print("ひまり先輩かわいい")
現代文ってコミュニケーションが下手な人が書いたんじゃない?高校生が読んですぐに内容が分かるくらいの文章じゃないと、世界のほとんどの人は理解できない自己満足の文章だよ。でも現代文の先生が面白いので許す。初回から授業をするのは許さない。
次の授業はひまり先輩イチオシの情報I。パソコン室に向かおう。
......さて、パソコン室はどこだろう。人に聞くのは気が引けるので、教室を右に出る集団についていくことにする。あなたもコミュニケーションが下手じゃないかって?ソンナコトナイヨ。
情報の担当の先生は今年から授業を割り当てられたようで、プログラミングは初めてらしい。話を聞くと、誰も生物の授業を取らないから担当の授業が無くなってしまい、そこに目をつけられて未経験の情報の授業に割り振られてしまったらしい。先生も災難だね。
先生も教えようにも教えられないので、資料を見ながら先生も含めたみんなで問題を解く...というスタイルの授業にするつもりらしい。
「ゆいちゃん、お疲れ!」
部室に入ると、ひまり先輩がカップケーキを食べていた。
「カップケーキ好きなのどうぞ!」
「チョコの方もらいますね」
ひまり先輩の横に座ってチョコカップケーキを受け取ると、ひまり先輩がにこにこしながら自分の分を食べている。学校でケーキを食べられるなんて、ケーキ同好会に入部した甲斐があったね。
「情報の授業が始まりましたよ」
「いいなー、私の代から初めて欲しかった」
「先生プログラミング初めてらしいです」
「先生という職業は大変なのだよ、ゆい君」
カップケーキを食べながらなんでもない話をしていると、学校で起きたことが下界の話のように感じてきた。
......ははは。自分でも何言ってるのか分かんないや。
「次回までに文字を表示できるようになっておきたいんですけど、教科書が分厚すぎて先生含めみんなで絶望しているんですよね、これです」
「入学してすぐにPythonをするんだ、いいなーー」
「テストとかどうするんですかね、先生ちゃんと点数つけられるんでしょうか」
ひまり先輩が二つ目のココアカップケーキに手を出した。あと2、3個しかないけど、哀先輩が来たときに先輩の分は残っているんだろうか......
「ゆいちゃん、私がPython教えてあげようか?」
「部室を爆破する方法なら結構ですよ」
「あれは調子が悪かった、ごめんね...」
ひまり先輩が自分のリュックサックの中からノートパソコンを取り出して、私の横に座る。
「print("表示したい文字")って書くと表示したい文字が出せるよー、こんな感じだね」
<<Python>>
print("こんにちは!")
「実行してみるとこんな感じになるよ」
<<Terminal>>
>python main.py
こんにちは!
「これだけですか?もっと難しいのかと思っていました」
「Pythonは簡単な部分は短く書けるから、とりあえず動かしてみる分にはベストかも。C++とかはプログラミング初心者に教えると嫌な顔されるんだよねー」
しーぷらすぷらすとは?ひまり先輩ってプログラミング得意なのかな。いつもの感じとギャップがありすぎて想像できないな。
「じゃあ、演習問題出しちゃおうかなー」
「え」
「決めました!print文を使って何か面白いものを画面に表示してください!」
「面白いものの判断基準は?」
「私が面白いと思ったら合格!」
プログラミングには笑いのセンスが重要らしい。いや、そんなわけないよね。仕方ないので考えますけど。面白いものといったら何だろう。
...ひまり先輩かな。かわいくしてごまかしとこ。
<<Python>>
print("(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡❀.←ひまり先輩")
「なにこのかわいい生き物」
「ひまり先輩です」
「本当?ラインのプロフィールに設定してもいい?」
「ど、どうぞ」
ひまり先輩がスマホの画面を見ながらにやにやしている。かわいい。昨日面接落ちそうとか言ってごめんなさい。




