お花畑な国民性
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
もう頭がグ~ルグル………
なんだよ。世界の頂点って?!
二人の世界がよっぽど平和じゃねぇか!!
やさぐれまくるリディアーヌ5歳。
すこぶる癒しが欲しいです。
チヨちゃん成分が欲しいと大人組に向かう私。
どうやらお昼の時間らしい。
確かにお腹が空いたかも………
テーブルにはサンドイッチやパスタにポタージュにサラダと彩り豊かな料理が置いてあった。
バイキング形式に好きにしてッて感じで置かれている。
チヨちゃんが、お皿にサンドイッチを置いてくれた。
つまりこれはチヨちゃんおすすめってヤツですか?!
”もうチヨちゃんのおすすめなら私も大好きですわ!!”
中にドレッシングで和えられたシャキシャキサラダにハムが入った一品。
チヨちゃん何気に渋い選択ですわね。美味しいけど………
子供が選ぶには偉く渋い………
ユリウス殿下とマーベルにも渡している。
ユリウス殿下は蕩けるような笑顔で喜んで貰っている。
対して兄マーベルお顔がすこぶるひきつっている。
ヤツは野菜が苦手と見た。
ユリウス殿下はそんなマーベルの皿に、ブロッコリーを入れている。
文句を言うマーベルに、ブロッコリーを食べさせようとするチヨちゃん。
嫌がるマーベル、そんなマーベルに嫉妬するユリウス殿下。
私は心のメモにマーベルはブロッコリーが嫌いと書く。
いつか役に立つ。
ニヤリッと思わず笑った。
******************
美味しかったな。
チヨちゃんも満足したのかユリウス殿下に連れられてお部屋に帰って行った。
”いいなぁ”
いくら年齢がアラサーでも身体はおこちゃまだ。
めちゃくちゃ睡眠を欲求している。
”一緒に寝たらダメかしら?”
ここから重たい話になるんだろうな。
チヨちゃんがバイバイと手を振った。
バイバイと振り返して、これもチヨちゃんの為と思いヨシ!と気合を入れる。
「リディアーヌそちらの話は終わったの?すごく盛り上がってたみたいだけど」
マリエ夫人が心配そうに聞いてくる。
ユリウス殿下の監禁ヤンデレ疑惑に関してだ。
「ユリウス殿下は大丈夫です。チヨちゃんが嫌がる事は絶対しないでしょう。それより王城にボクワイが入り込んでる方が危険です。魔道具など使用するので、人物特定をしないと危ないです」
私はマリエ夫人にユリウス殿下は安全と伝える。
「親父達はどんな話していたんだよ?」
マーベルがギルバート侯爵に聞く。
ユリウス殿下が戻って来て私の近くに座る。
「こちらは流行り病に関して考えていたんだ。」
「ええ、もしかしたら病気じゃない可能性が出て来たの。」
マリエ夫人も困ったように言っている。
どういう事だろう??
「つまり流行り病の兆候が起こらないなら、私たちは何の病気で倒れたのかしら?それは、ホントに病気なのかしら?って話していたのよ。宰相に有力な大臣らが集まる会議は、以外と少ないのよ。だったらむしろその場を狙ったテロって、考えたらしっくり来るじゃない?ついでに私もホントに亡くなったの?もしかしたら誘拐されたんじゃない?っていろいろ考えてみたの」
なるほど………
ストーリーでは、マリエ夫人の出来事はマーベルが話した内容。
流行り病はプロットで流れたから、私は知っているんだ。
それに、私思わなかった?!
”偉く都合よく宰相やら大臣が病気でいなくなるとか、さすがご都合主義な乙ゲーだ。”
私はビールを飲みながら管を巻いてたじゃない!
”だいたいこんなんで国として成り立つ訳ないじゃん”
”その後戦争で守護たる騎士もいなくなるとか、どんだけだよ。もう国として終わってるw”
”そんな状態で恋愛でお花畑とか馬鹿じゃないのwww”
だから私は余りのバカバカしさに、ゲーム途中で放り投げたのだ。
私はその時の自分を思い出し、身の置き場がない状態になった。
そんな私に気付くマーベルとユリウス殿下。
お花畑になった二人………
だから思わずシラ~~~となる私。
「何だよその顔は?」
不機嫌な声を出すユリウス殿下
「なんだか不満そう?」
マーベルは不思議そうに私を見ている。
「フフフ何か思い出したのね。教えてほしいわリディアーヌ」
マリエ夫人が声をかける。
でも勘弁してほしい。これはこの世界の人に言いづらい。
「リディアーヌ嬢。率直に言って下さい。」
宰相様にも言われる。ウウウゥでも………
「リディアーヌ嬢、それが何かのヒントになる事もある。教えてほしい」
優しい眼差しで諭すように言うギルバート侯爵。
ウウゥ…… もうこうなると言うしかない訳で………
私はこの世界を、この国を馬鹿にしまくった過去の自分を暴露した。
ホントにごめんなさい。
マリエ夫人は爆笑した。
それはそれは腹を抱えた大爆笑だった。
宰相様は額に手を置いて俯いている。
ギルバート侯爵は苦笑していた。そして
「リディアーヌ嬢、貴女はまだいい。うちのマリエなど手にも取らなかったと全否定してたからな。この世界を」
それを聞いて私は絶句し、マリエ夫人を見る。
マリエ夫人は目に涙をためて頷いている。
そんな私以上に見の置き場がないユリウス殿下とマーベル。
「大体俺達何してんだよ!孤独に愛されているんだぜって意味不明だろ!!」
「それを言うなら俺だってそうだ。国がそんな状態で二人の世界は美しいだからな!訳がわからない!」
ひとしきり騒いでお茶を飲んで落ち着きを取り戻していく。
そして改めてバルトル子爵の書類を眺めていると、ユリウス殿下の母親ハルアナ王女の記述を見つける。
あれ、ハルアナ王女ってどうして亡くなったの?
確か病気と聞いたけれど、何故か引っかかる。
確かゲームでも亡くなっていた。
同じ時期だろうか?
グラッセ領では流行り病の兆しは今だ存在しない。それは王都も同じ。
なるほどだからテロじゃないかという話になるんだ。
確かにテロって事で考えると、スムーズにストーリーが進んでいく。
ハルアナ王女が有力な大臣の集まる会議に出席しテロを起こす。
同じころグラッセ領でも、周辺に同じ様なテロを起こす。
マリエ夫人はそんな騒ぎのさなかに誘拐される。
そして元奥さんが亡くなったとギルバート侯爵に伝え、遺体は火葬したか別の遺体を渡した。
そうすれば「マリエ夫人は亡くなった」となる。
同じ様な症状が起こり、大勢の人が亡くなったから流行り病と片付けられた。
それにタイミングのいい進軍だって、テロを起こした国なら戦争を起こす時期なんて簡単だ。
用意周到に騎士団長たちに罠を張り巡らせて、待ち伏せしていたのじゃないかしら。
それこそ魔道具を使い、好き放題に蹂躙できただろう。
マリエ夫人がボクワイの手に落ちたなら目的は達成する。
つまりわが国への介入は大きなおまけだったという訳だ。
今まで手を煩わせた腹いせにやったのだ。
その残虐性のままに国を好き勝手しようと考えた。
オイオイ、偉く話がすっきりと繋がったんけど………
私はマリエ夫人を見た。
マリエ夫人は私を見て、ニンマリと笑っている。
宰相様は目を細めて、私を見ている。
「リディアーヌったら、凄く思考の底の落ちていたわね。どう?何かわかった?」
凄く楽しそうなマリエ夫人。
マーベルは私にお茶の入ったコップを渡しニコニコしている。
今からしゃべくりまくるから喉潤わせって意味かしら?
私は憮然としてマーベルを見ると、キョトンとした顔で何?て問いかける。
そんな私達を、微笑ましく見ているギルバート侯爵は
「マーベルは私の気質に似ているからな。好きな相手のお世話が大好きなんだ(笑)」
マーベルはヘラッと笑って抱き着いて来る。
私は何時からこんなに好かれたのかしら?
「というかこの国の男は、好きな者に対して基本世話を焼くタイプが多いです。国民性といってもいいでしょう。引っ張って貰う女性に惹かれやすいですしね。」
とても楽し気な宰相様。
国民性……なるほど。
つまりはもともとお花畑気質という事だ。
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「さあさあリディアーヌ。あなたの考えたストーリーを私達に聞かせてくれないかしら?」
「とってもワクワクしてます」と顔に書いてあるマリエ夫人。
なぜか片手にワイングラスを持っている。
その隣にギルバート侯爵。
あなたもなぜ付き合ってワインとワイングラスを持っているの?
宰相様に至ってはもう飲んでいる。
「一仕事終わりました」って呟いている。
なんかひどくない。
私だってお酒飲みたい。
なのにこの5歳のおこちゃまボディー。
大人の思考が、お酒ダメ絶対と言って邪魔をする!!
ちくしょう~……… ( ノД`)シクシク
「それでは私の考えたストーリーを話します。」
”””””パチパチパチパチ””””””
なんだかよい子のお披露目会みたいになってないか?
憮然とした顔になるのはご愛敬ですわ。
ホントイライラすると出て来るのですわね。
「まず気になった事から、ハルアナ王女が亡くなった記述ですわ。乙女ゲームで流れたプロットでは、宰相・大臣ら貴族が、流行り病で亡くなり国力が落ちた。ハルアナ王女もその時に亡くなり、それに激高した隣国が進軍を始める。騎士団長や有力な騎士達は、相手方の戦力に苦戦を強いられ大けがをする。しかし並行して行われた交渉により休戦となる。つまりハルアナ王女は流行り病で亡くなるんですわ。だからさっきのテロで考えてみたらいろいろとスッキリまとまるんです。」
私がそう話すとマリエ夫人と宰相様が楽しそうに笑った。
「リディアーヌはなかなかでしょ♪」
「ええ、そうですね。それに私どもの考えも捨てたものではなかった様だ。」
「それじゃあリディアーヌ嬢。考えたストーリーを話してくれ」
やさしげに頑張れと言葉を添えて言うギルバート侯爵。
ユリウス殿下とマーベルはとても楽し気に笑っていた。
まずはハルアナ王女が会議のある部屋に行き参加する。多分身に着けるタイプの魔道具で、毒みたいな物を散布したのではないか?
「マリエ夫人が会議室の警備について文句を言われ、やり方を変えました。」
「そうそう、こんなに有力な大臣らが集まる部屋に簡単に入れるなら、いつでも皆殺しできますわねって言ったのよね。高位なら誰でも入れたし、検査もしない。」
「ええ、こんなに簡単に毒でも刃物でも持ち込めると、見せられながら言われました。それ以来入室前に検査するようにしました。魔道具や毒など害悪あるモノは引っかかります。そして入室にも、リストに記載ない者は入室できません。徹底的に制限いたしました。」
なるほど……現代では当たり前の常識を持ち込んだ訳だ。
「ほらね。こうやって曖昧だったり隙をついて来てたのよ。」
「ホントですね。マリエ夫人には感謝です。」
二人はニコニコと上機嫌だ。
ユリウス殿下はそんな二人をじっと見つめて考え込んでいる。
マーベルも何かを見定めるように静かにお茶の水面を見つめている。
「しかしそうなるとハルアナ王女が亡くなったのは、その魔道具を使ってという事になるな。ハルアナ王女以外で誰か亡くなったか?」
ギルバート侯爵は疑問に思った事を言う。
それにユリウス殿下は答える。
「確かいつも護衛についている騎士が亡くなったはずだ。それにリディアーヌ達には話したが、あの当時乳母と二人で楽しそうに髪をいじりながら、もうすぐ世界の頂点になるわねって言っていたんだ。俺はそれを妄想と片付けていたが………なるほど、だから俺は堕落者と言われた訳か」
妄想………そんな計画を知らなければ確かにその通りだ。
理想に取りつかれた妄想国=隣国ボクワイ
思いついて考えた瞬間うげぇとなった。
何て気持ちの悪い国なんだ。
私が青ざめていると、マーベルがどうしたと聞いて来た。
だから思いついた言葉を教えたら、思いっきり嫌悪した。
そんな私達を不思議に見るユリウス殿下。
だから教えて、堕落して良かったねと言った。
すると困った顔で笑った。
それ以来私達の間では
理想に取りつかれた妄想国ボクワイが常套句になった。
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いろいろ話していると、気になる事は沢山出て来る。
ハルアナ王女が亡くなった時、ボクワイはどうだったのか?
それに関して宰相様が教えてくれた。
「あの当時病気を放置したと難癖をつけて来たので、ボクワイ特有の毒で亡くなられたと伝えたんです。ついでにそちらから付き従った護衛騎士と同時に亡くなったと。逆にどういう事かと説明を求めたんです。」
つまり無理心中とその当時は思っていたという事だ。
「余りに不名誉なので病気という事にしたが、真実を公表してもいいかと脅したんですよ。」
「俺は乳母が仕方なくハルアナに話を合わせて、付き従っているだけと思っていた」
「見た目儚い感じで、いつも困った顔をされていましたからね。」
つまりは最近までただの気弱なおばあちゃんと思っていたって事なんだ。
「ホント、リディアーヌが思い出さなっかたら危なかったかも」
「ユリウス殿下の乳母に対する処罰も、今だ文句を言っています。」
「命は取ってない。隣国への処払いだ」
でもなんか決定打に弱いんだよなぁ。
時期宰相になるドラノエ侯爵は、まだのうのうと王城を闊歩している。
乳母もなんだかんだとまだ国留まっている。
それに処罰に文句を言っているという貴族は、ボクワイと繋がりのある貴族という事だろう。
なるほど……
不明確なのはホントに不便だ。
幸いユリウス殿下は悪役にピッタリだ。
それならエサになってもらい釣りをして貰おうではないか。
ユリウス殿下も大好きなはずだ。
私はニンマリと笑った。
道筋はある程度見える。
後はキャストが誰かを知る必要がある。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)