ポンデリングのI love you
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
とりあえず情報収集を始める。
どこまで変わっているのか、わからないからだ。
ストーリーそのものはよく覚えてないが、なんとなくな記憶にあるモノと現在を照らし合わせていく。
そして、マーベルとの婚約を完全に成立させなくてはならない。
「逆ハーレムなんて、ぶっ潰して差し上げますわ。現実でなんて見たくもありませんわ。吐きますわ。ええ間違いなく。」
ユリウスが入っているならほっとく。
マーベルさえ確保すればいい。
ヤツが消えれば、チヨちゃんが助かるからだ。
だが肝心のユリウスはその枠に入っていない。
ヤツはどこまでいっても二人だけの世界枠だから、逆ハーレム要員にはなりえない。
全く皆仲よくじゃなかったのかしら。
ユリウスまで攻略してくれたらよかったのに!!
とにかく…… 比較して行くと違いがよく判る。
ユリウス:王妃と仲が悪いはずがチヨちゃんを挟んで仲良し。王位継承権を放棄したがっている。
脳筋ガーランド:本好き。おかげで物事をよく観察している。猪突猛進ではない。
腰巾着ヨシュア:高飛車じゃない。めちゃくちゃ苦労性。逆に今が不憫。
少しは高飛車要素を入れてた方がいい。
見ているだけでなんというかダメですわ。あれはない。
あのままだと、途中で自殺してしまいそう。
どうにかしなくてはなりませんわ。
ある意味前途多難だった………
よし!!手始めにマリエ夫人とコンタクトをとらなくては。
でも、挙動不審な行動をしているのに誰も部屋に来ない。
どういう事だろうか?普通ならメイドの一人でも部屋に控えているはずないのに
私の部屋に呼び鈴がないのだ。
「困りましたわ。一人で服が着れませんわ。」
この世界の服はすこぶる着るのが面倒くさいのだ。
ついでにリディアーヌの服は豪華で華やかで。
レースからなんからてんこ盛り。
「なんでこんな服というかドレスですわね。毎日毎日来ていたのかしら。クソめんどくさいですわ」
ネグリジェ姿で仁王立ちのまま考える。
腕を突っ込むまでもなく、気軽に着れない。
手を突っ込むだけで、シワになりそう。
そう考えると、ユリウスはちゃんとチヨちゃんの事を考えている。
いつも着ている服は機能的で可愛い。
生地は柔らかな肌に優しい素材で素朴だし、リボンやレースを使って可愛くしてある。
髪飾りは可愛くオシャレで大きめな物を使ってバランスを取っている。
「…………ユリウスも変わった可能性がありますわね」
当たり前だが、そのことに今気がついた。
「でも、でも現状はおかしいですわよ。そりゃあ二人だけの世界ヤローが、私の突撃を許しているけれど………」
だから母親のマリエ夫人に合う必要があるのだ。
それに、話の途中でぶっ倒れた。
体調面が心配で、やっぱりなしになったら最悪だ。
「今まで考えた計画が、水の泡となってしまいますわ」
でもその前に両親に合って、あの後どうなったのか確認しなければならない。
ハァ~…ドアを見て今だ誰も来ない現実。
カーテンを開けると、もう日は天に昇っている。
普通ならとっくに起こしに来ていてもおかしくないのだけど。
”いったいどういう事かしら??”
誰も来ない現実に、イライラしながら部屋の中を意味もなくウロウロとしているリディアーヌであった。
******************
結局その四半時にメイドが来た。
何でも医師からゆっくり休ませるようにと指示があったそうだ。
それならそれで仕方がないわ。
着替える旨を伝えながら、もう少し簡素な物はないかたずねる。
「ねぇ、もう少しゆったりと楽にできる物ないかしら?ちゃんとしたドレスって疲れ易いのよ。だからない?簡単に着衣がし易いものでいいの」
と希望を添えながら聞いてみる。
メイドたちは困った顔をし、考えている様だ。
「お嬢様、ゆったりと楽な物お求めなのはわかりますわ」
「今リストアップしましたが、シンプルなデザインの物がございませんわ。お時間を頂いても?室内着としてなら、何とかできるかもしれません。」
そう言って二人は出て行った。
「それじゃ、もう少し考えを煮詰めなくちゃいけないわ。それから攻略者リストとそれに付随して起こるイベントの記憶を幾つか書き出して。やる事沢山あるわ」
ムンと握りこぶしを握り気合を入れた。
現状どう考えてもできる事は限られている。
だって私はまだ5歳、おこちゃまだ。
でも今の時点でできる事はあるはず!
実際幾つかのフラグは潰されている。
「何気にいろんな出来事は、チヨちゃんの領地から普及して広がっていたのね。」
イベントを紐解いていくと、ほぼ全てがチヨちゃんの領地へと繋がっている。
病気の蔓延もその領地で起こらなかったから、有力な大臣たちは健在だ。
特に宰相が今だ在籍しているというのは大きい。
だって次の宰相がヤバいヤツだった。
とにかく
・隣国の動向
・子供の大量誘拐
・ドラゴン襲来
・スタンピード
学園に入るまでに起こる出来事だった。
こうやって見るとなかなかハードモードだ。
乙女ゲームって国の内情がボロボロな時に起こるモノなのかもしれない。
どこかでストレスを発散させ、そして新しい風を呼ぶようなそんな出来事………
国としてもそう動かざる得ない状況が覗かせる。
「でもそれはあくまで他人事だったらいいのですわ。」
人身御供にはなりたくないのだ。冗談じゃない
幸い現在そんな状況ではない。
マリエ夫人さまさまなのだ。
しかし大きな出来事を私如きで対応できるかしら?
そう実際マリエ夫人も自分の身内を中心にやっている。
「とにかく…相談すればいいのですわ。全てはそれからです」
******************
あれから一か月経った。
今日はマリエ夫人とマーベル様に逢う日である。
ドキドキする気持ちを胸に走り回りたいほどだ。
話をどう持って行けばいいのか何度も何度も検討し、どう進めて行けばいいのか考えに考えた。
余計な事を言って嫌われたくはない。
それにマーベルさまは、チヨちゃんを挟んで何度かあったが、プライベートでは初めてなのだ。
いろんな意味で緊張する。
「リディアーヌ様体調はよろしいの?」
マリエ夫人とマーベル様が来られ普通にスタートした。
でも話をどう持っていこうかと緊張して、喉はカラッカラだ。
「先日は大変ご迷惑をおかけいたしました」
とにかく…… 謝ってマーベル様を見る。
うん、改めて見ると友人が好きだった幼少の頃の姿だわ。
なんとなく婚約する事が前世の友人に申し訳なく思う私。
「いいのよ。それより何か相談があるとお手紙に書いてあったけれど?」
ハァ~……失礼だけど深呼吸して気持ちを整えた。
「実はあの後いろいろと考えたんですわ。」
私はジッとマリエ夫人を見る。
そしてマーベル様を見る。
マーベル様は楽し気に目を細めて私を見ている。
今見る限りでは”俺は孤独に愛されているんだぜ”じゃないわね。
意味わからないけど………
「リディアーヌ様、それはマーベルとの婚約について考えたという事かしら?」
扇を口元へ持って行きニッコリと笑われた。
目元は笑ってないけれど………
今回両親には自分一人で逢いたいと我儘を言った。
どうにか勝ちとったが話が長引けば両親が来る。
手早く行くのよ。頑張れリディアーヌ!
自分に気合を入れて
「マリエ夫人、実は相談が長引くと思い、一応喜左衛門を用意いたしましたわ。」
このきっかけでどうだろうか?
私はマリエ夫人とマーベル様の様子を見る。
お二方とても楽し気に、ニンマリと笑っているけどどうなんだろう。(涙)
「フフフ……影というわけじゃないのよね?」
私はうんうんと頷いて涙目だ。
私今5歳児ですからね。お願いしますわ。
「へぇー、という事はリディアーヌ嬢は転生者ってこと?」
とても楽し気にねちっこく私を見ている。
おかしいな?マーベルってそんなキャラだっけ??
「つまり相談と言うのは、その辺の事なのね?」
頭からパクッと食べられそうです。
マリエ夫人、5歳児にそんな挑発的な目は辛いのですわ。
とにかく準備した記憶を記した紙をマリエ夫人に渡した。
その紙には用心の為日本語で記してある。
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百貨店には特有の隠語があって、遠方=トイレ・喜左衛門=食事がある。
それはお店によって違うが、たまたま私は友人から聞いて知っていた。
友人のお姉さんが百貨店勤務だったからだ。
読み終わった後、マリエ夫人は呆然としていた。
つまりマリエ夫人もこの乙ゲーをあまり知らないという事だ。
「じゃあ何!逆ハーしたら息子が餌食になるって事?!!」
やっぱりそうなるよね。母親としては断固阻止したい。
「ブハッ……ゲームの俺とんだ変態ヤローじゃねーかw」
腹抱えて笑っているけど、アナタの事ですからね。
マリエ夫人も睨んでいる。
「それにユリウス君もだったなんて?!監禁ヤンデレ!!」
口元に手を当てて顔を青ざめています。
それを聞いてさらに腹を抱えて大爆笑のマーベル。
他人事だと思っているけど、違うでしょ。
「だから相談したかったのですわ。あと何故チヨちゃんは、ユリウス殿下とあの状態ですの?あれホントに大丈夫ですの?洗脳とかございませんわよね?私アレって思ったから聞くのですわ。いろいろ可笑しいですわ。どうですの?」
もう疑問に思った事をドバーと聞いた。
もう吐き出したくて、吐き出したくて、たまらなかったのだ。
マリエ夫人に身を乗り出し聞く私。
目を大きく開けて微動だにしないマリエ夫人どういうことですの?
マーベル様も笑うのを止めて真剣に考え始めている。
それを見てヒヤリッとする私。
やっぱりアイツ監禁病んるヤローじゃね?あの11歳で………
私は心底ドン引きした。
「そうね。まず何故チヨちゃんがお城にいるかって言うと、いろんな理由があるけど、最大の理由が誘拐を何度もされかけたの」
沈痛な面持ちで言うマリエ夫人。
警備は万全にしているけれどなかなか難しいらしい。
というのも………
「特に領地に接する隣国からがヒドイのよ。どうも高位の者が狙っているみたいで巧妙なのよ」
今のところ何とかギリギリで事なきを得たが、なかなか証拠が見つからない。
私はそれを聞いてハッとした。
そう……隣国誘拐事件。
「だから城でかくまって貰う事になったんだ。ついでにユリウスのチヨへの溺愛は半端ないからな。だがこうなると、どうなんだろうな?こりゃお手上げじゃね?」
マーベル様も困ったように苦笑している。
そうなると、少しずつ状況整理して、チヨちゃんにいい様にしてあげなきゃ。
私は黙々とマリエ夫人に話を聞きながら、私の記憶を掘り下げて掘り下げて状況整理する事だった。
マーベル様が私達が話している事を紙に書き記す。
すると見えてくるのは………
「なぁ、ホントだったら、何年か前に隣国との小競り合いが起こったんだな。」
「ええそうです。流行り病で国力が落ちている所に進軍して来るのです。その時騎士団長は大けがをするんです。ガーランドが脳筋になるのも隣国へ報復したいからです。」
「誘拐事件は……」
「うちの国民がよそに比べると魔力があるそうなんです。子供の内に誘拐し奴隷とする目的だったそうです。」
「それを次に宰相になる予定のヤツが支援していた。そして資金を得る。」
「そうです。実際は魔力なんて変わらなかった。単なる人身売買だったんです。」
「チヨちゃんを狙うのはその関係者な訳ね」
「多分。その中にキモいロリロリがいる!って言ってましたから………」
「しかし役に立つな俺を好きっていう奴。今ならキスくらい贈ってやってもいいな(笑)」
「それを聞いたら喜んで来そうですね。ポンデリングは………」
「あぁポンデリングだったら、抱き着いて離れなくなるわね…… ?!」
「ポンデリング?」
マーベル様は首を傾げて何だ?って風だが。
私達はそれどころではない。
互いに目を丸くし、指を差し、頭のまわりをもしゃもしゃの仕草をしたり、メガネマークをしたり………
どうやら互いにポンデリング関係者の様だった。
私達は悲痛な面持ちでマーベル様に現実を伝えた。
「マーベル哀しいお知らせ。もしかしたら逆ハーレムで来るかもよ。ヒロインさん」
泣き笑いのような顔をするマリエ夫人。
「マーベル様短いお付き合いでしたわ。幸せになってくださいね。ヒロインさんと」
私は生暖かい目で送り出した。
青ざめた顔で「どういうことだよ!!」っと叫ぶマーベル様。
嫌だって、ポンデリングの関係者が二人も揃うって変じゃない。
妹=ポンデリング=友人
という事は
ポンデリングがヒロイン?!
と思う訳で………
マリエ夫人と私は、マーベル様の未来にエールを送った。
「全然嬉しくねぇから、マジで防いでくれよ?!なぁホントにお願いだから!!!」
マーベル様は涙目で私達二人に必死に訴えた。
でも…… ポンデリングだったら私達じゃちょっと無理かも………
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)