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プロローグ

2018/11/23 第1章を改稿しました。


新作はじめます。

本作は獣人などの先住民をインディアンに見立て、その悲劇を回避するために主人公が奮闘、成長していく物語になる予定です。

応援いただけるのであれば、ブクマなどしてもらえると幸いです。

よろしくお願いします。

 この世界ではない別の世界に、地球とよく似た星があった。

 そこには精霊や魔法といった概念があり、地球とは異なる文明が形成されていた。

 中でもヨーロッパに似たミッドランド大陸には、多くの人族が住み、複数の国家を形成している。


 彼らは厳しい自然と闘いながらも、技術を発展させ、人口を増やしていた。

 当然ながら、戦争も絶えない。

 彼らは寸土を奪うために血を流し、戦争の技術を磨き続けていたのだ。


 そんな状況で、とある国が精霊を武器にする方法を編み出した。

 彼らは魔道具に地水火風の精霊を封じ込め、その力を活用できるようにしたのだ。

 例えば火精霊を封じた武器は、火炎放射器のように炎を吐き、風精霊を封じれば鉛玉を撃ち出す鉄砲となる。

 また土精霊を利用した道具は穴掘りや建築を容易にし、水精霊のおかげで飲料水が入手しやすくなった。


 この画期的な魔道具、”精霊器”は秘密裏に開発されたが、一度世に知られれば、それが広まるのにさして時間は掛からない。

 その製法は、それを生み出した国の情報統制のまずさも加わって、あっという間にミッドランド大陸中へ広まっていった。

 そしてより巧みにそれを使いこなした国こそが、大陸で主導権を握るようになる。


 しかし精霊器にも、問題はあった。

 その元となる精霊が少ないため、数が揃わないのだ。

 そのため強国の威勢も、それほど圧倒的ではない。


 やがて人族は造船技術と航海技術を発展させ、その活動範囲を広めていった。

 そしてある者たちは、西を目指した。

 まだ見ぬ新大陸を求めて。


 そしてとうとう彼らは、西の新大陸を発見したのだ。

 そこには、彼らが亜人と蔑む先住民が住んでいた。

 亜人は言葉こそ通じるものの、人族とは異なった特徴を持っている。


 最も多いのは狼や山猫のような獣の特徴を持つ、獣人種だ。

 彼らはその優れた身体能力によって、大陸の過半を制していた。

 その他にも、エルフやドワーフ、ハーフリングと呼ばれる妖精種もいた。

 彼らは妖精をその祖先とし、それぞれに特異な技を振るうという。


 しかしそれ以上に注目を集めたのは、彼らの魔法であった。

 人族には魔道具の力を借りなければ絶対に使えないような技を、彼らはいとも簡単に使うのだ。

 特にエルフは幅広い属性で魔法を使いこなすというし、ドワーフは土系統、獣人は水や風系統を得意としていた。


 そしてそれを支えるのが、新大陸のそこかしこにあふれる精霊である。

 そこには地、水、火、風、光、闇などの精霊が、それこそ数えきれないほどの存在したのだ。

 その存在こそが魔法の源泉であるこの地では、人々は精霊に敬意を持って接していた。


 しかし人族にとっては、それは違う。

 精霊はただの資源であり、自身の欲望を満たすための道具に過ぎない。

 そんな、ミッドランド大陸ではほぼ狩り尽くされた精霊が、ほぼ無尽蔵にいるのだ。


 それを知った人族は狂喜した。

 これで精霊不足は解消され、祖国はより繁栄する

 そう信じて疑わなかったのだ。


 しかし嬉々として精霊を狩りはじめた人族は、すぐに先住民と衝突するようになる。

 先住民にとっては、精霊とは隣人であり、力を貸してくれる仲間なのだから。

 当初、先住民と衝突した人族は、少数の不利を悟り、その場を取り繕った。


 そしてさも親切なように、ミッドランド大陸の製品を贈り、彼らとの親交を深めた。

 あくまで偽りの親交を。

 そうして今後の活動拠点となる場所を確保しつつ、準備を整えたのだ。

 先住民を蹂躙できるほどの武力を蓄え、いつか反攻するために。


 それから数年もすると、新大陸の人族人工が急増した。

 旧来の制度に倦み、戦争に飽きた人々が、次々と新天地を求めてきたからだ。

 彼らは一攫千金を夢見、危険をも顧みずに海を渡った開拓者である。

 しかしその実態は、精霊を捕まえ、亜人を奴隷にしようとする、強欲の権化に他ならない。


 彼らにとって亜人の人権などは無いに等しいし、土地は取った者勝ちだ。

 あまつさえ、新大陸に入植することは自身にとって、”明白な天命”とさえ考えていた。

 まさか新たな隣人である人族が、そのような存在であるとは、先住民の誰も知らない。


 このままでは遠からず、新大陸は人族に奪われてしまうだろう。

 しかしそんな状況を天上の神々が憂いたのか、天命を帯びた男が1人、地球から呼びだされることとなる。

 これは、そんな男の奮闘記である。

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