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転生を望んだら戦国時代の遠野に来ました  作者: 海胆の人
転生~文亀元年(1501年)
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第七話 人を買う


横田城 阿曽沼孫四郎


「孫四郎や、今日は市にいくのかしら?」


「はい、母上。清之に連れて行ってもらう予定です」


「清之がおるならまあ大丈夫だろう。が、勝手に動くでないぞ」


「はっ。父上。承知しております」


 清之が迎えに来ると、父上は四十文ほどの銭を駄賃としてくれた。好きなものを買って良いと。何がどれくらいの値段なのかわからないけど、ありがたい。


「若様、参りましょうか」


「うむ、よろしく頼む」


 市に着く。普段とは違う横田の城下の活気に当てられる。たしかに祭りのようだな。


「若様、なにか買いたいものは有りますかな?」


「んーとりあえず、一通り見てから考えたいな」


「ではそうしましょう」


 清之はそう言うと俺を肩に担ぐ。おお、視界が一気に高くなって見渡しやすい。


 みれば米粟稗などの雑穀に、馬、胴巻き、弓、刺刀さすがなどが売られている。牛馬も売られていたがだめだ、小さいもので一貫文なので手が出ない。奥の方では人だかりがあり、そちらに行って貰う。


「爺、ここは何を売っておるのだ?」


「人ですな。先年駿河のあたりで大きな地揺れがあり、逃れてきた者や食い詰めた者たちを売っておるようです」


 人買いか。戦国時代では一般的だったとはいえ実際に見ると気分の良いものではないな。


「爺、全員は買えぬだろうが少しあの者たちと話をしてもよいか?」


「あまり入れ込まないようお気をつけくだされ」


「……わかった。」


 ここまで連れてこられたのは成人男性が五人、成人女性が三人、子供が十人だ。みな売れ残りらしい。明応地震とその後の大波で家族をなくし、食い詰めたようだ。

 このうち特に痩せた男(他も皆痩せこけていたが)は紙漉きをしていたと言うので買受たい。他の者たちは特に技能を持ってい無いので買えない。縋るような視線を受けるが、無い袖は振れぬ。


「俺は阿曽沼左馬頭が嫡男である孫四郎という。店主よそなたの名は?」


「これはこれは若様でしたか。私めは葛屋をやっております留五郎と申します。何卒よしなにお願い申し上げまする。」


「そこの八助というものを買いたい。この者はいくらか?」


「へ?この者は特に痩せこけておりまして、まともに働けませんので四〇文ですが……。もっと他の……そうですな、この娘など如何ですか?一〇〇文と少し高いですが、もう何年かすればちょうどよくなりますよ。」


 下卑た顔で勧めてくるが、まだ性に目覚めてないからスルーだ。そもそも手持ちが足りない。


「いや、この男で良い。俺が貰ってきた駄賃では買えぬ」


「左様でございますか」


 微妙な作り笑いを貼り付けて痩せ男を渡してくる。一文いくらかわからないが、牛馬より安い。おそらくは投げ売りなのだろうが、乱妨取りでの奴隷売買はこれくらいが相場のようだ。


「ところで葛屋よ、楮や明の高黍、里の芋に南蛮人がもっているというポタテという芋、それに牛に外つ国の馬や羊は手に入るか?」


「ほほほこれは随分色々と注文がお有りですな。楮と里の芋でしたら用立てられます。牛や外つ国の馬羊や明の作物はお時間を頂戴しとうございます。ぽたてという芋はわかりませぬが、明人や南蛮人にもあたってみましょう」


「急ぎはしないが、明の桑の苗木もできれば欲しい」


「……絹ですか。」


「うむ。この地は米があまり獲れぬでな。ほかの物で稼いで米を買うしか無いのだ」


「……なるほど。幼いなりながら流石でございますね」


「世辞を言っても何も出ぬぞ」


「いえいえ世辞ではございません。なんとか手に入れてごらんに入れましょう」


 商人は利の匂いに聡い。話が終わるやここでの仕事は終わったとばかりに売れ残りの奴隷を追い立て、遠野を出て行く。


 いずれ人身売買は禁止にしたいものだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今のところ最大のチートはこの土地に蛇の道は蛇と言っても海外に伝手を持てる商人が(おそらく行商人より少しマシなレベル)ここまで陸奥の奥の方まで来ていることかも。 隣国扱いになる関東の諸国あたり…
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