表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生を望んだら戦国時代の遠野に来ました  作者: 海胆の人
転生~文亀元年(1501年)
25/189

第廿五話 今後のために戸籍を作ろうと思います

横田城


「なるほど。それでは来年の秋頃には大槌が攻めてくるかもしれんと言うことだな」


「はっ」


「殿、どう手立てを講じましょうか。迎え撃ちますか?」


 わいわいとあれやこれや意見が飛び交う。ただどれも決め手に欠けるものばかりであった。


「やはり大槌城を落とすのが難解だな」


「治部少輔(鱒沢守綱)、なにか案は無いか?」


「むー。思いつかんなぁ。神童殿なら妙案あるのではないか?」


「おお、そうじゃ。神童殿の意見を聞いてみたい。」


 評定の間の視線が俺に集中する。


「まず攻めてくるのがわかっているのなら準備を入念に、実際に攻めて来たならば負けたと見せかけて深入りさせ、油断したところを襲うのです」


「なるほど。大槌めは差し詰め先ほどの熊と言うことですな」


「そう、で大槌が深入りしたところで包囲するのです。」


「さすればもぬけの殻になった城などどれ程堅固でも大した脅威では無いでしょう。」


 評定の間が色めきだつ。ここでもう少し提案をしてみよう。


「もう一つ提案があります。」


「なんだ?」


「村ごとに適齢期の男子を幾人か槍働きできるものの名簿をつくっていただきたいのです」


 せっかくだからプロイセンのカントン制を参考に選抜徴兵制の仕組みを今のうちに構築してしまおう。私兵なんて持っているから戦国の世が終わらんのだ。兵を持つのは国家のみでよい。反発するならしていいが、気がついたときには国人領主の力は大きくそがれているだろう。


「なるほど百姓の長男や職人や商人、坊主、神主あるいは二貫文払えば戦に行くことを拒否できると言うことか」


「はい。逃げた場合はその出身地から新たに足軽を採るのです。こうすることで足軽の逃亡を抑制することができ、軍全体の士気が高まります」


「なるほど、神童殿の言うことは一理ある。しかしあまり兵に取り立てては野良仕事が進ま無くなってしまうぞ」


「鱒沢の叔父上の疑問、ごもっともです。ですので簡単な調練を行って一通り形になれば、夫役を解除し年に数回、一度に十日間程度の調練に参集させることで最低限の槍働きができるよう維持するのです。もちろんその間の食い扶持は我々が出すことになります」


「面白いことを考えつくのう、しかし兵糧の蓄えは俺等とて余裕のあるものではない。今は無理だ」


 鱒沢治部少輔守綱が唸りながらも、冷静に現在の状況からダメだしをする。常備兵の設立は遠いな。


「しかしいまから支度を始めるのは良いだろう。まずは各村ごとの帳簿が必要だな。文字を書ける者をまず集めねばならん」


「夫役で集めた者に読み書きをたたき込めばそのものがまた帳簿を作れるようになるでしょう。また、文字が書ける者が増えれば各人の知恵を集めることも容易くなるでしょう」


「ふむ……。気の長い話だが、貧しい遠野が生き残るには必要か。南右近よ、そなた治部少輔に付いて戸籍をまとめよ。時間はかかって良い」


「はは。畏まってござる。」


 庚午年籍を参考に各戸毎の戸籍を作成していく事となったが、完成には時間が必要だし今回の侵攻には間に合わないので焦らず下地を作っていくこととする。


 他に戦に向けて備蓄と訓練、敵方の想定侵攻路と敵兵数、迎え撃つ際の陣形に追撃戦時の対応などを検討していく事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ