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ケーキ同好会で、競技プログラミング

 哀先輩が部室に入ってきた。むすっとした表情をしてひまり先輩の前に座った。


「ひまちゃん、私がなんで怒ってるか分かる?」

「あ、哀ちゃんの分のカップケーキ食べちゃった、」


 はあ、とため息を吐く音が聞こえた。なんというか、哀先輩かなり怒ってそうだけどひまり先輩大丈夫?


 と思っていたら、哀先輩が突然にやりとして、後ろからひまり先輩の両肩を掴んだ。


「ひまちゃん、人の分を食べたときはどうすべきか、分かってるよね?」

「ゆいちゃん、たすけて」

「それは先輩が悪いです」

「うっ、正論パンチ......せっかくだしみんなの分もう一個作りますか」


 ひまり先輩がもう一セットのカップケーキを作りに行ったけど、それを待たずに哀先輩は話し出した。


「ひまちゃん、この部活がどんな状況か知ってる?」

「えー?昨日初めたばかりだけど」

「廃部に片足を突っ込んでいます」


 哀先輩が何かが書かれた紙を机の上に置いた。ちょっと拝借。



部活動の一部制限について


 一部の部活について、不適切な活動が行われたため活動を制限させていただきました。


名前:ケーキ同好会

理由:部室での爆発

処置:新入部員の受付の停止



「先生に、「実績を出さなければ来年には廃部です」ってさっき言われた」

「実績って、他の部活動みたいに大会に出場する感じ?あんまり自信ないなー」

「え、ひまちゃん、パティシエコンテストみたいなものに出るつもりじゃなかったの?」

「私も、部活動だから大会に出るんだと思ってました」


 パティシエコンテストねぇ、とひまり先輩が作ったカップケーキを持ってきながら言う。あ、これは何も考えてなかったっぽいね。


「言っとくけど、私はたまにお菓子作るくらいの腕だからね」

「うっ、ゆいちゃんは?」

「私は全然ですね」

「そっかあ......」


「さすがに今から練習しても、コンテストで賞をもらうのは厳しそう......」


 廃部しかないのかな。と、ひまり先輩が悲しげにつぶやく。


「考えたんだけど、別にスイーツ系のコンテストじゃなくてもいいんじゃないかな」


 哀先輩がカップケーキをほおばりながら言う。


「ほら、実績になるなら問題ないから。別に先生もスイーツ限定だとは言ってなかったし」

「それは、ケーキ同好会としてどうなの?」

「ひまちゃんには反論する権利はないです」

「うぅ~」


 なるほど。でもパティシエのコンテスト以外に広げたとして、私たちが入賞を狙えるほどの競技はあるのだろうか。


「でも、何のコンテストに出るんですか?そんな急にできること無さそうですけど」

「競プロ」

「はーい!何着かを当てて生計を立てる人ですか?」

「それは競馬のプロ」


 競技プログラミングね、と哀先輩が言う。


「競技プログラミングなら、入賞どころか、優勝を狙えるから」



 プログラミング。高校に入るまで全く無縁だったのに、世界の常識にいつの間にかなってた言葉。



「前から気になっていたんですけど、先輩方ってプログラミング得意なんですか?」

「ひまちゃんは、競プロにおいては決戦兵器といっても過言じゃない」

「兵器ってかわいくないね。せめてくまさんにして欲しいです!」


「高校生では3人しかいない、レッドコーダー」

「レッドコーダー...ってなんですか?」

「簡単に言えば、競技プログラミングで一番強い」



 ランクの説明もしないとね。と哀先輩が部室の前のホワイトボードの方に移動し、ペンを右手に取る。



競技プログラミングにおいては、実力を色で表す。

灰 < 茶 < 緑 < 水 < 青 < 黄 < 橙 < 赤

の順だね。右にいくほど強くて、赤色が一番強い。私は青色で、ひまちゃんは赤色ね。さっきも言ったけど、赤色は高校生では3人しかいないよ。



 哀先輩がホワイトボードに文字を書きながら説明してくれる。



 競技プログラミングでひまり先輩と哀先輩が強いから、簡単に入賞を狙うことができそうだという考えなんだろうな。......それって私が足を引っ張ったりしないかな。プログラミングで試合をする方法とか、全然想像つかないくらいのプログラミング初心者だけど。



「私プログラミング昨日始めたばかりですけど大丈夫ですか?」

「ゆいちゃんには私が教えてあげるよー」

「次のコンテストは来週末なので、部室に来るのを忘れないように」


 はや、私まだ競技プログラミングやったことないですよ?


「大丈夫。予選はだいぶ余裕を持って通過できるから、ひまちゃんと私が教えながらでも大丈夫」

「......聞こえてました?」

「ゆいちゃんは考えてることが口から出る人なんだねー。かわいい」


 恥ずかし。今まで生きてきて誰も教えてくれないんだけど!もしかしたら今までもやってたかも。これからは気を付けないと。変なこと考えてるときに口から出てたら困っちゃうもんね。

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