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転生を望んだら戦国時代の遠野に来ました  作者: 海胆の人
転生~文亀元年(1501年)
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第八話 資金計画始動?


「若様、紙をお作りになるので?」


「紙漉きできそうなものが手に入ったからな」


「この痩せた者は本当にできましょうか?」


「とりあえず飯でも食わせてから考えよう。ところで清之よ水車を作れるものはおらぬか?」


「この遠野には居りませぬな」


「いずれ水車を作れるものも欲しいな」


「水車で何をなさるのですか?」


「何でも使えるぞ? 例えば米を突くとか粉を挽くとか、板を作るとか、鉄を作るのにも使えるものだ」


「一体どこでそのようなことをお知りになったのでございますか?」


「ああ。時々神様が夢枕に立って教えてくれるのだ。それと水車は水さえ確保できれば人がするより何倍も効率よく作業ができる。人の少ないこの地ではなるべく一つの作業時間を減らさねば為らんからな」


 清之はもう声も出ない。そう、人が足りんのだ。しかし飯も足りないので余り人を増やすわけにはいかないということで、作業の効率化が必要だ。足りぬ足りぬは工夫が足りぬとか言った人が居るらしいが、先立つものがないとできる工夫も無いんだよなぁ。


 とりあえず今は紙だ。紙が販売できるようになればかなり外貨を得られる。得られた資本を再投資し資本の拡大再生産を図る。経済の基本だね。


「紙漉き、そなたは何という名だ?」


「お、おらは箕介と申します」


「そうか箕介か。本当に紙すきはできるのか?」


「へぇ、駿河で紙漉きをしておりましたが、大きな地揺れとその後の大波で家族が流されちまいました。その後方々で下働きしていたところ、戦に巻き込まれまして」


「そうか……無念だったな。ここ遠野で紙を作ってくれぬか。働きに応じて必ず禄を出す」


「まだ一人前とは言われておりませなんだが、助けて頂いたご恩に報えるよう、精一杯やって見せます」


「期待しておる。ところでトロロアオイも導入したいのだが、通和散という薬にもなるとか書物には書かれていたが真か?して通和散とはどういう薬なのか?」


「若様にはまだ早うございます。」


 清之が微妙な表情で応える。箕介も微妙な表情だ。なんだと言うのだろう?

 その後も繰り返し聞いてみたが一向に応えてもらえなかった。父上や母上にも聞いてみたが父上は清之のように微妙な顔、母上は顔を赤くするばかりでやはり答えてもらえなかった。



注:ちなみに通和散はトロロアオイから作られ、水に溶かすと粘性を持つ、いわゆるローションです。本当は製紙が盛んになった江戸時代に和紙づくりにおいて繊維を均一化させるために作られたものです。その粘性からローションとして使われるようになったものです。ネタ的に面白いので戦国時代に出してみました。ちなみにローションは鎌倉時代にかかれた「稚児草紙」では僧院において丁字油(グローブ油)が使用されていたと書かれています。僧院がどう使ったかにつきましてはご想像にお任せいたします。

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