気が流れていた。


翔とエリスの結婚生活


 翔とエリスが結婚して五年。町の人々は、質素ながらも温かい祝福の言葉を二人に送った。教会の鐘が鳴り響く中、子供たちが花びらを撒き、二人は手を取り合った。


 結婚後、二人は小さな家で暮らし始めた。元メイドだったエリスは、今でもつい家事を完璧にこなそうとしてしまう。ある日、翔が仕事から帰ると、家の中はまるで磨き上げられたようにピカピカだった。


「エリス、そんなに頑張らなくても大丈夫だよ。少しぐらい散らかっていても、僕は気にしないから。」


 翔がそう言うと、エリスは少し照れながら、「でも、綺麗じゃないと落ち着かないんです」と答えた。翔はエリスを優しく抱きしめ、「君がいてくれるだけで十分だよ」と囁いた。エリスの顔がほんのり赤く染まった。


 かつての仲間たちと再会


 それからさらに数年後、翔とエリスは、かつての仲間たちと町の広場で再会した。夕焼けに染まる空の下、皆で持ち寄った料理と酒を囲み、昔話に花を咲かせた。


「翔、あの時、お前が冷静に指示を出してくれたおかげで、俺たちは助かったんだ。」


 仲間の言葉に、翔は照れ笑いを浮かべた。


「いや、みんながそれぞれの役割を果たしてくれたからこそ、乗り越えられたんだ。」


 その時、翔はフリーデリケからの手紙を取り出し、皆に読んだ。彼女がノルデンで活躍していることを知ると、皆、喜びと安堵の表情を浮かべた。


「彼女も頑張っているんだな。俺たちの戦いは、無駄じゃなかったんだ。」


 皆で空を見上げると、満月が静かに輝いていた。それぞれの道を進みながらも、彼らの心は固く結ばれていた。平和な日々が続くことを願いながら、彼らの物語は静かに幕を閉じた


このたびは、私の作品を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。初めての投稿ということもあり、拙い部分が多々あったかと思いますが、それでもここまでお付き合いいただけたことに、心から感謝しています。


評価やコメントをくださった方々、貴重なご意見をありがとうございます。皆さまからの言葉が、これからの創作活動への大きな励みとなります。まだまだ未熟ではありますが、今回の経験を活かし、より良い作品をお届けできるよう努力してまいります。


これからも応援していただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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