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06-5:お色気シーンはどうか脳内で保管して下さい!

 ……やがて再び強い風の音が聞こえ始める。

「いてて……こりゃ軽い打撲になっとるな。ナナさんに湿布をもらわねば」

「ぁ……」

 目を開けて見ると、お爺さんは魔物にお腹を挟まれて尚ピンピンして、右手で脇腹を擦っていた。

「ぁ……あぁ……僕の鎌が……!」

 魔物の声が嗚咽のように溢れ、全身は絶望と生への執着に濡れていた。

「は、ははは……」

 やがて戦う気力が失われたのか、崩れる様体を地につける。

 魔物の隠し玉だった筈である両脇の手、その鎌は刃もボロボロで全体にヒビが入ってあり、多分もう使えない。

 終わりだった。


「……はは。もういい、も う い い !」

 突然ヤケを起こした魔物は、絶望を纏い目を赤く光らせ瞬時に動く。

 逃げた。そう思ったのも束の間、魔物は使い物にならなくなった鎌と足で体を支え、目に見えない速さで撹乱するようにお爺さんの周囲を走り続ける。

「フム……残像か、こりゃ中々に素早い」

 途中、何かがきしみひび割れていく音が聞こえ始め、周囲になにかの破片が飛んで来る。

 と同時に、またあのヘドロのような液体もどこからか散り始めた。

「あああああああああああああああああ!」

 やがて私は理解する。それが魔物にとって捨て身であり最後の攻撃であるということを。

「 喰 ら え ! 」

 殺意とも呼べない意地が叫び、お爺さんを取り囲む残像が一瞬本物のように鮮明に映る。

 12体の分身が、中心のお爺さんに向かって一斉に飛びかかった。

「じゃがしかし……」

 その12対全ての残像をお爺さんは無視し、夜空に向かって手の中の獲物を飛ばす。

 笛のように鉄パイプがピュイと音を鳴らして飛んでいき

「ゴフゥッ……」

 高い空の上で果てる声が聞こえ、お爺さんを囲う残像は消えた。

「……見え見えじゃわい」

 そして、下品な笑い声と供に……最後の攻撃が二人を襲う!

「ヒ、ィヒヒヒヒヒィ!!」

 私は2人を見ていたから、すぐに気づいた。

 恐らくあの魔物の死を賭けた攻撃は、最初から自身に注意をそらすことが目的。

 そして思惑通り、2人は串刺しになった魔物を夜空の月と共に見上げている。

 その隙を狙って、突然森が動いた。

 まるで鉄球のような巨大ダンゴムシがスピードに乗って転がってくる。

 私はその大きさに圧倒される、この家なんか一瞬でぺちゃんこにされてしまうと。

 もう駄目……!

 ……そう思った瞬間、地響きがした。

「……これで全部だな」

 グンマさんが、寸前の所を拳で受け止めていた。

 彼が口から漏らした言葉はまだ余裕を残していて。

 ヒビが全体に渡り、外殻が弾け、そして溶けていく魔物。

 ……やがて獲物が刺さった魔物も落ちてくると……魔物は全て居なくなった。

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