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狐火鉢  作者: 柊 椿
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異次元(2)

コトコトコトコト、鍋の蓋が音を鳴らす。

「いい匂い。今日はお鍋?」

寝ていた沙玖耶さんが起きてきたようだ。


「珍しいですね。沙玖耶さんが1人で起きられるなんて。」


「さすがに昼寝くらいなら1人で起きれるわよ。朝は無理だけど。

波瑠君は働き者で助かるわ。」


「まぁ居候の身ですからこれくらいはしますよ。」

俺はこのボロ寺に居候させて貰っている身だ。師弟関係があるならば師匠は沙玖耶さんで俺は弟子のようなものだ。


「ちょうど出来上がりましたよ。晩御飯にしましょうか。」


「いただきます。」

2人で合掌をする。傍から見れば夫婦にも見えるだろうがただの同居人だ。


「昼間の依頼の目星は付いているんですか?」


「波瑠君も見ただろう?あの夫婦には怪異的なものは付いていなかったが、怪異の痕跡のようなものは見えた。最近怪異と接触した証拠の様なものだ。まぁ本人達は気付いていないだろうし、あの人達に直接関係するものでは無いだろうが、あの人達が怪異に接触するとしたら息子さんの部屋だろうね。」


正直に言おう。俺は怪異は見えるが、怪異の痕跡までは見えない。しかしこの人が見えているなら確かなのだろう。


「そうですね。こ、痕跡ありましたね。」


「なんの怪異までかは分からないけど、何かしらの怪異事件であるのは確かさ。」


「どうするんですか?」


「そうだねぇ。時貞さんに一緒に来てもらおうかしら。」


時貞さんとは妖怪の一人だ

次元を自由に行き来できる妖怪、沙玖耶さんが妖怪の住む次元からこの人間が住む次元へ連れて来た妖怪だという。俺も一度会った事があるが見た目はただの細めのおじさんだ。

妖怪は人間界で生きていく者は人に化けるらしい、沙玖耶さんの妖怪の姿を見た事はないがどのような姿なのだろう、「狐の化け物だよ」っと昔言っていたがその姿を見せてくれた事はない。


「明日姉さんの所に行くから一緒に行くかい?」


「???」


姉さん?初耳だ。かれこれ2年ほど一緒にいるが姉がいるとは知らなかった。

「お姉さんがいるんですか?」


「いるよ。父違いの姉だけどね。だからあっちは半妖ではなく完全な妖怪だよ。

もう10年近く会ってないけど、妖怪や神様相手に喫茶店してるようだよ。

あの人も人間界が気に入っているようだけど、私のようにこっちの世界に依存はしていないようだけどね。」


沙玖耶さんの話はあまりよくわからなかったがとりあえず姉がいて、明日会うという事は理解できた。


「一緒に行きます。」

当然俺は一緒に行くと答えた。沙玖耶さんはにっこり微笑んだ。


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