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17 静かな侵攻

ノルデンの平野には、戦の予感が漂っていた。遠くにそびえる要塞は、これまで無敵を誇ってきたが、今やその強固な防御にも不安が広がり始めている。食料の買い占めが功を奏し、領民たちの心には動揺と恐れが浸透していた。


司令官クラウス・レヒナーは、軍議の場で地図を広げ、部隊の指揮官たちに冷静な目を向けた。


「皆、よく聞け。これから我々は、ノルデン要塞への決定的な攻撃を仕掛ける。まず、魔道砲で要塞の外壁に打撃を与え、混乱を引き起こす。だが、それだけでは終わらん。」


彼は一瞬、周囲を見渡し、全員が注意深く彼の言葉を待っているのを確認した。


「混乱が広がった瞬間、我々は騎兵隊を突入させる。奴らが逃げ込むのは要塞だ。だが、それでいい。彼らが自ら籠城戦を選ぶように仕向けるのだ。ここが重要なポイントだ。」


「それこそが我々の狙いだ。領民が要塞に逃げ込めば、要塞内の食料が急速に消耗される。食料不足が彼らを内部から崩壊させるだろう。戦わずして勝つための作戦だ。」


この言葉を聞いて、第2中隊の指揮官マイヤーが眉をひそめ、質問した。

「司令官、要塞の防衛力は高いと聞いています。仮に彼らが籠城戦に持ち込んだとしても、内部に十分な食料があれば長期戦を強いられるのでは?」


クラウスは冷静に頷き、言葉を続けた。

「その心配はない。彼らの備蓄は既にこちらの策略で大幅に減っている。さらに、我々のスパイによる情報では、内部の兵士たちもすでに個人で食料を売り払ったとのことだ。要塞内はすでに飢えに近い状況だ。」


マイヤーは少し驚いた表情を浮かべ、言葉を飲み込んだ。すると、隣に座っていた第4中隊の指揮官ベックが低い声で呟いた。

「それなら、奴らの崩壊は時間の問題だな…。」


フリーデリケがその言葉に頷き、さらに付け加えた。

「そうです。そして、こちらの備蓄は十分に確保されています。時間が経つほど我々が有利になるのです。」


クラウスは地図に指を滑らせ、攻撃の各段階を示した。

「砲撃部隊は、要塞の正面と西側に集中攻撃を仕掛ける。これにより、要塞内の兵士と領民は東側へと逃げ込むはずだ。そこに、第2中隊が待機している。奴らの逃げ道を塞げ。第4中隊は北側から迂回し、後方から進撃せよ。包囲網を作るのだ。」


ベックが静かに手を挙げ、質問を投げかけた。

「東側の逃げ道を塞ぐとき、我々は領民と兵士を区別しないということでよろしいですか?」


クラウスは鋭い目でベックを見据え、答えた。

「我々の目的は、要塞内に人々を押し込めること。誰であろうと構わん。奴らが要塞に逃げ込むことが、我々の勝利に繋がる。」


一同はクラウスの言葉に従い、各部隊の指揮官が次々と指示を確認していった。戦いの準備は整った。


クラウスは最後に静かに告げた。

「奴らが自らの欲望に駆られ、食料を売り払った代償を、これからたっぷり味わわせる。」


彼の冷静で計画的な指揮のもと、戦闘準備は整い、いよいよノルデン要塞への攻撃が開始されようとしていた。


フリーデリケが一歩前に進み、翔に耳打ちした。

「翔、あなたの策略がいよいよ形になりますね。ここからは、私たちの戦いです。」


翔は無言で頷きながら、遠く要塞を見つめた。これから始まる戦の行方を見据えつつ、彼の胸には複雑な思いが渦巻いていた。



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