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目の前にあるのに1番遠い  作者: 小花美咲
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新学期での出来事

僕は目を瞑った。

目を瞑ると言っても物理的な方ではない。

自分の弱さ、愚かさから目を背けているのだ。


僕の家は裕福な家庭だと思う。

サッカーに熱心な父と優しく支えてくれる母。自分は幸せ者だと、何度も思わせてくれた。しかし、僕にはなんの力もなかった。努力が報われたことはなく、他人を笑顔にする力もない。他人からの心無い言葉も言い返すことは出来ない。「嫌われるのが怖いから」


新学期、僕は中学3年生になった。いつもと変わらない様子で新しい教室へ向かう。そこには見慣れた古い机に椅子、そしてよくつるんでいる仲間や全くと言っていいほど関わりのない人がいた。僕は今年こそ変わりたいという一心で学級委員に立候補した。と言いたいところだったが、実際は他クラスの友達がやるからだ。正直乗り気じゃない。皆の前に立ち、話すことは何よりも苦手だ。そんな緊張している僕を見て学級委員の相方である村松千尋が話しかけてきた。

「そんな緊張して、どうしたの?(笑)」

「人前で話すのが苦手なんだ」

「じゃあなんで学級委員なんて入ったの?」

「そ、それは友達がいるから」

「ふ〜ん」

彼女は学年1の美少女と言われるほどの可愛らしい女性だ。スポーツ万能で勉強もでき、他人への気配りができる。人間としてこの上ない人だ。そんな彼女を僕は尊敬している。自分にないものを持っている人間には惹かれるものだ。という言葉を聞いたことがある。

頭の弱い僕にはその詳細は覚えていない。

「とりあえず今日クラスの目標決めるから放課後残ってね」

「は?」

耳を疑った。学校初日に居残りなど聞いたことがない。彼女の無茶ぶりに僕は正直焦った。

「は?って何よ1年なんてあっという間なんだよ!目標を早く決めて1年をより良くする。大事なことじゃない?」

異論はない。そもそも彼女の方が自分よりも何枚も上手だ敵うわけがないのだ。

「分かった」

自分の返答に彼女はにっこり笑って言った。

「じゃあ1年間よろしくね!」

彼女の笑顔は僕にとってとても魅力的だ。一撃で虜になってしまいそうなくらいに。


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