おしゃべり
私と哀先輩も家庭科室に行って、ひまり先輩が作ったガトーショコラを食べてます。何というか、学校でスイーツを食べるのは中々新鮮だけど、罪悪感もある。
本当にプログラミングの大会で成果を出したら部活として認められるの?ちょっと心配になってきた......
ひまり先輩は全然気にしてないみたいだけど。悩みのない瞳。わっ、こっち向いた。見てないふり見てないふり。
「そういえば、私がガトーショコラ作りに行った後、どこまで進んだの?」
「えっと、for文と配列を教えてもらって、そのあと競プロの問題を初めて解きました」
「え、すごい!あ、でも、ゆいちゃんが初めて競プロするの見たかったなー」
ひまり先輩が哀先輩のことを横目で見ながら言う。
「ガトーショコラおいしいね」
「哀ちゃんが超強引な話題転換をしている......」
部室に戻ってからは、のんびりした。たまにはいいよね。
「来週のIPCだけど、土曜日に出発だからね。8時半までに部室に来ること」
「はーい」
哀先輩が私とひまり先輩に確認してるけど、私はIPCという単語を聞いたことがないような...?
「出場予定の競技プログラミングの大会のことですか?」
「うん。International Programming Contestの略だったかな?」
「インターナショナルって、国際的って意味じゃなかったですっけ?」
「そうだよ。来週のは国内予選みたいな感じで、そのあとアジア予選だっけ?」
「そう」
「思っていたより、大会が大規模なんですけど......」
この人たちは自己肯定感の塊なんですか?私は地区大会しか出たことないですよ?本当に出る大会合ってます?
「国内予選通過でも、部活の実績づくりには十分だよね!」
「県大会出場くらいで十分だと思うんですが」
「国内予選といっても、30チームは通るから全然楽勝だと思うよ?」
私の気持ちを計算に入れなければね。プログラミング初心者なのに国内予選に出場する場違い感。誰かに話しかけられたら困っちゃうよね。
「それは置いといて、ゆいちゃんはfor文まで書けるから、当日は最初の問題くらいは任せられそうだね」
「もしかしたら、次の問題まではできるかも?」
今週はプログラミングの勉強頑張ったもんね。なんとか大会までにプログラミングが一通りできるようになったみたいで一安心。
「最初の問題と、次の問題ですね、頑張ります!」
「もしかしたら、それ以外の問題もやってもらうかもね」
「え」
「解法は難しいけど、プログラミングの経験はあまり要らない問題は結構あるからね。構築問題とか」
「構築問題は「天才パズル」とか言われてるけどね......最初から解けるのはひまりちゃんくらいだよ」
「そうなの?」
どうやら、私はとんでもない問題を解かされそうになっていたらしい。
下校時間になったので、職員室まで部室の鍵を返しに行く。今日はみんな一緒についてきた。ケーキ同好会、職員室に襲撃だー。おりゃー。
「ゆいちゃん、for文までできるなら、今週のPBCに参加できるけど、どうする?」
「PBCって何ですか?」
「競プロを始めたての人向けのコンテストだよ、競プロに慣れるのにちょうどいいかなーって思って」
「時間内に全部解けるなら茶色になれるくらいの難易度」
「茶色ってどのレベルでしたっけ?競プロのランク順って覚えにくいですよね......」
哀先輩とひまり先輩がどっちも苦笑いしてる。
「競プロ始めたてが灰色で、茶色はその次のランク」
「ノービスとかマスターとかの名前だったら説明しやすいんだけどね。冠位十二階とかの色も全然覚えてないもん」
「懐かしい単語だ、紫が一番偉いことしか覚えてない」
「一色でも覚えてるのすごいなー」
哀先輩は歴史が得意だったりするのかな?もしかしたら、文系科目も理系科目もどっちもできる人かもしれない。
「話を戻すと、PBCは言語標準の機能とかデータ構造に慣れるのにちょうどいいかな?解き方は分かるけど、プログラムを書くのに時間がかかる人向けのコンテストだね」
「やってみますね」
「月曜にどうだったか教えてねー」
次回、やっとコンテストが書けるね