同僚
長谷は課長室を退室し、省内にある部署へと向かった
指定された部屋のドアの横には防疫課特別対策室という看板がかかっていた
(ここか、この防疫課も偽装って事か)
長谷は扉を開け中に入る
「失礼します」
中に入るとデスクワークなど仕事をしていた、特別捜査課のメンバーであろう人たちが一斉に長谷の方へ視線を向ける、その中の一人の中年の男が長谷の元へ近寄る
「あんたが今日から特別捜査課に出向になった、確かー」
名前が出そうになかったので長谷は自ら名乗った
「長谷幸吉巡査です」
「そうそう長谷巡査、俺は山村だよろしく」
山村は手を差し出す
「こちらこそ宜しく」
と、長谷も手を出し握手した、他の四人はその場で自己紹介する、山村の次に眼鏡をかけた見るからに自分より若そうな小柄な男が挨拶する
「芝田です、まあせいぜい頑張って下さい」
長谷の芝田に対する第一印象は感じ悪い奴であった、山村がフォローを入れる
「まあ彼は、普段はあんなだけど仕事は出来る奴だから」
次は当時、官職には珍しい女性が挨拶する
「私は神田です、よろしくお願いします」
(へぇー、ここでは女も働いてるんだ)
長谷には物珍しそうに見ていると、次の人物が挨拶を始める
「どうも私は畠山と言います、これからよろしくお願いします」
畠山は前の三人とは違い律儀にお辞儀までした
「自分は上川です、よろしくお願いします」
長谷と同い年同じくらいの優男が挨拶し全員の挨拶が終わると各自自らの仕事に戻っていく
「長谷さんの机はあちらです」
神田が案内され、長谷は自分の席についた
(こいつらが影の秘密警察の人員か)
その日は特に何事も無く終わった
翌日 朝
「功名何ぞ夢のあと 消えざるものはただ誠 人生意気に感じ、」
長谷は歌を口ずさみながら廊下を歩いていると芝田が向こうから歩いて来た
「おはよう」
「おはよう御座います」
二人はすれ違い様に挨拶をする、すると芝田は立ち止まり
「あ、そうそう長谷巡査、この後9時から課長室に僕と長谷巡査と神田さんは集合掛かってるんで遅れないで下さいよ」
「ああ、分かったありがとう」
長谷はそのまま対策室へと出勤した
そして9時になり長谷達は課長室に呼び出された