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08-4:おパンツ回来た!(尚出オチ

「実際家の機械は修理品を使ったり新しく作ったり、全部テファの手が入ってるからねー」

「そういえば……」

 アカネさんの言葉に、ふとある出来事が思い浮かぶ。

 以前小さいオーブンが壊れて、私は故障の件ををお爺さんに伝えた。

 すると一日程して、テファちゃんが小さい体で治った機械を持ってきてくれた事があった。

 その時は違和感にも感じていなかったけれど、テファちゃんが直してくれてたからなんだ。

 時々どこから出してくるのかわからない不思議な機械も……。

「……もしかしてバッテリーっていうのもテファちゃんが作ったんですか?」

「そうだよっ!」

 腰に手を当て、更に得意げになって胸を張るテファちゃん。

 彼女を見る私の目が、尊敬と言うか畏敬の眼差しに変わる。

「でも実際、あれって廃品を直しただけなんだよねー」

「むぅ! 違うもん、2コ目のバッテリーは全部イチから作ったもん!」

「あっはは! そうだったねー」

「……ぬっく! なんかバカにされてる気がするのー!」

「はいはい、1人で危ない事しちゃだめなんだからねー」

 手を動かしながら作用を進める2人は、変に息が合っていた。

 やがて彼女たちのお喋りは自然と止んで、真っ直ぐな目に変わっていく。

 そこで急に孤立した私は、余った時間で今までのことを整理するように頭を働かせる。

 ……機械の使い方を色々聞いていた頃、用途の不明な箇所について質問したことがあった。

 すると、そこは今使わない部分だから気にしなくていい、と。

 家の機械はどれも魔力が供給されているので、無駄な機能だと説明された事があった。

 この家はそんな風に、自分の魔力を使わなくてもいいように出来ている。

 でもそれって普通なのだろうか。

 機械は全部が全部、テファちゃんが作った物でもないみたいだ。

 そして魔力が供給されているから必要がないと言われている部分。

 それは逆に考えると、魔力を注ぎ込む為に作られた機能に違いない。

 そう、その機械はテファちゃんが作った物じゃなく、元からある機能だから必要ない。

 だから機械から見ると、本来は自分の魔力で動かすのが一般的だという事になる。

 勿論、魔力の使い方や要領が分からない私にとって、魔力の自動供給は嬉しい話だ。

 でも私の為にそう作っていると思える程、自惚れてもいない。

 そんな疑心が、一般的な使用方法ではない事を裏付けている気がする。

 魔力と魔物……。

 ……そういえば私は、アカネさん以外の人が魔術を使っているところを見たことがない。

 でも機械を動かす魔力はバッテリーにあって、入れているのはテファちゃん。

 子供に? この家じゃ、それが当たり前なんだろうか。

 でも、私はあくまで他人。

 この話は変に聞いたり、ましてや口を出せない、難しい領域の話だった。

「ごめんねー、構ってあげられなくて」

「あっ。いえ、私考え事をしていたので!」

 なにかを一つ作り終えたアカネさんが、部品を握りしめながら声を掛けてくれた。

「何か難しい顔してたね。お爺さんに聞いたよ、だからここに連れてきたんだけどさー。

 テファに用事頼まれたら先にやらないと、焦れて自分でやっちゃうもんだから」

「大丈夫です。でもお爺さんから話って……」

 私が尋ねると、彼女は立てかけてあった廃材から一つの部品を取り出した。

「これ、知ってるでしょ?」

「……はい」

 その手に握られていたのは、あの夜お爺さんが握りしめていた金属パイプだった。

「ほら、ここ少し曲がってる。これじゃまだ強度が足りないんだねー。

 お爺さんにもっと強くしてって言われてさー。こう見えても結構厚い金属なのにねー」

「……あの、少し持たせてもらっていいですか?」

「いいよー。はい」

「ありがとうございます」

 自身の身長を有に超える金属配管。

 それがどれほどの重さなのだろうという興味が、私を動かした。

 彼女の手から受け取ろうと手を伸ばし、でも途中彼女の手から離れる前に諦める。

「ありがとうございました」

 少し持っただけで分かった。

 私だけでようやく支えられるかどうか、という程の重さに。

 なのにこんなのを片手で素振りなんて、しかも老人が……とんでもない。

「不安になるのも仕方ないよね」

 意気消沈していると勘違いされたのか、アカネさんが思いを組むように言葉をかけてくれた。

「いえ!」

「でも大丈夫。私もそんなに鍛冶上手くないけどさ、今度は曲がらない物にするから。

 鍛冶の腕を磨くいい機会にもなるしね。だから……」

 得物を持つアカネさんの目が、一瞬ギラリと光る。

「あんまり不安にさせないようにするね」

 私はその決意にも似た言葉に、ただたじろいた。

 グンマさんもお爺さんも、アカネさんも魔物の驚異に立ち向かおうとしている。

 なのに私は傍観するばかりで、でも皆は明らかに私を魔物から遠ざけていた。

 その不自然さに、違和感は拭えない。

 以降倉庫裏からトンカンと金物を叩く小気味良い音が、毎日の様に響いた。

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